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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コモディティ化時代におけるニーズの具体化策 (マーケティング/岩下仁)

コモディティ化時代におけるニーズの具体化策

岩下仁 マーケティング

18/08/08

今日は、コモディティ化時代の製品開発、あるいはサービス開発について話を進めています。コモディティ化時代においても様々な視点、或いは工夫をすることによってお客さんの琴線に触れる製品やサービスを開発出来るというお話をこれまでしてきたわけですが、優れた製品やサービスを開発する際の前提条件として不可欠な事は、製品やサービスが顧客ニーズを満たすものであるということです。ただ、マーケティングの教科書を色々読んでみますと、顧客ニーズというのが非常に抽象的な言葉でビジネスにどう展開していいかわからないケースに陥ると思います。

ニーズというと一言で片付くのですけれど、具体的にではどうなのかというところがなかなかわかりにくいと思います。そこで本日は、顧客ニーズをわかりやすく具体化する方法としてハーバード・ビジネススクールのクリステンセン教授が提唱するJobs To Be Done、この頭文字をとってJTBD理論についてお話をしたいと思います。

JTBD理論を説明するにあたっては、植木屋さんを例にとって話を進めていきたいと思います。一般的に植木屋さんを利用する顧客像に皆さんはどのようなイメージを抱きますか? イメージするキーワードとしては、広い庭ですとか、沢山の植木、或いはお金持ち、そういったイメージを持たれるかと思います。ところが実は現代の植木屋さんを利用する方の多くは、ある問題を抱えているが為に植木屋さんの力を必要とするケースがあるのです。

これを先程お話しましたJTBD理論に基づいて説明しますと、私たちが日々の生活で直面する問題のことをジョブと呼ぶわけです。日本語では用事という意味で、今日用事があるから出かけますと言うときの、その用事のことです。つまり製品がどんな用事をするために使われるのか、或いは上手く出来ずにいる用事は何なのかを知ることによって製品開発の明確な方針を発見できるのです。用事を明らかにすることによって顧客ニーズを具体化し、具体化した内容を製品開発やサービス開発へと展開していっているわけです。

引き続き、植木屋さんの例を取ってこの用事について説明していきたいのですが、近年植木屋さんをお願いしているお客さんの用事とは一体何なのでしょうか? 実は他者への配慮という用事が多く見られています。例えば、敷地内に生えている庭木の枝が隣の家に侵入し始めたために迷惑をかけないように枝を切りたいですとか、空き家になっている実家の庭が荒れ放題、だからなんとかしたいと思っていてもあまりにも伸びすぎた庭木は手間も掛かりそうですし、何よりも危険です。現代の植木屋さんの顧客には庭木を美しく切りたいという欲求だけではなくて、別の欲求がある、これが現状なのです。

用事というのは何か困っていることがあって、それを解決してほしいとか代わりにやってほしいとか、そういうことが正にこのニーズが具体化されている状態になるわけです。この用事の解決を目指して創業されている植木屋さんが、名古屋にある「株式会社oh庭ya」です。

植木屋さん仕事を全国展開しているこの会社は、家の庭が減って衰退している植木業界では異例の増収増益を記録しています。oh庭ya社の基本思想はホームページを見るとよく分かると思います。通常はトップページに書かれていそうな、技術ですとか職人といった言葉が全く書かれていません。その代わりに、ご近所トラブル、通行人への配慮、歩きやすさといった庭をお手入れする理由に関する言葉を並べているのです。つまり庭周りの用事、これが全てのビジネスの原点になっているのです。

サービスメニューも用事に細かく対応して多種多様です。サービスの提供は庭単位ではなくて、庭木一本、草むしり1㎡のタスク単位となっています。狭い日本の庭ではお客さんの用事は沢山の庭木ですとか広い庭だけから生まれるわけではありません。狭く細かなサービスを組み合わせられる事によって多様な顧客の問題解決を実現しました。JTBD理論によれば、用事によって問題を具体化することによって、製品やサービスを利用するニーズがわかれば企業がどのようなアクションをとればよいか発見できると思います。

大きく分けて3つの発見方法があります。一つ目が製品改良の正しい方向性の発見です。先程の通行人への配慮という用事であれば強化すべき技術は枝刈りではなくて、切り口の安全確保が重要になりますよね。したがって、枝の先端を丸めるといったような配慮が必要です。

二つ目が真の競争相手の発見です。隣人トラブル回避という用事でしたら、注意すべき競争相手は他の植木屋さんではなくて、便利屋さん、或いは掃除業者となるわけです。ですので、便利屋さんや掃除業者との差別化がポイントです。三つ目が新市場の改革です。現在世の中には顧客の用事という視点から考えるとふさわしい製品やサービスがないということが言われています。そのため、満たされないニーズや見逃してきた顧客を発見できるわけです。植木屋さんにはない、例えば庭の害虫駆除といった様々なアイデアが生まれる可能性があるかもしれませんね。

今日のまとめです。本日はニーズを具体化するJTBD理論について話を進めてきました。oh庭yaの例から分かるとおりジョブ、つまり用事を明らかにすることによって製品の明確な方針を発見できるのではないでしょうか。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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