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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > インサイトシンキング④ (クリティカル・シンキング、顧客インサイト/溜田信)

インサイトシンキング④

溜田信 クリティカル・シンキング、顧客インサイト

18/05/03

 「ビジネスにおけるコミュニケーションのあり方を考える」というシリーズでお送りしています。

 前回は、理系の方と文系の方のロジックには違いがあるということ、そしてどんなに自分はロジカルだと思っていても人間は完全にロジカルにはなりきれないというお話でした。

 誰かとコミュニケーションをとるとき、相手の心(考え)を100%理解するというのは不可能です。
私は結婚して30年以上経ちますが、未だに奥さんと喧嘩してしまいますし、喧嘩しながら「あぁしまった、また奥さんの気持ちを考えてなかった」と反省することがあります。何年たっても相手を理解することは難しいなと感じます。しかし、年を重ねるにつれて「おそらくこう考えているんだな」と見当がつく確率も随分高くなりました。こうした経験も踏まえて、皆さんに何か役に立つお話が出来ればと思います。

 前回、私がコンサルタントの先輩から「あなたはロジカルではない。なぜなら構造的に考えていないからだ」と言われ、構造的に考えることについて考えるようになったとお話ししましたが、その時に言われたのが「最初に自分で何を考えているのかを明らかにせよ(dump out)」でした。

 "dump out"とはコンピュータ用語で、「全ての物事をはき出せ(データを全て取り出せ)」という意味があります。コンピュータの中に記憶されていることを全部はき出せ、つまり、自分の頭にあることを全部目の前に広げるということです。その作業は簡単です。大きな紙(B3版くらい)に自分が思いつくままに、考えたことをどんどん書いていきます。そうすると、連想ゲームのように考えが浮かんできます。書き方は箇条書きでもなんでも構いません。とりあえず書いていきます。そうやっていくうちに、自分は隠れた前提を持ってるということが徐々に見えてきます。

 例えば、「8月が大好きです。何故なら8月は暑いからです」と話をするとします。これは一見普通に聞こえますが、これには隠れた前提があります。それは何かというと「北半球に住んでいる」という前提です。このように、自分の考えを広げてみると、知らないうちに自分がある前提を持っていたこと、自分が何かを判断する時にパターンを持っていることが見えてきます。そして、様々なものの見方があることに気が付き始めます。これが「多面的に考える」ということです。

 グロービスでクリティカル・シンキングについて講義をしていますが、いくら「物事を多面的に考える」ということについて頭で理解しても、実際にそれを行動に移そうとするとどうやったら良いかわからないという声を耳にします。人間は、なかなか自分がこれまでやってきたやり方を変えることはできません。慣れ親しんだ方法以外の方法を試そうと思っても、どう動いたら良いのかわからないのです。

 では、自分のこれまで考えてきた枠からはみ出すためにはどうしたらいいのでしょうか。
まず、自分の考えをもっと深く知ってください。自分の持っている隠れた前提やパターン化された考え方、癖に気付くことで、新しい視点を得ることができます。他の人と話をするとき「ああ、この人僕と違う」と違いに気づくことが重要です。その上で、もう一度自分の考えを整理して眺めてみると、「私、隠れた考えがある」とどんどん自分の考えが広がっていることに気づきます。そうすると、コミュニケーションする時に、「自分とこういう面で違うな」「僕はそのパターンは~という理由で外していたけれど同じ前提だったらそっちも分かるな」など許容範囲がどんどん広くなっていきます。

 私は人とコミュニケーションする時に一番大事なことは、「相手を深く知る」ことだと思っています。しかし、いきなりはなかなか難しいので、その前にまず自分を深く知ることからスタートするのがいいのではないかと思います。自分のことは一番わかっているようで、実は意外とわかっていないものです。最近の認知工学でも人間が考えている脳(意識)は人間の思考全体の5%ほどで、私たちはその大半は意識していないと言われています。我々の心(頭)の中には「無意識」という領域がありますが、そこで色んな考えが巡っています。色んな考えが巡っている中で取捨選択された考えが頭の中にポッと浮かび、あたかも自分の考えのようになっていると言われているのが今の認知工学の最先端です。そう考えると、私が自分の頭をdump outした際に、書き出された考えは、無意識の世界を巡っていた95%の部分ということになるかと思います。

 私が店頭でお水を買ったとします。「なぜお水を買ったの?」と尋ねられた時、色んな理由を説明しようとします。そこで語られた理由は真実ではないかもしれません。私の奥底に隠れた感情を読み解かないとその理由は分からないかもしれません。そこまで分からないと、どうやって物を売ったらいいのか、どうやってビジネスをしたらいいのかという正解にたどり着きません。確率の高い答えを探せないかもしれません。そう考えると、表面上だけの言葉だけではなくて、その表面上の言葉の裏にある真意を考え見抜くことはビジネスでも非常に役に立つと思います。

 では、今日のまとめです。
自分の心と脳を考えることによって、人を理解する出発点になります。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 溜田信

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