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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 労働力不足は悪いことか? (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

労働力不足は悪いことか?

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

18/09/26

今日は労働力不足についてです。不足という言葉はすごく嫌な雰囲気の言葉ですよね。だから労働力不足と聞くと何か嫌な事が起きている、何か対応しないといけないと思う人が多いのですが、そうではありません。会社の経営者にとって労働力が足りないという事は、要するに、社員を募集しても集まらないということなのです。嫌な事は、今より高い給料で社員を募集し直さないといけないから、ということですよね。そうすると労働者の立場から見ると、高い給料の募集が出てくるわけですから、これは素晴らしい事です。

バブルが崩壊してから日本経済はずっと不況だったので、その間失業者が大勢いました。ですから、政府や日銀は失業者をどうやって減らすのかという事を一生懸命何十年も頑張ってきたわけです。しかし、労働力不足という事は失業者が少ないわけですから、政府や日銀が頑張らなくてもよい時代になったということになります。失業者というのは都会で多く仕事があっても、例えば田舎で親の介護をしながら1日4時間だけ働きたいという人がいると、なかなか仕事が見つかりません。そういう人は失業したままになるのです。だから失業者は0にはなりませんが、普通に都会で働きたいという人は簡単に仕事が見つかるということなので、素晴らしい事には違いないわけです。

失業する以前に、そもそも仕事探しを諦めていた人も大勢いたわけです。高齢者とか子育て中の主婦などは1日4時間しか働けないのだから仕事が見つかるはずが無いと思って、そもそも仕事を探す努力もしなかった。でも労働力が不足してくると、そういう方でも結構ですから是非働いてくださいと言われるようになってくるわけです。これも素晴らしいことです。パートやアルバイトの時給が上がっているというのも、働く側にとっては嬉しいニュースです。バブルが崩壊した後は失業者が大勢いたので、安い時給でいくらでもアルバイトが雇えたわけです。でも最近は、アルバイトを募集してもなかなか集まらないので、高い時給を払うからアルバイトをしてよという張り紙がいっぱい出ています。学生などにとっては大変明るいニュースですが、更に明るいのはワーキングプアと呼ばれる人々の生活がまともになってきたということです。

バブル崩壊後の就職氷河期に学校を卒業した人って正社員になりたくても正社員の募集が少なくてしょうがなくアルバイトなどをしながら生計を立てている人がいっぱいいるわけです。そうした人々の事をワーキングプアと呼んでいます。アルバイトの時給が上がったことでそうした人達の生活が少しでもまともになってきたとすれば、それは素晴らしいことです。それから、統計を見るとワーキングプアの男性は結婚が難しいという結果になっています。結婚している男性がとても少ないのです。彼らの所得が上がってくると、結婚出来るようになるかもしれません。もしかすると、ワーキングプアとワーキングプアが結婚しても所得が高いので、子育てが出来るようになるという時代が来れば少子化にもブレーキがかかるかもしれません。

労働力の不足によって、パートやアルバイトの時給が上がって物価が上がりはじめました。宅配便業界の値上げが象徴的だったと私は思っているのですが、ヤマト運輸が労働力不足を理由に値上げをしたらライバルも追随して値上げをしたということです。これは日本経済がデフレから脱却したことを意味していると私は考えています。

ブラック企業が減っているという事も素晴らしい事ですね。これまでブラック企業が存在出来たのは、社員が辞めようとすると経営者が脅していたからでした。「君、辞めたら失業者になるよ」、と。失業するよりはブラック企業に勤めて給料を貰った方がいいでしょうと言われると、ブラック企業の従業員はなかなか辞められなかったわけです。でもこれからは違います。ブラック企業の社員は、「大丈夫ですよ」「辞めたら他の会社が雇ってくれますから」ということですから、いつまでもブラック企業に勤めている必要がないわけです。そうなるとブラック企業の社長としては社員が辞めていくのを黙ってみていて倒産するか、それが嫌だったら社員が辞めないようなホワイトな会社に変身するかどちらかです。いずれにしても、ブラック企業はなくなるというわけです。

こうしてみてくるとバブル崩壊後の日本経済を悩ませてきた多くの問題が、労働力が不足することで一気に解決に向かっているということが分かります。私が労働力不足で日本経済に黄金時代が来ると言っているのは、まさかバブルの時のようなキラキラした時代を黄金時代と言っているわけではなく、日本経済の問題点が一気に解決してしまうという意味で言っているわけです。今は景気回復によって労働力が不足していますけど、今後少子高齢化で労働力不足が更に進めば、多少景気が悪くても失業者は増えないといった時代が来るかもしれません。それは素晴らしいことですよね。

今日のまとめです。労働力不足というのは悪い事のように感じられる言葉ですが、働く人にとっては素晴らしい事なのです。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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