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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ファイブフォースモデル(1) (企業戦略、生産管理/目代武史)

ファイブフォースモデル(1)

目代武史 企業戦略、生産管理

18/06/04

今日のテーマは、企業戦略を策定する上で必ず必要となってくる外部環境分析についてです。代表的な分析枠組みにファイブフォースモデルというものがあります。このモデルはハーバード大学のマイケル・ポーター教授が1980年代に提唱したモデルです。ファイブフォースとは業界に働く5つの力の事で、言い換えると、業界における競争を激化させる5つの競争圧力を分析する枠組みです。その5つの要因とは、1つ目がある業界内に既にいる企業間の敵対関係がどれぐらいか、2つ目が新規参入の脅威がどれぐらいあるか、3つ目が代替品あるいは代替サービスの脅威がどれぐらいあるか、4つ目が供給者の交渉力がどれぐらいか、そして最後が顧客の交渉力がどの程度あるかです。

まず1つ目の業界内の敵対関係がどのような時に厳しくなるかです。以前SCPモデルで完全競争というお話をしました。どのような時に完全競争になるかというと、企業の数が多い時、各社の事業規模が似通っている時、そして製品の差別化が難しい時に完全競争に近づくと言われていて、完全競争に近づけば近づく程、競争は厳しくなってきます。独占の時に比べると真逆です。独占状態になれば逆に競争は緩やかになって商売はやりやすくなります。もう1つ考慮すべきポイントが、その業界の成長率がどのぐらいかです。成長が鈍っている時というのは競合他社のマーケットシェアを奪わない限り成長はあり得ません。その業界の市場の成長率が高ければどんどん新規参入しても、それからライバルがいたとしても自分の所も売れます。我が道を行ってしっかり良い物を作ってしっかり売っていけば成長が可能ですが、成長が鈍っていると血で血を洗う競争になります。これがまず1つ目のポイントで、ファイブフォースの1つ目の要因です。

2つ目は新規参入者です。新規参入をする企業があると業界に新しいプレイヤーが増えるので競争が厳しくなってきてしまいます。ただ普通はどこから新規参入業者が入ってくるか分からないので、この分析では参入障壁の高さがどれぐらいかを考えます。参入障壁というのは新規参入企業が業界に入ってこようとする際の敷居の高さのことです。分かり易い要因としては、例えば政府による規制や放送出版業界であれば放送法や電波法、金融業界であれば銀行法です。民泊でも規制が参入障壁になる1つの例だと思います。
さらに事業規模ということも重要な障壁になりえます。常に業界の中にいる企業が大企業ばかりで大規模な工場を操業しているような業界であれば、新しく入ってきていきなり大規模な生産や事業展開は非常に難しい面があります。このような規模の経済が非常に大きく働く業界は新規参入がしにくい業界だと言えます。

それから3つ目と4つ目ですが、供給者の交渉力と顧客の交渉力も競争圧力の1つになります。お客様は神様という建前論からすると、お客さんを業界の競争圧力という風に位置付けるというのは違和感があるかもしれません。現実を客観的に眺めてみると、お客さんの力が強すぎると売り手の利益が削られる要因になってしまいます。お客さんの交渉力が強すぎると良い物を作っても買い叩かれて利益が出ないということになってしまいます。では、どのような時にお客さんの交渉力あるいは発言力が強まるかという事ですが、お客さんが例えば1社しかいないというケースではお客さんの要求が通りやすくなります。さらに売り手側の企業が非常に多い場合、製品の差別化が難しい場合もお客さんの声が大きくなります。要は、買い手独占あるいは買い手市場といった時に相手の声が大きくなります。反対に供給業者あるいは仕入先の交渉力はこの裏返しです。仕入れ先が限られていて、しかも替えの利かないような原材料や部品を供給している場合には、今度は売手市場になって、先方の言い分が通りやすくなります。

最後の五つ目が代替品の脅威です。同じような機能や同じようなニーズを別の方法で満たす製品やサービスの事です。例えば牛丼屋さんやラーメン屋さんからすると、コンビニの弁当というのは代替品になり得ます。牛丼がどうしても食べたいという事だと違いますが、早くて安くて食べられることに重きをおけば代替品になります。その他にもサンドイッチやおにぎりが代替品になります。それから腕時計業界からすると携帯電話の登場というのは強力な代替品になりました。このように、特にコストパフォーマンスに優れるような代替品が出てくると、競争が一気に苦しくなり、場合によっては、業界自体が消滅する恐れさえあります。

今日のまとめです。今回は、外部環境分析の基本中の基本とも言えるファイブフォースモデルについて紹介しました。ファイブフォースには、業界内の既存企業間の敵対関係、新規参入の脅威、供給者の交渉力、顧客の交渉力、代替品の脅威といった五つの要因で構成されます。これらの要因が強く業界に作用すればする程、競争圧力が高まります。効果的な企業戦略を策定する為にはこのような競争圧力を回避したり、あるいは逆に活用したりすることが求められます。次回は引き続きファイブフォースを取り上げて、実際の活用における注意点について考えていきたいと思います。

分野: 企業戦略 |スピーカー: 目代武史

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