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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > インサイトシンキング③ (クリティカル・シンキング、顧客インサイト/溜田信)

インサイトシンキング③

溜田信 クリティカル・シンキング、顧客インサイト

18/04/30

 「ビジネスにおけるコミュニケーション」についてお話しています。前回は、「ロジカルに考える」とは、2つのタイプがあり、エンジニアの方のような理系の人が考えるロジカルと文系の人が考えるロジカルには違いがあるというお話でした。理系的なロジカルとは、定義された世界で物事を考えるのに対し、文系的なロジカルは、人間的な面、ここを押さえておくと人が納得しやすいというツボをきちんと押さえた論理構造になっているという違いがありました。

 今日は、エンジニアの方も文系の方も、厳密な意味では必ずしもロジカルではないというお話です。

 では、ここでみなさんに質問です。

 私が今千円札を持っていたとします。そして、あなたは次のように言われました。
  
 「あなたにこの千円札をあげます。ただし、その千円札を隣にいる人と話し合って分け合うことが条件です。きちんと話し合いができたなら、この千円札をあなたにあげます。その代わり、話し合いがつかなければあげません。必ず2人で分け合ってください。1人が千円でもう1人が0円ではいけません。」

 さて、みなさんならどうしますか?
隣にいる人とまず話し合いますよね。こういう理由で千円もらえそうなんだけれども、それには条件があって2人で分ける必要があるから「いくらだったら分けてもいい?」と相手に相談し、その上で丁度半々がいいのか、相手が少し多い方がいいのか、上手く分けようという努力をするという方が多いのではないでしょうか。

 実は、これは去年のノーベル経済学賞を取った「行動経済学」と関係しています。
もし、純粋に論理的な人が相手だとすると、純粋論理的な人は「1円くれればいい」と答える、というのが論理的な答えです。これは、論理的と言われているエンジニアでさえ「ん?」と思ってしまうような問題です。この背景に何があるかというと、人間には誰しも「あの人が千円もらえるのであれば自分だって千円もらったっていいじゃないか」、「なぜあの人だけタダで儲かるの?私だって儲けたい」などの気持ちがあり、また千円をもらう側は「相手側にいくらかあげないと相手も納得しないだろう。自分が強欲で999円と言ってしまうと、相手はへそを曲げてしまいそうだな」という思いから、交渉しようとしているわけです。相手の人が何も考えない人であれば、しれっと「10円あげるね」と言って、自分が990円貰ってもいいわけです。しかし、私たち人間は相手のことを考えてしまうわけです。これがある意味非常に人間臭いコミュニケーションだと思います。
機械とコミュニケーションをとろうとすると、機械の答えは1円になる可能性があります。昔、スタートレックというシリーズ物のSF物語がありましたが、その中に初代シリーズには論理的なバルカン星人、その次のシリーズにはデータという純粋に論理的なアンドロイドが登場します。その他に、非常に人間臭い決断をするリーダーがいて、その2人の組み合わせで色んな物事に対処するという非常に面白いドラマなのですが、私はそれを見た時に「論理的」というのはとてもクールな決断をするんだなと感じると同時に、おそらくその決断が正しいのだろうけれどもそれだけでは人間は動かないだろうなと感じた記憶があります。

 ロジックを突き詰めて考えると、答えは一つになっていくわけですけれども、人間必ずしもその論理学的には動かないというのが、「行動経済学」が伝えていることです。そう考えると、人間はそもそも純粋に論理的ではなく、逆に言うと人間臭いので、エンジニアの方も、自分の考えにも人間臭いところがある、純粋論理的ではないと思っていただけると、文系の方とも話しやすくなると思います。そして、文系の方も「意外と理系と言いながらも人間的な面を持っているんだな」と気が付くと、お互い歩み寄れるのではないかと思います。

 理系と文系は相いれないものというふうに思ってしまいがちですが、あながちそうでもないというところと、そしてやはり理系的な思考を持っている人と文系的な思考を持っている人が一緒に何か同じ方向に向かって歩み寄っていこうとするとそれは大きな力になるということです。スタートレックのお話をしましたけれども、人間の論理性と人間の感情の二つが合わさると色んな困難に打ち勝てるというテーマが隠れていると思います。私はやはりそういう世界が理想ではないかと思いながら、グロービスの教壇で戦略や思考系の話をしています。私のメッセージは、我々がいる世界は、決して一人で生活しているわけではないので、お互いにお互いを思いやって協力していくことが次の社会に繋がっていくということです。

 では、今日のまとめです。
仕事をする上でも、会社の中でお互い相いれないな、あの人の考え方よくわからないなと思う人もいるかもしれません。しかし、同じ方向を見て、何が目的なのかを考えて歩み寄ること、そして根本的に考え方・ロジックを作っているものが文系と理系では違うということも分かった上で話をすることで、少し違ってくるのではないでしょうか。人間は必ずしもロジカルではありませんが、その行動には一定の予想がつくというのが今日のお話でした。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 溜田信

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