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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 政策デザイン講義④政策はだれがつくるか 海外の事例2 (公共政策、地域政策、産学連携/谷口博文)

政策デザイン講義④政策はだれがつくるか 海外の事例2

谷口博文 公共政策、地域政策、産学連携

18/09/25

前回シアトルを例に、特に地域の経済成長を目指す成長戦略の策定や実施について、経済圏全体をカバーするグレーター・シアトル・パートナーズという広域の官民連携組織が、行政だけではなくて色々な企業と一緒になって、その地域をいかに活性化していくかということに力を入れていることをお話しました。今日は同じような例が他でもあるので、これをご紹介したいと思います。

具体的にはイギリスにローカル・エンタープライズ・パートナーシップ、LEPと言われる制度がありますが、これもやはり地域の経済活性化策を具体的に企画立案してそれを実施する、自分でやるという仕組みです。これはグレーター・シアトルとは全く別に動いていながら共通点が沢山あります。
まず一つがやはり官民連携組織があることです。グレーター・シアトルと同じように、民間が主体的に動くということで、イギリスの場合にはトップは企業の代表者がつくことになっています。
第二にこれも大事なことですが、行政区域と関係なく経済の実態に合わせた実質的な経済圏というものを対象にしているということです。日本だと行政が政策をやると、どうしても市の境界線で分断されてしまいます。これに対してLEPやグレーター・シアトルについても実質的な経済圏というのを中心にして行うことが二点目です。
三点目は、どのような事業をやるかということですが、これもシアトルに似ています。まずあるのが成長産業の育成です。特にイノベーティブな産業をどうやって育てるかということに集中しています。そしてもう一つは交通インフラです。これがやはり経済活動の基盤になるので、それを整備します。そしてそこに人を集めてくる人材教育、或いは就業支援といったような内容があります。
この三つはシアトルとほぼ同じで、イギリスのLEPの場合には業務内容をそれぞれ自分で決めることができるので、例えば観光振興を行なっているLEPもあります。

このようなやり方は日本とは大分違います。日本だと地方創生を見ても分かるように、まず国が枠組みを決めます。霞ヶ関がメニューを作っておいて、このメニューに沿ってこのようなことをやったら補助金を出しますという要綱があって、国に採択されればその交付要綱に従ってお金が来て、実施します。これを見ただけでも官主導、かつ中央主導ということが見えてきますが、シアトル或いはイギリスの例を見ると、明らかに民間主導かつ地域主導ということになります。ここが正に政策は誰が作るかと言っていたところと直接関係しているわけで、地域の経済を活性化させるためには自分ごととして動かしていく関係者を巻き込むということが大事ですが、日本の場合にはなかなかこれが進んでいないのが実態と思います。

実を言うと、福岡の場合はLEPとかグレーター・シアトルに近いやり方で今やっています。元々きっかけになったのは、国際地域ベンチマーク協議会、IRBCという国際会議の3回目の総会が福岡で開催されたことです。これは2010年と思いますが、この中心になっていたのが実は先程のシアトルで、具体的に参加しているのは、バンクーバーやバルセロナ、ミュンヘン、メルボルン、ダブリンなど、必ずしも首都ではない中規模、中核的な都市です。この会議をきっかけにして福岡地域戦略推進協議会(FDC)が2011年に出来ました。具体的に言うと、FDCは官民連携組織で、会長は九州経済連合会の会長、実際にこれに参加しているのは地場の主要企業、商工会議所、これに加えて福岡市、福岡県、これに大学も加わって産学官による任意団体です。そしてもう一つ、この対象は福岡市だけではなく福岡都市圏です。これは17市町ありますが、いわば一つの経済圏としてやっていくということで出来たのが二つ目の特徴です。三つ目には計画を作るだけではなくて、実際に自分でやりますよという人達を一緒に巻き込んで、オープンプラットフォームとして事業を形成しているということです。このようなことで会員も既に170を超えていて地元だけではなくて、首都圏の大企業もメンバーに加えて、特に国家戦略特区を使った事業の組成をここでやっていて、全国でも非常に注目されているやり方です。

今日のまとめです。このような地域経済活性化のための施策というのは、政策は官が作る、政府が作る、中央が作るということではなくて、地域の関係者を皆巻き込んで皆それぞれが自分ごととしてそこに関与し、立案し、実行していくということがとても大事なことで、このようなやり方、政策の作り方をこれからの日本は進める必要があります。

分野: 企業家リーダーシップ |スピーカー: 谷口博文

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