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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > EC取引の増加と輸送① (国際経営、国際物流/星野裕志)

EC取引の増加と輸送①

星野裕志 国際経営、国際物流

18/09/12

今年の4月に経済産業省が発表した数字で、とても興味深かったのは、アパレル産業の商取引の金額です。昨年一年間で、衣類や服飾雑貨が国内で購入されたのは、14兆3千億円でしたが、そのうちの11.54パーセントにあたる1兆6千億円がネット通販などの電子商取引によるものだったようです。僕自身、ネットで購入した商品が、毎週1回は自宅に届いているのであまり違和感はありませんが、それでも女性は衣類などの購入に、サイズや色などを直接に確認することなく購入するのだなと思いました。今日はネット通販がここまで成長していることについての問題点についてのお話です。

BtoC、企業の個人向けの電子商取引の市場規模は、昨年の2017年度は、16兆5,054億円と前年比9.1パーセントの伸びでした。ネット通販の市場規模で言えば、さきほどご紹介した「衣類・服飾雑貨等」、次の「食品、飲料、酒類」、と3番目の「生活家電、AV機器、PC・周辺機器」がトップ3の分野になります。合わせると4.7兆円にもなるようです。電子商取引の右肩上がりの成長に伴って、宅配便の取扱個数もほぼ一貫して成長を続けています。一昨年の2016年の一年間で、40億2千万個の宅配便の取扱があったようです。
このモーニング・ビジネススクールでも、主にロジスティクスの視点から、この問題を2度ほど取り上げてきましたが、サポートするシステムが成長に追いつかないということです。最近は、宅配便などの増加で、自宅に届くまでの最後の部分、いわゆる「ラストワンマイル」について、再配達の増加や人手不足で追いつかなくなってきていることは、メディアでも取り上げられて、今では一般にも浸透してきているかと思います。もちろん書籍や映像、音楽ソフトといったネット上で配信される形態の取引であれば問題はありませんが、ネット上での購入商品が配送を伴うとなると、そこには必ず宅配便などが利用されます。
これもこの番組で触れてきたことですが、ラストワンマイルについていえば、コンビニなどでの引き取りや宅配ボックスの設置、配送方式の工夫はされていますが、継続的な成長の前に追いつかない状況がおわかりいただけるかと思います。
実は本質的な問題は、最後のラストワンマイルだけにあるのではなく、出荷された商品が購入者のもとに届くまでの全体のサプライチェーンを通じて、そもそも体制が追いついていないことがあります。

それが、今後改善するどころか、余計に厳しい状況が予想されています。宅配便を支えているのは、主にトラック輸送です。厚生労働省の調査によれば、トラックドライバーは、全産業との比較で、月間の給与が9千円低く、労働時間が月間で45時間長いそうで、労働条件が悪いことから、慢性的な不足状態にあります。そのために、高齢化が進行していて、業界でも女性や若手のリクルートに向けて、労働環境の改善に取り組まれているようですが、より深刻化しています。さらに働き方改革関連法が成立して、4年後の2024年4月には、長時間労働に対する罰則規定が課されると、2日の平均で1日あたり9時間の運転時間の限度、連続運転4時間で30分の休憩が義務付けられます。この法律の施行で、もはや九州から首都圏までは、ひとりのドライバーで輸送することが、かなり困難になります。そのためには、もう一人乗務する必要が生じるということです。

今日のまとめです。BtoC、企業の個人向けの電子商取引の市場規模は右肩上がりで成長しています。それを支えるのは、主に宅配便のトラックのドライバーですが、労働条件の悪さや高齢化で人材の確保が追いつかず、さらに働き方改革関連法の成立で、今後ますます深刻さが増すという問題提起をさせて頂きました。

分野: 国際ロジスティクス |スピーカー: 星野裕志

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