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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 中国中心の国際秩序 (企業財務 M&A/村藤功)

中国中心の国際秩序

村藤功 企業財務 M&A

18/09/05

今日は中国中心の国際秩序という話です。中国はどちらかというと、アメリカと中国で世界を2つに分けましょうみたいな事をずっと言っていました。そして、アメリカは沈んでいくのに対して中国はより繁栄していくので、その後に中国中心の世界秩序を作ろうとしているという長期ビジョンが段々見えてきたわけです。段々怖くなってきたということですけれど、アメリカと中国で2つに分けてしまうのかと思っていたら、トランプ大統領が色々な言いがかりを吹っかけてきて貿易戦争が止まりません。

その様な中で中国は最近何をしているかですが、まずは既に支配下に収めたはずの国内政治です。中国の元トップだった人たちを集めて色々ご意見を聞く北載河会議があるのですが、習近平はもうそれを止めたい様に一時見えていました。ところが、とりあえず味方を多くしておくということで、国内政治は長老たちの意見を聞き始めています。そして海外では、日本嫌いと言っていたのが、今年に安倍総理が中国に行って習近平が来年来るみたいな話が最近出て来ています。インドとかアフリカあたりと親しくし始めたとか、北朝鮮はご存知のようにすりすりと中国に近づいています。そういう意味では、今のところ購買力平価GDPでいったら中国はもうアメリカを超えたのだけれど、軍事でいったら全然負けているため、そう簡単にアメリカと世界戦争をするわけにはいかないのです。とりあえず味方に出来るところは皆味方につけておくという作戦に出ています。

ところで、一帯一路って覚えていますか? 陸のシルクロードや海のシルクロードといった道を作って、そこでガス田を開発したり、発電事業を作ったり、様々なインフラを建設するわけです。ところが中国以外の国は、お金持ちではありません。そこで、陸のシルクロードや海のシルクロードを作りにあたって、中国にお金を結構出してもらうことになります。しかし、中国はギフトとしてお金をあげるわけではなくて貸すのですよ。貸すと何が起こるかと言うと、返せない時にどうするのかという事です。

今起こっている事は、陸のシルクロードや海のシルクロード上に中国が山のように融資してインフラが続々と出来上がりつつあるのですが、続々と返せなくなっています。返せないというので、中国が続々とお金の代わりに作ったインフラを取り立てて自分のものにしているのです。陸のシルクロードや海のシルクロード沿いのインフラが中国の支配下に落ちつつあるのですが、最初は皆あまり気付いていませんでした。どんな途上国でも発展のためにはインフラを作らないといけないので、中国がお金を貸してくれるなら親切だなと思っていました。IMFみたいなところはお金を借りて返せないと、ある日突然乗り込んでくるわけです。どけと言われて、IMFの人たちが「ちょっとあなたたちはキリギリスで、余計なことにお金を使うからいけないのだ。社会福祉は切り捨て。」ということを言われて、勝手に色々されたわけです。

韓国とかではアジア危機で破綻してしまったときに、IMFが乗り込んできて色々なことが起こりました。発展途上国にとっては、それは嫌な事ですよ。貸してくれるのはいいのだけれど、もうちょっと親切にしてというわけです。中国はIMFみたいにどけまでは言わないです。ただ返せないならこのインフラ頂きますよ、ということです。また、中国はお金を貸すときに金利とか返済条件みたいなものは第三者に対する透明性が無くてもいいのです。IMFは透明性を確保しようと色々開示するのですけれど、途上国にとっては自分が借りているものをあまり開示したくないわけです。そうすると、IMFと付き合わないで中国と付き合う事に段々なってきて、色々な形で陸のシルクロードや海のシルクロード沿いの国たちが中国の傘下に続々と陥りつつあります。

しかし、やはりこれらの国々の中には、本当にそれでいいのかとなっている国もあるわけです。マレーシアのマハティール首相は有名な政治家ですから、ちょっとこれやばいのじゃないかと考えたようです。マレーシアは東海岸の鉄道事業をやっていたのですけれど、この借金をうちは返せるのか、返せなくなって半分中国の支配下みたいなことになってしまったら嫌だといってやめてしまいました。スリランカの港湾だとか、ミャンマーのチャピュー港湾事業とか、それから中央アジアもトルクメニスタンのガス田開発、タジキスタンの発電事業、トルコの高速道路横断つり橋とか、皆、返せなくて中国にあとで取られてしまう事に懸念が強まっています。とりあえずうちにインフラいるぞ、お金貸してくれるぞといって始めたのですが、返済の実現可能性をちゃんと考えていなかったようです。

第二次世界大戦後の欧米のIMF体制の傘下だった国が続々とそこから離れて中国傘下に移りつつあるわけです。では一体中国は何をしようとしているのかが問題で、中国はどうも過去のアメリカが言っていた自由で開かれた国際秩序ではなくて、中国を中心とする経済的利益に基づく新型国際秩序をどうも作ろうとしているらしいのです。知財等でトランプ大統領が中国に対して仕掛けている貿易戦争も、最初は知財でズルしているという話なのかとヨーロッパや日本なんかは思っていたわけです。ところがどうもそれだけではないようです。

結局ハイテクのイニシアチブ争い、どっちが世界のハイテク産業で覇権を握るのかという戦いをどうもしているようです。中国は10個の重点分野を指定して、次世代情報通信とかデジタル制御とか航空宇宙設備とか海洋エンジニアリングとかに政府の補助金を出しながらすごい勢いでハイテクの覇権を握ろうというモードに入ってきています。アメリカは補助金はズルだから許さないという風に、なにも悪いこと言ってるんじゃないよという格好をしながら中国に覇権を握られるのを恐れているという、どうもその辺の戦いをしているらしいのです。

そうするとEUとか日本があまり口出す状況じゃないのですよ。日本などはトランプ大統領がイラン制裁だから原油買うなと言われたら、はいと言って皆止めてしまうような力しかない国ですから。銀行がお金を貸さないぞとか、船会社が運ばないぞとか、ガソリンスタンドがイラン原油は置きませんよとかね、正直に言って日本なんてスーパーパワーと戦えるような国ではありません。アメリカと中国のスーパーパワーの覇権争いが今起こってきているというのが現状です。

今日のまとめです。トランプ大統領が貿易戦争を中国に対して仕掛け始めて、習近平がそれに対抗しようというので、国内の長老から始めてインド・アフリカ・日本・北朝鮮といった周辺国との関係強化を進め始めています。一帯一路作戦でお金を貸して、返せなかったらインフラを取り上げるという形で中国の支配エリアを広げて、アメリカとの2強時代はほどほどにして、将来は中国のための国際秩序を作ろうとしているようだというのが段々と見えてきました。そういった戦いなので、貿易戦争の米中の戦いはどこまでいくのかさっぱりわからなくなってきたという状況です。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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