QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 多様性のベネフィット② (国際経営、国際物流/星野裕志)

多様性のベネフィット②

星野裕志 国際経営、国際物流

18/08/01

前回は、ダイバーシティ・マネジメントという考え方をご紹介しました。企業の中で、国籍、性別、年齢、宗教、人種、学歴など、ひとりひとりの違いを活かしてそれを価値に変えるという考え方でした。

神戸大学の恩師の吉原英樹先生が、日本の企業は、なぜ「女性、外国人、MBA」を活用しないのか理解に苦しむとよく言われています。

ビジネススクールで教えていると、確かに優秀な女性、外国人、専門的な経営教育を学んだMBA(経営修士)がいるのに、企業が積極的に採用しないのは、もったいないと思います。日本企業が、より消費者の多様なニーズに対応するために、海外に事業を展開する上で、あるいは戦略的な経営を考えたときに、女性、外国人、MBAの能力活用はとても重要だと思うのですが、現実には、日本企業は日本人の男性を中心に経営されています。

多様性の活用というのは何も特別のことではなく、いろいろな人の持つ多様な能力を活用するという点では、当たり前とも言えます。

ダイバーシティ・マネジメントという考え方自体が出てきたのは、1960/70年代くらいからです。その後、1980年代半ばくらいから企業の導入が開始されたため、それほど昔からある考え方ではありません。1960年代のアメリカの公民権運動が始まりと言われています。1964年の新公民権法で人種的なマイノリティの差別の解消が図られて、その後に企業や大学進学に、マイノリティに対するアファーマティブ・アクションいわゆる優遇策が導入されました。

企業のダイバーシティ・マネジメントの取組みは、むしろ多様な人的資源を活用していることの企業イメージの向上やCSRという観点から始まりましたが、それがその後に多様性の活用が企業の強みになると気がついたということです。

では、なかなかその重要性に企業が着目せず、それほど浸透しなかったのは、どうしてなのでしょうか。
前回の冒頭に、多様なメンバーが同じチームで仕事をすることの是非をお聞きしました。
明らかにプラスのベネフィットがある反面、多様性には問題もあるということでした。

まずベネフィットですが、いろいろな視点やものの見方で考えること、環境変化に柔軟かつ能動的に対応できるなどがあります。例えば自分では思いもつかなかったアイデアや視点が持ち込まれることが期待できます。

その反面、問題はといえば、摩擦や緊張感、コミュニケーションの問題もあり、合意形成に時間がかかること、組織としての一体感やうまくまとめることのリスクもあります。つまり、同じチームでプロジェクトに取り組むことを考えても、あまりにもメンバーの考えが隔たりすぎていると、なかなかまとめづらく、そのことが返ってストレスになる可能性があります。そのため、阿吽の呼吸で済むいつもの仲間と仕事をしたがる傾向があります。
こういった理由から、日本企業では日本人の男性社員を中心に企画して判断することのほうが、違和感がないということになるのでしょう。それで日本企業の競争優位性が維持できるのであれば、それでよいと思います。

ただ前回もお話したように、日本の企業がこれからビジネスを展開しなければならない海外の市場や顧客は、いままでの知識や経験を超えたものであるならば、外国人を含めて多様な経営資源の取り込みが必要になるのではないでしょうか。

例えば、北米、ヨーロッパ、中国、ASEANではビジネスの長い経験のある日本企業ですが、開発途上国や中南米、アフリカなどの経験は明らかに限られています。そう考えれば、このような国からの優秀な留学生の確保なども、これからの重要な課題になると思います。

今日は、外国人を中心に話してきましたが、多様性の要素である性別、国籍、年齢、人種や宗教の人たち、あるいは最近ではソーシャル・インクルージョンという社会的な包摂として障害のある人も含めて、多様性を取り込んでいこうとすれば、それなりの環境設定が必要に思います。

つまり、今の日本企業であれば、せっかく多様な人材を採用しても、やりがいをもって働くには、まだまだのように思います。門戸を開くだけでなく、評価制度やサポートシステムの充実、情報の共有のためのコミュニケーションの円滑化、社員の間に多様性を追求することの意義やベネフィットの共有など、快適に働ける環境づくりが不可欠だと思います。つまり、多様な人材を採用すれば、多様化が進むということではないということです。

では、今日のまとめです。
企業が多様性を優位性につなげるダイバーシティ・マネジメントについて、前回に続いてお話しました。多様性は良いことばかりではなく様々な克服すべき課題もあります。多様性のベネフィットを得るためには、日本企業は組織として変わらなければいけないということです。

分野: 国際ロジスティクス |スピーカー: 星野裕志

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ