QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > EC取引の増加と輸送② (国際経営、国際物流/星野裕志)

EC取引の増加と輸送②

星野裕志 国際経営、国際物流

18/09/13

BtoC、企業の個人向けの電子商取引の市場規模は右肩上がりで成長していますが、それを支える主に宅配便のトラックのドライバーの人材の確保が追いつかず、今後同じようなサービスが維持できないのではないかという問題提起をしました。
ネット通販の中でも、「衣類・服飾雑貨等」、「食品、飲料、酒類」、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器」が主に利用されているトップ3の分野ですが、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器」は、全体の約3割がネットで購入されているようです。ここまで電子商取引が成長してくると、購入者の自宅までのいわゆるラストワンマイルだけではなく、全体のサプライチェーンを支える仕組みも追いついていかない状況だということです。特にボトルネックは、トラックによる輸送ということでした。
2016年の日本国内の貨物輸送を見てみると、輸送量をより実態に近づけた「トンキロベース」で、トラック輸送が51パーセント、鉄道輸送が21パーセントを担っています。トンキロという考え方は、輸送量のトンと輸送距離のキロ数を掛け合わせることで、実際に輸送された貨物の仕事量を示しています。1トンの貨物を1キロメートル運べば、1キロトンです。何れにせよ、国内の貨物輸送の半分は、トラックに大きく依存していることがわかります。

前回は、そのトラックの輸送が今後立ちいかなくなるとう話をしました。その問題を改善するために、トラック以外で輸送という考え方があります。それが大量輸送機関にシフトするモーダルシフトであり、鉄道やフェリーなどの船舶で運ぶことです。
モーダルシフトには、多くの利点があり、かなり以前から取り組まれてきた古くて新しい考え方です。例えば、JR貨物の標準的な26両編成の貨物列車だと、10トントラックの65台分が輸送できます。65人のトラックドライバーが輸送すると同じ量の貨物が、限られた貨物列車の乗務員で可能ということになります。まずこのように、大量輸送機関利用の利点の筆頭に挙げられるのは、人材やエネルギーを含めた輸送の効率化です。さらに、定時性が確保できることや、CO2排出量の削減や渋滞の緩和で環境に優しいことなど、トラックにはない良い面が期待できます。トラックドライバーは慢性的な人材不足が問題とのことでしたが、65人のドライバーの仕事が、鉄道の運転手を含めて数人で代替可能ということです。
同じことが、フェリーによる輸送にも言えます。日本には、長距離フェリーは14の航路があって、35隻の大型のフェリーが運航しています。例えば、九州からならば、新門司や別府から瀬戸内海を通って大阪や神戸との間に、フェリーの航路があります。新門司からは、2泊3日で徳島経由の東京までの航路もあります。そう考えれば、関西や首都圏と九州との間の輸送に、トラックに替えてフェリーボートの活用もできることになります。
フェリーを利用しても、トラックがドライバーごと乗り込むのであれば、あまり人材不足も解消できないと考えられるかもしれませんが、ドライバーはフェリーに載せるところまで、また到着して下船するところから担当するというトラックを無人で航送するという仕組みも進められています。例えば、先ほどお話しした新門司から東京までの輸送であれば、約34時間の航海中は無人で、フェリーの出航時までと入港時からドライバーが担当するこということになります。

トラックの強みは、何と言っても最初から最後まで全体を通して一貫して輸送できることです。それに対して、貨物列車もフェリーにしても、あくまでも駅と駅、港と港の間の輸送に限定されているので、その両端はトラックが必要です。だから制約はあります。ただ従来の貨物の輸送が、主要都市間の長距離輸送もラストワンマイルも、ほとんどトラックでまかなわれていたとすれば、今後は大量輸送機関による長距離輸送とトラック輸送の組み合わせをより促進することで、電子商取引の成長の障害を解消していくことが必要かと思います。

今日のまとめです。 トラックに替えて、鉄道やフェリーなどの大量輸送機関で貨物を輸送するモーダルシフトは、環境負荷の軽減や輸送の効率化などを見据えた古くて新しい考え方です。成長する電子商取引に対応するためには、改めて大量輸送機関とトラックの組み合わせ輸送の促進が必要であり、そのための法制面や環境の整備や、システムの開発が求められています。

分野: 国際ロジスティクス |スピーカー: 星野裕志

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ