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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 研究成果の事業可能性を見出すのは誰か(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

研究成果の事業可能性を見出すのは誰か(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

18/04/19

・大学等で得られた基礎段階にある研究成果の事業化が注目される中、今回は、そもそも誰が研究成果に事業の可能性を見出すのかについて考察してみたい。
・目利き力の高低は別として、大学の研究成果の事業化の可能性を"見出しうる"立場にあるのは、(A)研究者自身、(B)技術移転オフィス(TLO)や産学連携本部のスタッフ、(C)企業の事業担当者、(D)起業家、の4タイプに分けられる。
・まず、(A)研究者自身の場合について考えてみる。研究者の研究テーマの設定には、自身の問題意識や好奇心が大きく影響する。特に、臨床に携わる医学部の研究者など、研究成果の"実証フィールド"を持つ場合は、自身の研究成果について事業化の側面から一定程度の洞察を持つ場合も少なくないだろう。一方で、基礎研究に携わっており、"実証フィールド"を特に持たない研究者の場合は、事業化について考えることすら全く縁がないケースも多い。
・興味深いのは、"実証フィールド"の近くで活動する研究者であっても、自身の研究成果がどのように事業化されうるかを的確に知ることは意外に難しいということだ。古くは、米国スタンフォード大学のコーエンとカリフォルニア大学サンフランシスコ校のボイヤーが発見した「遺伝子組み換え技術」は、学会発表された段階で全く特許化されていなかった。新聞記事をたまたま見つけた同大学OTL(技術移転オフィス)のライマース氏が、産業上の価値を発明者に説いて、当初は特許化に反対だった発明者を説得して特許出願にこぎつけ、最終的に450社以上もの企業に技術移転されたのは有名な話である。
・次に(B)技術移転オフィス(TLO)や産学連携本部のスタッフの場合を考えてみよう。先程のスタンフォードのライマースの例にもあるように、発明の特許化や既存企業へのマーケティングなど、TLOのスタッフは日頃から研究者と企業の双方に接点が多いため、事業化の"目利き力"という点で力を発揮しうる。ただし最大の問題は、常時30〜50件の案件を抱えて、発明の特許化手続き、技術移転先の探索、ライセンス契約や共同研究契約の交渉といった業務に追われているので、1件に対して十分な時間を割くことができないという点である。
・次に(C)企業の事業担当者について考えてみる。基礎研究に熱心な企業の研究者は、関連する学会や研究発表会に積極的に足を運び、常に有望な技術を探索している。しかしながら、大学など基礎研究を対象とした技術探索の目的は自社(自分)が行う"社内研究"のテーマ探しに留まる場合が多く、自らが新規事業を考えることを前提としたネタ探しには至っていないことが多い(ネタ探しであれば、より事業化に近い研究開発や事業開発を行っているベンチャーを探索するほうが効率的な場合も多い)。
・また、企業の担当者が魅力的な研究成果に出会うか否かは偶然に依拠する。最近では、各大学が保有する研究成果をwebや発表会で積極的に発信することも多いが、企業側の事業担当者としては、よほど日頃から気をつけて探索しないと、有望な案件を見過ごしてしまう。
・最後に、(D)起業家について考えてみよう。日本の場合、そもそも起業家の母数自体が少なく、その中でも大学の基礎研究成果に関心を持って大学周辺をうろうろするような起業家の数は極めて限定的と言ってよい。日本の大学周辺からは、「誰かベンチャーの経営ができる良い人はいませんかね??」という愚痴ともつかない相談が多い。
・以上から、大学の研究成果の事業可能性を見出す役割を担いうる人材は、実はそれほど豊富に存在するわけではない。では、この問題をどのように解消するか?次回は、米国等で既に事例が増えつつあるEIR(アントレプレナー・イン・レジデンス)という仕組みを紹介したい。

【今回のまとめ】
・大学の研究成果の事業化の可能性を見出すのは、(A)研究者自身、(B)技術移転オフィス(TLO)や産学連携本部のスタッフ、(C)企業の事業担当者、(D)起業家、の4タイプに分けられるが、実はそれほど豊富に存在するわけではない。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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