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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 20年も不況が続いたのはなぜか? (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

20年も不況が続いたのはなぜか?

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

18/09/27

今日はバブルが崩壊した後、日本は20年以上も不景気が続きました。その理由についてお話ししましょう。バブルが崩壊したのは1990年頃です。崩壊した当初は景気が良かったことの反動で景気が悪くなったわけです。バブルの頃は、消費者は立派な車を買ったし、立派な家具を買ったし、会社は大きな工場を建てて社員を大勢雇いました。バブルが崩壊してからじっくり見ると、みんなが車や家具を持っているので新しく車や家具を買いたいという人が残っていなかったわけです。そんな時に車や家具の会社が大きな工場を持っていてもあまり車や家具が売れないという事になると、新しく社員を採用する必要もないので、採用する学生の数を大幅に減らしたわけです。それによって、学校を出ても就職出来ずにアルバイトなどで生計を建てざるを得ない、ワーキングプアと呼ばれる人々が大勢できてしまったということです。

普通は景気が良すぎた後に反動で景気が悪くなってもそんなに長くはないのですが、バブルの時は景気がものすごく良かったので、山高ければ谷深しということで数年間は続いたわけです。でも数年経ったら景気が良くなったかというそうではなくて、今度は銀行の不良債権問題が深刻化して景気が悪くなりました。銀行の不良債権問題はちょっと分かりにくいのですが、バブル期に銀行から借金をして不動産を買った会社が次々に倒産をして、借金が返せないから銀行が赤字になったわけです。ここから先ですが、銀行の赤字が続くと銀行の自己資本が減ってきます。自己資本というのは株主資本とか純資産とか呼ぶ人もいますけど、バランスシートの右下部分のことです。銀行には自己資本比率規制と言われる規制がかかっています。BIS規制とかビス規制とか呼ぶ人もいますけど、すごく簡単に言うと銀行は自己資本の12.5倍までしか貸し出しをしてはいけないという規制です。

例えば銀行が自己資本の100倍、あるいは1,000倍の貸し出しをしているとします。お金を借りている100社の内、2社が倒産するともう銀行は自己資本がマイナスになって銀行自身が倒産する可能性が出てきます。銀行は簡単に倒産してもらっては困るので、普段から貸し出しをしすぎないようにしなさいという厳しい規制がかかっているのです。この規制自体はよい規制です。銀行がしょっちゅう倒産したら困りますからね。しかし、バブルが崩壊した時にはこの規制はとっても邪魔になりました。自己資本比率規制があると銀行の自己資本が減ってきた時に、銀行が貸してもいい金額が減ります。段々減ってきてついには銀行が今貸している金額でさえも自己資本の12.5倍よりも多くなっているということになるわけです。そうなると銀行はお客さんに電話して貸しているお金を返してと言わないといけません。この様にして、倒産する会社が増えて景気が悪くなったわけです。結局は政府が銀行の自己資産を増やしてやらないといけないので、銀行の増資を引き受けるという事をしました。それによって景気は最悪期を脱したわけですが、それでもなかなか本格的に景気が良くなることはありませんでした。日本の景気が本格的に回復するはずだったのにしなかったのはどうしてということについては、色々な事を言っている人がいるのですが、私は日本人が勤勉に働いて倹約に努めたからだと考えています。

世の中にはみんなが正しいことをするとみんながひどい目に遭うということがたくさんあり、これを合成の誤謬と言っています。これがバブル崩壊後の日本経済に起きたというのが私の考えです。日本人は勤勉なので、みんなが一生懸命働いていっぱい物を作るわけです。一方で日本人は倹約家なので欲しい物も買わずに我慢して貯金しようともします。その結果、日本中でものすごくたくさんの物が作られるのだけど、ちょっとしか売れないので売れ残るものがたくさん出てきました。物は作ったけど売れ残った会社は倒産するので、そこの社員が失業して、今度は失業した社員が給料を貰えなくなるので物が買えなくなって、ということで更に物が売れなくなり倒産する会社が増えて...という悪循環に陥ったということです。勤勉に働いて倹約して豊かになろうとみんなが考えた為に、みんなが貧しくなってしまったというのがバブル崩壊後の長期低迷期の後半部分だったと私は考えています。

本当に皮肉な話ですね。ただ、少子高齢化によってようやく日本経済は合成の誤謬ということから抜け出そうとしているので、黄金時代が来ると私は考えているわけです。高齢者が定年で引退するという事は、今まで現役世代が泣く泣く失業していたものを、高齢者が定年で引退することによって自発的かつ永遠に失業を引き受けてくれるという事になります。それによって現役の失業者が減って、現役の人達がみんな生き生きと働ける時代になる。それは素晴らしい時代だよねと考えているわけです。

今日のまとめです。バブル崩壊後の長期低迷期は好景気の反動、金融危機に次いで人々が勤勉に働いて倹約したことによる合成の誤謬が原因でした。少子高齢化による労働力不足が合成の誤謬を解消してくれると期待されます。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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