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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > EVと開発競争 (企業財務 M&A/村藤功)

EVと開発競争

村藤功 企業財務 M&A

18/06/07

今日は電気自動車の開発競争の話をしたいと思います。トヨタが元々考えていた事は、車は将来的には電気自動車になるかもしれないが、プラグインハイブリッドは当分売れるし、水素自動車が本命ではないか、ということでした。それが、電気自動車シフトがあまりにも早く起こって来ているため、ちょっと色々ばたばたしています。ここのところ、この流れはどんどん加速しており、フォルクスワーゲンの失態以来ディーゼル車はもう駄目ということで、トヨタ・日産・ホンダはヨーロッパのディーゼル車市場から撤退しました。フィアットもヨーロッパの会社であるにも関わらず、ディーゼル車は止めるというような話になっています。水素自動車も、水素ステーションの整備のスピードがどうも間に合わなそうです。

結局、温暖化対策や大気汚染防止では、中国が一番心配なわけです。それで、来年2019年は新エネルギー車を10%は作らないといけないとか、再来年の2020年には12%作らなくてはいけないという義務を自動車メーカーに課しています。また、2025年には新車の20%は電気自動車である事を目指しています。なぜそんな事を言っているかというと、背景の一つとして電気自動車の最大の重要部品の一つに、電気自動車用電池(EV電池)があるからです。EV電池における中国企業の世界シェアは60%もあり、世界No.1は中国のメーカーなのです。

中国は電気自動車を普及させて、EV電池で世界の覇権を握るという作戦です。ヨーロッパでも、元々大して自動車に強くなかったイギリスやフランスは、2040年までにガソリン車もディーゼル車も禁止です。ドイツはあまりにも沢山ガソリン車・ディーゼル車があるのですぐには禁止にしませんよという話ですが、世界の潮流が電気自動車の方向に向いてきています。

その様な中で、またまたトランプ大統領が爆弾発言をして、今まで2.5%だった自動車への関税を25%にすると言い出しました。特に日本とドイツがひっくり返ってショックを受けているところです。今までも鉄鋼やアルミで他の国を怒らせていたのですが、鉄鋼はちょっと関税かけたってどっちみち日本から買うのだからそんなに大した話ではない、と日本はまだそんなにショックを受けていませんでした。ところが、アメリカで販売されている自動車の40%位が輸入です。中でもNo.1と2が日本とドイツからで、自動車輸入額はものすごい金額になります。そこに25%関税かけるという事で、ひっくり返って大騒ぎしているのです。

もう既にトランプ大統領対その他で貿易戦争が始まって、G7がG6+1みたいになっています。とりあえずEUやカナダ・メキシコは鉄鋼・アルミの関税は一時かけないであげようと言っていたのですがやっぱりかけるみたいなことになって、皆WTOに提訴だと大変な戦いになっています。日本は電気自動車に移行すると、EV電池開発をなんとかする必要があります。ここで完全に中国にやられてしまうわけにはいかないのです。今EV電池は液体電池なのですが、これを液漏れがせず安全で組み立てやすい全固体電池にしようとしています。日本は全員協力しないと世界で勝負できない状況になっていて、官民連携したチームで全固体電池を開発しようという話に今なってきたという状況です。ガソリン車が電気自動車になってしまうと、部品も全部機械系から電気系に変わってきてしまいます。日本はずっとものづくり、特に自動車をはじめとする、摺り合わせのものづくりがとても強かったのですが、電気系になるとパカパカッとモジュールを組み立てればOKになってしまう事になり、日本の強みを活かせなくなってしまいます。

次の目標は、自動車の自動運転という話です。全部自社でやるのはなくて、得意な所が組んでやるという事が起こり始めていています。Googleはウェイモという傘下の会社を通じて自動走行実験を繰り返して相当なノウハウを積み上げてきました。フィアット・クライスラーグループとGoogleのウェイモが提携して自動運転やりましょうという話になっています。GMが組んだのはなんとソフトバンクです。

孫社長はサウジアラビアで、「もう脱石油は時間の問題でしょう、石油じゃない事を何かしなくてはいけません。私にお任せ下さい、だからお金を預けて下さい」と言って、ソフトバンクビジョンファンドというとてつもない金額をITに投資する資金をゲットしました。ソフトバンクビジョンファンドからGMの自動運転に投資するとGMは大喜びということで、世界で様々な提携が始まっています。しかし、日本は電気産業がやられたときと同様に、とりあえず何でも自分でやるかみたいなことをやっているのでちょっと心配です。前はアメリカの研究開発と台湾の受託製造業がくっついてしまって、全部自分でやっていた日本は敗れ去ったわけです。日本も今後は手分けして自分の強いところだけやるという形にして勝負しないと、また業界を一つ潰すのじゃないかという状況です。

今日のまとめです。ガソリン車から電気自動車への転換やAIの導入の動きが加速してきています。アメリカが輸入自動車の関税を2.5%から25%へ上げようとしており、これが実現すると日本・ドイツ・メキシコ・カナダは自動車のサプライチェーンマネジメント戦略の再構築を迫られます。特に、今戦いになっているのが電気自動車用の電池開発競争です。中国がNo.1ですが、パナソニックや日本電産も必死に追いかけるというところです。トヨタをはじめとする日本はまだ水素自動車を諦め切れてはいないのですけれど、EVにしてやられつつあるという状況で、トヨタはグループ最適化の為に一部の工場をデンソーに移すといった動きもあるという状況です。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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