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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > EU離脱交渉の進捗 (企業財務 M&A/村藤功)

EU離脱交渉の進捗

村藤功 企業財務 M&A

18/08/03

今日は、イギリスのEU離脱の話です。2年程前に国民投票をやって離脱すると言って、去年の3月に離脱通知を渡しました。その後、イギリスは最初に通商関係の交渉をしたかったのですが、EUはどうやって別れるかという条件交渉に合意してくれないと嫌だということで、清算金500億ユーロ払えとか、相互に市民は尊重するようにというような事を決めて、まあいいかというので、アイルランド問題だけ棚上げにして通商関係の交渉をしようという話になったのです。

一番最初に交渉したのが、移行期間を設けないとやっぱり間に合わないという移行期間についてです。来年の3月に離脱するのですが、関税同盟には留まり移行期間を2020年まで設けて、今年の10月くらいまでには政治宣言を同意しようという話になりました。ところが最近、先送りにした北アイルランド問題が全然解決出来ないのです。アイルランドは北がイギリスの領土で、南の方がアイルランドという国です。そこに国境があるのですが、お互いにあまり色々な手続きをしないという状況だったのです。これをいったいどうするのかという問題です。出来るだけ開放的にしておくという話だったのですけれど、具体的にどうしたいか提案してくれと、EUがイギリスに言っていたのでした。これでイギリスが大変な提案をしたのです。

その提案は、イギリスはEUの基準を全て守ってこれに合わせるので、EUとイギリスを含む自由貿易圏を設定したい、ということでした。例えば、南アイルランドから北アイルランドに来てEUに行くものについてはイギリスがEUのために関税を徴収するから、アイルランドの南と北の間には何もしないことにしようみたいな提案です。これに対してEUは、今まで人が来るのは嫌だと言っておきながら自由貿易の中に留まろうとするのは良い所取りだから、絶対許さないと言っているのです。

保守党の中には、人が来るのが嫌だといって離脱するのだからEU市場の一部になりたいというべきではないという強行離脱派がいます。メイ首相も最初は強行離脱派だったのですが、選挙に負けて立場が弱くなったので、穏健離脱派というどちらかというとEUと一緒に自由市場を作ろうという提案をしました。そのため、デービス離脱担当相やジョンソン外相が怒って辞めてしまったのでした。

EUもそんな良い所取りは許さないと言って拒否しているところです。そうすると、10月までにもしアイルランド問題等が合意出来ないと何が起こるかというと、今まで合意したことが全部チャラになってしまいます。2020年まで関税同盟に残るとか言っていた事も含めて全部チャラになってしまって、無秩序離脱という、全てこれから交渉しないといけないという状況になってしまいます。EUは人を受け入れずに自由市場に残るようなことは許さないと言っており、アイルランド問題をきっかけに無秩序離脱の可能性がものすごく高まってきたということで、イギリスの中で最近大騒ぎになっています。

ある意味、2020年まではとりあえず大丈夫だろうと日本も含めて海外の企業は思っていたのですが、無秩序離脱ということになると離脱した途端に来年の4月から関税が掛かってきますから、あわてて日本企業もイギリスから逃げないといけない。本来メイ首相は、人が来るのは嫌だと言っておきながらEUの市場にいたいみたいなこと言うのは恥ずかしくて嫌だということで強行離脱派でした。ところが、選挙で負けていろいろEUに強いことを言われて、しょうがなく穏健離脱を提案したら、今度は仲間であったはずの保守党のデービス離脱担当相とかジョンソン外相が政権から逃げてしまいました。

もう2、3ヶ月で10月なんて来てしまいますから、本当に無秩序離脱になってしまったら大混乱ですよ。トランプ大統領まで離脱賛成みたいなこと言っていて、デービスやジョンソンが辞任したところでメイさん馬鹿じゃないのかとか、ジョンソンに変わった方がいいんじゃないかといっています。ジョンソンもどこかでその気になるかもしれないのですが、今自分がなったら大変だと思っているのか、今のところとりあえずメイ首相を維持しようみたいなことを言ってはいます。イギリスがどういう形でEUを離脱しようという話なのか、さっぱり分からなくなってきたということですね。

一方で、EUも結構困ったことになっています。EUというとどこの国が一番偉いのでしたか?ドイツにはメルケル首相がいますよね。去年の9月くらいにドイツの選挙があり、そこでメルケル首相の率いるCDU・CSUが第一党になったのですが、一緒にやっていたSPD(ドイツ社会民主党)が逃げてしまって、政権を作れないという状況に一度なりました。FDP(自由民主党)と連立しようとしたのですが2ヶ月くらいしたところで破綻してしまって、大統領がSPDに連立に戻れといって、それで6ヶ月位経ってやっと今年の3月に新政権が発足しました。

SPDが何とかなったと思ったら今度はCSUです。メルケル首相のCDU(ドイツキリスト教民主同盟)はもともとCSU(バイエルン・キリスト教社会同盟)と連立しています。CSUからはゼーホーファー氏が内務大臣として出ているのですが、難民にあまり優しくすると右翼が勢いを伸ばすと考えている人です。メルケル首相は難民に優しくしすぎるということで、ドイツの右翼はメルケル首相に怒っているのです。難民問題が今どうなっているかですが、2015年に182万人くらいEUにやって来ました。しかし、今はものすごく減って20万人くらいです。なぜ減ったかですが、来るルートに東地中海ルート、中央地中海ルート、西地中海ルートがあります。東地中海ルートというのがシリア辺りで一番沢山難民が発生していて、北上してトルコからギリシャに来るルートです。それから、リビアからイタリアに来るのが中央地中海ルート。西地中海ルートというモロッコから北上してくるというところもあります。

これに対してEUは何をしたかというと、入ってくる所の国で止めてくれと、つまり、トルコとかリビア辺りで止めて下さい。そのかわりに、ちょっとお金を払ったりしました。そういう意味では、減ったといっても止めて頂いているだけで、EUの決まりでは最初にEUで来た国、つまり、ギリシャとかイタリアが面倒をみないといけません。ただその後、ドイツに来たりするわけです。ドイツに来ることを許さないというのが、CSUのゼーホーファー内務大臣が言っていることです。ダメなら俺はもう政権離脱だみたいなことを言って、そういう意味では元々仲間だった人たちがそんなことを言い始めて、一旦出て行ったSPDを無理矢理呼び戻したことに加えて、メルケル首相の寄って立っている政権基盤がものすごく脆弱になっています。イギリスだけでなく、EU自体もすごくばたばたしているという状況になっています。

今日のまとめです。今年の10月に色々な事を決めて、来年の3月にイギリスがEUを離脱ということなのですが、どうもいろいろ解決できていません。特に北アイルランド問題を解決できなくて、今まで合意した全てが白紙となる無秩序離脱になりそうだという状況になってきました。そうなると、日本はイギリスからEUを攻めようという話なので、慌てて何かしないといけないという状況になってきたということです。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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