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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > KTH(スウェーデン王立工科大学)のオープン・ラボ (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

KTH(スウェーデン王立工科大学)のオープン・ラボ

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

18/07/27

【今回のまとめ】
・スウェーデン王立工科大学に設置されているオープンラボは、市民も交えて様々なイノベーションに取り組める場所が設けられており、アクティブな雰囲気が形成されている。

・ストックホルムで、KTH(王立工科大学)のオープン・ラボを訪問する機会があったので、その様子について話したい。
・オープン・ラボは、世界的にもよく知られるKTH(スウェーデン王立工科大学)の最寄りの地下鉄駅からキャンパスに入ってすぐのアクセスの良い場所に立地しており、KTHの学生や市民が気軽に利用できるようになっている。
・KTHやカロリンスカ研究所をはじめ近隣の大学や、ストックホルム市、ストックホルム市議会などの行政機関が連携して運営している。
・そのミッションは、「ストックホルム地域の居住者の生活の質を向上させるため、社会イノベーションを実現する環境を創り出す」とされ、学問分野や専門性を超えて人々を集め、社会の課題解決のためにイノベーティブなソリューションを見出すという目標が示されている。都市の問題として具体的に掲げられているのは、「持続可能な都市開発」「高齢化への対応」「人々の健康」「教育」の4つだ。
・オープンラボのキャッチフレーズは、"Where WeQ beats IQ"だ。つまり、人々がオープンに集まって多様性を持ち寄る(weのIQを持ち寄る)ことで、一人で取組む(IQ)よりも創造的な解決策を導き出せるという考えだ。
・オープン・ラボが提供しているのは、修士向けの「デザイン思考」のコース、関連科目、コワーキング・スペースとコミュニティ、カンファレンス・センター、様々なプロジェクトとの協同の機会である。参加希望者はリストに登録され、IDカードを持って施設を24時間いつでも利用できる。現在は70名程度がこのオープン・ラボに籍を置いているとのことである。これには、KTHの学生のみならず近隣大学の学生や市民も含まれる。
・建物内の部屋に入ると、ポストイットがベタベタと貼られ、マーカーで様々な情報が書き込まれたホワイトボードがあちこちに散在している。ソファや卓球台も置かれて、気軽な雰囲気でイノベーションに取り組めるように配慮されていることがひと目でわかる。
・ひときわ大きな壁には、現在進行中のプロジェクトのメモが、「挑戦」→「理解」→「創造」→「普及」→「インパクト」の項目別に貼られているのだが、そのボードの最上部には、"Do it, think, do it again..."と大きく掲げられている。これは、誰も取り組んだことのないイノベーションは、始めるときはゴールすらはっきりしないので、まず行動しないと何もわからないので行動すべき!というメッセージが込められている。
・地下には工作室が設けられ、様々な工具や3Dプリンターが設置されているのだが、そこには"IDE[A]CTION"という造語(アイデアだけでなく、行動しろ!という意味)が掲げられており、行動することの重要性が利用者に印象付けられるよう工夫されている。
・また、建物内のあちこちの壁には、様々なプロジェクトや短期の教育プログラムの案内が掲示されている。例えば、"Craft Academy"という12週間のブートキャンプ・プログラムでは、ネット上のサービス提供に不可欠なコードを学ぶことができる。
・ユニークなのは、スペースの一角に結構大きなスペースでキッチンが設けられていることだ。スウェーデン人が料理好きだという理由もあるらしいが、イノベーションやクリエイティビティはしばしば料理と関連付けられ、料理や食事のときの何気ない会話が新しい創造性に結びつくことが期待されているように見える。(かつて訪れたフィンランドのアアルト大学でも、キッチンスペースがイノベーションのアイデアを出す格好の場所として設置されていた)
・このオープンラボは、約1.6億円/年の予算が付けられ運営されているが、その他に、関連組織やEUなどがプロジェクトや教育プログラム・イベント毎に計1.8億円程度の予算が措置されている。
・このようなオープン・ラボのスペースは、九大のQREC(アントレプレナーシップ・センター)にも設けられているが、KTHのものは非常にアクティブな印象であった。道具やスペースを設けることが目的ではなく、そこから創造的なアイデアやイノベーションが生み出されることが重要なのであり、KTHのオープンラボでは、アクティブな環境づくりに資源を割いて運営がされている点が印象的であった。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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