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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アメリカ・ファースト (企業財務 M&A/村藤功)

アメリカ・ファースト

村藤功 企業財務 M&A

18/09/04

今日はアメリカ・ファーストの話です。トランプ大統領が引き続いて絶好調で、国内支持率は45%くらいまで上がってきました。6月の北朝鮮の金正恩との会談や中国との貿易戦争があり、日本人にとっては、非核化はどうなったのかとか拉致問題はどうかとか言いたいところですけれど、アメリカにミサイルは飛んできそうもないのです。それから、朝鮮戦争時のアメリカ兵の遺骨が返ってきたということで、それなりにいいことだったと思われています。

アメリカ国内では評価が上がり、支持率もすごく上がってきているのです。もう過去の大統領と変わらない程です。中国との貿易戦争もアメリカ人は大好きです。すごい勢いで関税を25%にして中国とお互いにやり合っていて、日本からするといい加減にしてくれと思うのですけれど、でもアメリカ国内では大人気です。最終的にはアメリカにとっても良くないのではとは思いますが、読めないことが起こるまでには時間がかかるのです。しかし、トランプ大統領にとっては中間選挙の時まで支持率が上がっていれば全然OKということですね。

最高裁の判事も今度はケネディさんという方が辞めるのですが、ケネディ判事が辞めて保守派とリベラル派が4:4になるところが保守派のブレット・カバノー氏を任命して5:4で保守派が多数派になります。外交防衛関係では、北朝鮮は先ほど申し上げたように6月の金正恩会談以降、アメリカにはミサイルを飛ばさないし、アメリカ兵の遺骨は戻ってきている。ただ、非核化が本当に起こっているのかどうかが問題です。この間ポンペオ国務長官が訪朝予定だったのをちょっと止めるというジャブを繰り出す等している所ですけれど、アメリカから見ればまだトランプ大統領側のポイントになっている。

イランは今年の5月に核合意から離脱しました。8月に制裁を鉄鋼と自動車で復活して、11月には石油とか金融あたりで復活しようという見込みです。ちょっと心配なのは8月にイランがホルムズ海峡で軍事演習を始めた事です。イランは、最初はEUがなんとか制裁をしないような形で収めてくれるのではないかと思ったけれど、なかなかそうもいきませんでした。ヨーロッパの民間企業が続々とイランから手を引くという状況になっていて、イランの強硬派はアメリカと戦争するぞというようなことを言っているのでちょっと危険です。

ご存じだと思いますけれど、日本が一番嫌な事は中国とアメリカの貿易戦争です。これが全然止まらないわけですよ。最初にアメリカが通商拡大法232条で、鉄に対して25%、アルミに10%の関税で仕掛けました。最初中国は少し買ってあげようかみたいなことを言っていたのですけれど、そっちがそうくるならこっちも対抗になりました。中国は面子が大事ですから、面子を潰されたら復讐しないわけにはいかないだろうということで同じ金額で大豆とか牛肉等に関税をかけたわけです。次に中国は知財でズルをしているだろうという事で、トランプ大統領は通商法301条で500億ドルやるぞと言いました。500億ドルを二回に分けて第一弾と第二弾としたのですけれど、第一弾の818品目340億ドル分、これは7月に始めて、中国もそれなら農産品や自動車で復讐するぞということで、アメリカが農産品や自動車を中国へ輸出する際の中国側の輸入関税を上げました。

それならこっちはまだやるぞと、500億ドルから340億ドルを引いた残りの160億ドル分についてもトランプは8月23日から始めたのです。中国もすぐ復讐だと言って、原油、LNG、石炭などエネルギーを中心に関税を掛けました。それだったらうちは更にやるとアメリカが叫んで、2,000億ドル分について25%掛ける予定なのですが、中国はアメリカに輸出する分が2,000億ドル分ももう残っていないのです。残り600億ドルについて何が一番問題かというとLNGです。アメリカではシェール革命が起こって世界3位の産油国になっていて、最後は中国がLNGを買うと言って物事を収めるのではないかという想定もあったのですが、収めるどころかLNGに25%みたいなことを言い出し、わけがわからなくなってきました。既に世界の2大強国になっているので、EUも日本もどうしようもないのです。

このまま収まらなかったら世界の貿易がまず減少して、世界のGDPも減少してしまいます。今まで自由貿易をしていて、一番いいものを安くできるところが作るというのが第二次大戦後の自由貿易協定でした。それが崩れてしまって皆自分の国のために、アメリカ・ファースト、EU・ファースト、中国・ファースト、ジャパン・ファーストみたいなことをやり始めたら、国際貿易が無くなってしまいます。世界のロジスティックチェーンやバリューチェーンが全部壊れてしまって、アメリカ人が買うものは全部アメリカで作れよとか、中国は中国で作れよみたいな話になってしまい、その結果、世界がより貧乏になるのは間違いありません。その過程で誰が悪いかとか、じゃああいつが悪いのだったら叩いてやれというのが、大国であるアメリカ・中国の好きなパターンです。もし、アメリカと中国に核戦争でもされたら、真ん中にある日本が最初に無くなってしまうという、とても危ない状況になってきているのです。

しかし、アメリカだってトランプ大統領が思うようになっているわけではありません。例えば、EUも復讐だと言ってハーレーダビッドソンがアメリカからEUへの輸出に関税を掛けるぞと言ったら、ハーレーダビッドソンがそれは困るから工場をEUに移そうかと言い、トランプが烈火のごとく怒ってハーレーダビッドソン許さないみたいなことを叫んだりしているわけですよ。それこそGEは中国で医療機械を作ってそれをアメリカに輸入しています。それに25%の関税を掛けたら誰がお金を払うのか。アメリカで25%高くなると、誰が得するのでしょうか? アメリカは山のように赤字を抱えているのですけれど、実は、その儲け分の全てが中国に行っているわけではありません。中国だけでなくアメリカとかEUとか日本とか様々な地域の多国籍企業がアメリカの貿易赤字を売上げとしてシェアしているのです。中国はその中では大してもらってはいないのです。習近平にすれば、そんなこと言ったってアメリカの赤字は中国が儲けている分ではないですよねと言って、トランプはおまえのせいだと言っているわけです。ちょっと困ったものです。

今日のまとめです。外から見れば、トランプ大丈夫なのかと思うのですけれど、一方で国内の支持率がぐんぐん上がっており、中間選挙ではトランプ大統領は勝ってしまうかもしれない。日本も今のまでだとまだいいのですけれど、自動車が対象になったら日本も黙ってはいられないということで、国際貿易の縮小がいよいよ大きくなってきているという状況です。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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