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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ファイブフォースモデル(2) (企業戦略、生産管理/目代武史)

ファイブフォースモデル(2)

目代武史 企業戦略、生産管理

18/06/05

前回ファイブフォースモデルを紹介しました。企業戦略をつくる時に外部環境分析でよく使われるものが、このファイブフォースモデルです。五つの競争圧力が強まれば、業界の競争環境も激化するという話でした。その五つの競争圧力を改めて紹介します。まず一つ目が、業界内の既存企業間の敵対関係です。二つ目が、新規参入の脅威、三つ目が供給者の交渉力、四つ目が顧客の交渉力、最後の五つ目が代替品の脅威です。この圧力が強まれば強まる程、業界の競争も大変になっていくという事です。
このモデル自体はビジネススクールではよく知られているモデルですが、これを使いこなせているかというとなかなかそこまでいっていません。原因は、このモデルを活用する際のそもそもの出発点にあります。そこで今日は、このファイブフォースモデルを使いこなしていく上で、注意点について解説していきたいと思います。

ファイブフォースの要因の一つである代替品について取り上げてみたいと思います。次のような問題を考えてみます。ハンバーガーショップにとっての代替品というとどのようなものが思い浮かぶでしょうか?ファーストフードだから、手軽に食べられるコンビニのサンドイッチや牛丼、ラーメンなどが思い浮かぶと思います。それから例えば、自動車の代替品はどうでしょうか?電車やバス、それから移動手段なので、自転車なども代替品になります。その他、最近の例で言うとカーシェアリングも代替品になり得ると思います。カジュアルウェアの代替品はどうでしょうか?なかなか難しいと思います。よくあがるのが、スーツ等のフォーマルウェア、あるいはスポーツウェアです。本質的な代替品かというと違う感じがすると思います。この問題に答える為には、もう一度代替品の定義に立ち返る必要があります。

代替品とは、同じような機能や同じようなニーズを別の方法で満たす製品やサービスの事です。だから、カジュアルウェアの代替品が何かを考えるためには、カジュアルウェアが提供している機能や満たそうとしているニーズがそもそも何かという事を考える必要があります。では、カジュアルウェアが提供している機能あるいは満たそうとしているニーズは、例えば体温の保持や体の保護といった着るものそのものとしての機能があります。その他には、例えば社会あるいは組織の中でのふさわしい服装というものがあります。あるいは、ふさわしいふるまいであったり、社会的ステータスの表現であったり、あるいは友人や異性へのアピールであったり、そのような社会的な機能があると思います。それから自分らしさの表現という事で自己表現の機能もあります。
このように考えると、これらを別の手段で満たすものやサービスは何かとなってきます。社会的な機能という点では例えば時計やアクセサリーも代替品になりえるかもしれません。それから自己表現という点でいうと、例えばメークやヘアスタイルも代替品になるかもしれません。さらに考えを進めてみると、カジュアルウェアのショッピングは単にものを買うだけではなくて、買い物という行為そのものを楽しむという面もあります。友人と楽しい週末を過ごす為にある時間とお金をどう使うかという事になり、カジュアルウェア業界が提供しているものは、単に物理的な着るものというだけではなくて、楽しいショッピングの時間や空間といった体験かもしれません。そうすると、カジュアルウェアの代替品、代替サービスといった方がいいかもしれませんが、週末のひと時を過ごすためのカフェであったり、自分磨きの為の稽古事、例えば英会話であったり、そのようなものがカジュアルウェアショップに行くかわりにカフェに行こうと、そういった形でしらない間に、お客さんを奪われて商売が難しくなっていくという面も出てくる可能性があるわけです。

このように、ファイブフォースモデルで最も重要な事は、自社が関わる業界とはいったい何かという事を見直すことです。売っている商品でもって業界を定義していくと、分析の視野が狭まってしまって、柔軟性が欠けてしまう可能性があります。カジュアルウェアの代替品としてフォーマルウェアやスポーツウェアという答えしかうかばなかった方というのは、カジュアルウェアという物理的な製品に発想がとらわれていたからです。それを着るものであると定義づけてしまっているという事です。

実は、マーケティング論の大家であるセオドア・レビットが同じ事を言っています。業界の捉え方には物理的定義と機能的定義があると述べています。物理的定義というのはまさに製品そのものによって業界を定義する事、機能的定義というのはその製品やサービスを通じて提供しようとしている価値や機能に基づいて業界を定義する事です。例えば鉄道業とか航空業界では無くて、輸送業といった具合に定義します。この事は、ファイブフォース分析にも当てはまると言えます。自動車業界やカジュアルウェア業界と捉えてしまうと、既存の競争相手しか目に入らなくなってしまいます。しかし、例えば、自社をパーソナルモビリティー業界、ショッピングエンターテイメント業界と捉えなおすと、代替品として警戒すべき製品やサービスも違った視点から捉えなおす必要がでてくると思います。

今日のまとめです。誰しもが知っているファイブフォースモデルは、実際の活用にいたっては自らの業界を注意深く定義する必要があります。業界のとらえ方には売っている製品にもとづいた物理的定義と製品やサービスが提供する便益に基づいた機能的定義があります。業界を新たな視点から捉えなおして、戦略的発想に柔軟性をもたせるためには、業界を機能面から定義しなおす事が有効になってきます。

分野: 企業戦略 |スピーカー: 目代武史

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