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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 「対人認知の歪み」 (産業組織心理学、社会心理学/三上聡美)

「対人認知の歪み」

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

18/09/11

今日は「対人認知の歪み」についてお話します。
「対人認知」とは、人と会った時に「この人優しそうだな」「明るそうだな」という目に見えない特徴を推測することです。普段の生活の中で、私たちは頻繁にこの対人認知を行っていますが、実は私たちは他者に対して正確な印象形成をしているとは言えません。なぜなら、私たちは外部の出来事を少ない労力と時間で処理しようとする傾向があるため、前回お話しした「中心特性」や「初頭効果」によって印象形成が行われて、いつのまにか相手を知った気になってしまっているからです。

※前回の復習
「中心特性」:その人の大まかなものを捉える特性のこと。「冷たい」「温かい」などの特性を指します。
「初頭効果」:最初の印象(第一印象)のことです。

そして、そうした誤った印象形成(対人認知)の中に、「対人認知の歪み」もあります。今日は、その「対人認知の歪み」を5つほどご紹介します。

1つ目は「ハロー効果」です。"ハロー"は仏様の後光のことを言います。「後光効果」「光背効果」と呼ぶこともあります。ハロー効果とは、「他者がある側面で望ましい(望ましくない)特徴を持っていると、その評価を全体的な評価にまで広げてしまう傾向」を指します。

例えば、偏差値が高くて有名な大学出身の人がいたときに、その人はどんな仕事を任せても上手くこなすことが出来るだろうと勝手に決めつけてしまうことです。「良い大学出身」という一部の好ましい点が、その人の全体的な印象までも引き上げてしまうわけです。反対に服装がきちんとしていない人は、「あまり仕事が出来ないのでは?」と思ってしまうこともあります。1つのマイナスの要素が全体的に悪影響を与えてしまうのもハロー効果の特徴です。

2つ目は、「論理的過誤」です。これは、ある人物にAという特徴があると認知すると、Bという特徴を伴うと判断する傾向のことです。
例えば、職場に派手な格好の人がいるとすると、その人はおしゃれや遊びを重視してあまり仕事をしないだろうと自動的に推測してしまいます。「容姿が派手な人=仕事をしない人」とは限りませんが、勝手に「AならばB」と自分なりの論理的な解釈をしてしまうというのが、「論理的過誤」になります。

3つ目は「寛大効果」です。これは他者の好ましい特徴を過大評価し、好ましくない特徴を過小評価する傾向のことです。これは好きな人に対して行われることが多いと思います。みなさんも好きな人の欠点はあまり気にならないと思いませんか。反対に好きな人の良いところはすごく良く思ったりしますよね。恋愛に関わらず仕事の場面でも、日常でも、好きな人に対しては基本的に良い印象を持っているため、小さなことでも素晴らしく良く見えてしまうのが、この「寛大効果」になります。
 
4つ目は「時間的拡張」です。これは相手の一時的な特徴を、永続的な特徴だと判断することです。例えば、ある人がたまたま怒っているところを見た時に、その人は「怒りっぽい性格なんだろうな」と判断してしまうことを指します。
5つ目は「ステレオタイプ」です。先述した「ハロー効果」、「論理的過誤」、「時間的拡張」はどちらかというと相手の印象に対する対人認知の歪みですが、「ステレオタイプ」は、社会や国民などに対して、人々が、「こうあるはずだ」と期待しているイメージ体系です。例えば、私は鹿児島出身ですが、お酒が飲めません。この話をすると「鹿児島出身なのに」と言われることがよくあります。何故かというとやはり鹿児島は芋焼酎のイメージが強いからでしょう。このように、「鹿児島人はお酒が強い」というイメージはステレオタイプになります。同様に、「大阪の人は突っ込みが上手い」というのもステレオタイプでしょう。

では、ここで問題です。

敏腕弁護士の田中さんは離婚の調停では常に妻側の立場に立ち、夫側に慰謝料や養育費を請求し、それを勝ち取ることで有名です。この田中さんが、今度は自分が離婚することになりました。この時も田中さんは自分の信念を貫き、裁判では妻側に立って弁護を行い、夫側が慰謝料を支払うことになりました。しかし田中さんは一銭も慰謝料を払わずに済んだのです。さて、田中さんはなぜ慰謝料を支払わずに済むことができたのでしょうか。

正解は、「田中さんが女性だったから」です。田中さんが女性だと、もちろん離婚の裁判では妻側に立って弁護を行いますし、夫側が慰謝料を支払うことになれば、田中さんは支払わなくていいです。「敏腕弁護士」と聞くと、なんとなく男性をイメージしてしまう人が多いと思います。それは、弁護士といえば男性だというステレオタイプが発生してしまうからです。

では、今日まとめです。
他者に対して抱く印象を正確に出来る人はなかなかいません。私たちはあるがままに見るのではなく、様々な方向に歪めてしまう傾向があります。今日はその対人認知の歪みの代表的なものとして、「ハロー効果」、「論理的過誤」、「寛大効果」、「時間的拡張」、「ステレオタイプ」についてお話をしました。対人認知の歪みは普段何気なく行っているので気づかないことも多いのですが、たまには自分は人をどのように認知しているのかなと考えてみるのもよいかもしれません。

分野: 社会心理学・組織心理学 |スピーカー: 三上聡美

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