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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 研究成果の事業可能性を見出すのは誰か(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

研究成果の事業可能性を見出すのは誰か(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

18/04/20

・前回は、大学の研究成果の事業化の可能性を見出しうる立場にあるのは、(A)研究者自身、(B)技術移転オフィス(TLO)や産学連携本部のスタッフ、(C)企業の事業担当者、(D)起業家、の4タイプに分けられることについて述べた。
・今回は、(D)起業家が、大学の研究者との接点を増やし、その中から有望なシーズとなる研究成果を見出し、事業化に向けて活動する一連のプロセスをサポートするEIR (アントレプレナー・イン・レジデンス)という仕組みを紹介したい。
・EIRとは、その名の通り、起業家候補が大学内に日常的な活動拠点を持ち(in residence)、日々研究室を尋ねては有望な事業のシーズを見出す活動をサポートする仕組みである。米国ボストン大学のOTD(技術事業化オフィス)では、「大学発ベンチャーの輩出には、起業家と研究者のcollision(=衝突)を増やすことが最も重要だ」と言われるが、EIRは、この衝突の頻度を日常的に増やす仕組みだと言える。
・一つの事例として、ハーバード大学メディカルスクールのBlavatnik Biomedical Acceleratorというプログラムを紹介したい。これは、ハーバード大学のOTD(技術事業化オフィス)がBlavatnikという成功した起業家からの寄附(5Mドル☓7年)を使って実施しているプログラムで、ギャップファンド(4M/年)とフェロープログラム(1M/年)から構成されている。
・毎年5人のフェローが起業家候補すなわちEIRとして、給与100Kドル(約1000万円)と経費25Kドル(250万円)の給付を受けながら、同大学のバイオメディカル領域で有望なシーズ探索を行い、起業に結びつける活動を行うのである。その活動に対して、OTDが地元ベンチャーキャピタルにメンターを依頼するなどのサポートを行っている。
・ユニークなのはフェローがHBS(ハーバード・ビジネス・スクール)の卒後7年以内の卒業生から選抜されるという点である。彼らは、既にHBSで経営マネジメントや起業の基礎知識を学んでおり、このプログラムへの参加が、獲得した知識やスキルを実践的に活用する機会となるのである。
・フェロープログラムは9月にスタートし、各フェローは学内の研究セミナーやミーティングに参加してシーズを探索する。基本は一人で行動するが、定期的に他のフェローと集まって活動状況について意見交換を行う。2014年の事例では、フェローの半数が起業に成功したとのことである。
・本プログラムのもうひとつのユニークな点は、ギャップファンドの仕組みと連動していることである。同大学のプログラム運営者によると、フェローがシーズ技術を探索する過程で研究室を訪問しても、「既に他の起業家がいるから」といった理由で、良いシーズに出会えないジレンマも多いとのことである。そこで、フェローに対してギャップファンドの支援対象プロジェクトからシーズを選ぶことを推奨しているとのことである。
・ちなみに、このギャップファンドは、総計40~50件程度の申請書から15件→最終的に6件程度に絞り込んで、300K程度(3000万円程度)の資金を提供している。
・近年、上記のようにEIRという位置づけで起業家候補の活動の場を大学内に設け、ギャップファンドなどの支援の仕組みを連動させて起業を促す事例が増加している。日本でも、例えば文部科学省/JSTのSTART事業(国のギャップファンド)では、3年間の事業期間中に、将来の経営者候補をプロジェクト予算で雇用し、3年間の試行・準備期間を確保することができる。このようなプログラムがあると、起業家候補者は、シーズ技術の事業可能性をじっくり評価し、研究者との相性なども十分に確認したうえで起業出来る(=起業時のリスクや不確実性を減らせる)。九大でも、この4月にQBS修了生が3年間の試行期間を経ていよいよ起業予定である。

【今回のまとめ】
・EIR(アントレプレナー・イン・レジデンス)という位置づけで、起業家候補の活動の場を大学内に設け、ギャップファンドなどの支援の仕組みを連動させて起業を促す事例が増加している。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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