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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > インサイトシンキング⑤ (クリティカル・シンキング、顧客インサイト/溜田信)

インサイトシンキング⑤

溜田信 クリティカル・シンキング、顧客インサイト

18/05/04

 「ビジネスにおけるコミュニケーション」についてお話をしています。
前回は、相手のことを100%完璧に知ろうとすることは難しいため、まず自分のことを理解するところから始めましょうというお話でした。そのためには、自分の考えを大きな紙に全て書き出し、今まで見えなかった自分が持っている暗黙の前提や、考え方の癖、パターンに気付くことが大切です。こうした作業を通して、様々なものが見えるようになって初めて、自分の主張をどのように相手に理解してもらうかを考える段階に入ります。
このシリーズの冒頭でもお話しした通り、自分の主張を理解してもらうためには、わかりやすく説得力のある根拠を選ぶ必要がありますが、どのように根拠を選択したらよいでしょうか。今回は、根拠を考える上でのヒントをお話しします。

 食べ物を選ぶ基準として「安い・上手い・速い」。スポーツ選手の場合、「心・技・体」が優れていることが大事など、連語になっている言葉があります。根拠を選ぶ基準として、この連語のように世間一般に言われている「枠」をヒントに根拠を考えたり、すでにある枠から連想を広げて新たな枠を作り出したりする「人の枠組みを借りてくる」方法があります。

 例えば、ビジネスの世界では、自社と競合と顧客を合わせて「3C」と呼びますが、戦略を考える上では今の環境を分析しておく必要があります。その際に、闇雲に環境を分析するのではなく、この3Cの環境(自社の環境、競合の環境、顧客の環境)を押さえておくと、大方環境を把握したということができます。そして何かを説明する際にも、「自社にとっても、客にとってもメリットがあり、競合にとってはまだ弱い部分です」など、この3つのポイントを押さえた発言することで、非常に説得力が増します。このように、すでに言われている枠から根拠を選択すること方法があります。

 その他にも、人の枠組みを借りて根拠を考える方法があります。
「この人と私は考え方が違うな」と思う人を頭の中に思い浮かべてみてください。
外食先を考える際に、「○○が食べたいな...。だって場所が近いから」という風に考える人がいたとします。みなさんが思い浮かべた人の中には、「場所が近いかどうかではなくて、美味しいかどうかが大事だよね」と言う人もいるかもしれません。根拠を考える際に、自分の持っている枠組みとは異なる人を想像し、「この人だったらなんと言うかな?」と考えます。そうすると、「近い」という要素以外に「美味しい」という要素を重要視する人もいるんだな、と新たな枠組みを自分の中に取り入れることができます。これが多面的に色んなものの見方で考えるというタイプです。これをきっかけにして、重要なポイントを探していくことが可能です。

 では、これらはビジネスにどう役に立つのでしょうか。ビジネス業界では、企業から企業に対するビジネスを「B to B」、企業から顧客に対するビジネスを「B to C」と呼びます。「B to B」モデルはどういうものかというと、毎年企業が発表する前年度の課題とそれに対して今年一年どう取り組んでいくのかという計画を聞いた別の企業が、「こんな商品はいかがですか?」と売り込んでいきます。これが「企業から企業」に対するビジネスモデルです。しかし、すでに発表された課題を受けて売り込んでいては、競合他社も同じ情報を持っているため、差別化ができません。顧客になる企業がすでに挙げている課題とそれに対する対策に対して提案を持っていっても、同じような考えを持っている企業がたくさん存在します。また、通常企業は、発表の場で解決策が思いつかないことは課題として挙げません。そのため、企業側も何らかの対策が浮かんでいる課題に対して、そのまま企業が考えているような対策を提案しても、その企業にとっては同じような考えが増えるだけになってしまいます。そこで「(企業側が)言わない課題」を見抜くことができたら、それは競合他社もまだ気づいていない、顧客である企業も解決策が浮かんでいない課題ですから、その課題に対して解決策を提案することができれば、そこに新たなチャンスがうまれます。

 ということは、「今考えていること以外に課題がないか」。こういったことを考える訓練を積んでおくと、人が気づかない、または言わない裏側まで理解できるようになるかもしれません。ですから、是非目の前にある事柄の他にないか、本当にそれだけかということを訓練していただきたいと思います。

 今日は、根拠の選び方の方法をご紹介しました。3Cを例にお話したように、世間一般で言われている考え方の枠組みを借りてくる方法があります。これは訓練することで出来るようになります。それから自分とは違う考え方をしている人を意識して、今度はその人の考え方のパターンを借りてきてストックしておく方法もあります。最後に他にも何か考え方がないだろうかという視点でさらに見ていくことで、より目が磨かれ、スキルが身についていきます。

 では、今日のまとめです。
「考え抜くこと」が自分の考え方の幅を広げ、より上手くコミュニケーションが取れたり、仕事が上手くいったりすることに繋がっていきます。考え抜くことによって、自分を鍛えていってください。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 溜田信

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