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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 自己開示 (産業組織心理学、社会心理学/三上聡美)

自己開示

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

18/04/18

前回は、対人関係のお話の中で、「ジョハリの窓」を紹介しました。「ジョハリの窓」は、田んぼの「田」の字のような四つに分かれた窓があり、自分も他人もわかっている部分を「開放の窓」、自分はわかっているけれども他人は知らないという「秘密の窓」、自分はわかっていないけれど、他人は知っているという「盲点の窓」、そして自分も他人も知らないという「未知の窓」があるというお話でした。対人関係をうまくしていくためには、「開放の窓」つまり自分も他人も知っているという窓を大きく広げていく必要があるということでした。

今日は、ジョハリの窓の「開放の窓」を広げる方法として、自分自身のことを周囲に語る「自己開示」についてお話します。心理学では、他者に自分自身のことについて伝えることを「自己開示」と呼んでいます。自己開示は、自分のことを周りの人に知ってもらえるというだけでなく、周りの人と親密性を高める有効な方法のひとつとされています。相手と仕事の話をするだけでなく、趣味や出身地について知ると、相手の人となりを知ることができますし、自分との共通点が見つかると会話も弾むので、相手と親しくなりやすいのです。その自己開示には広さと深さがあります。

自己開示の広さとは「開示の量」のことを指し、深さは自己開示の「内容の度合い」を指します。浅い開示には、名前や出身地などが、深い開示には悩みなどが当てはまります。ジョハリの窓についてお話した際には、「自己開示をしましょう」とお伝えしましたが、いつでも誰とでもどんな自己開示をしてもいいというわけではありません。どのくらいの広さと深さで自己開示をするのかは相手との関係の中で決定されます。まだそれほど親しくない相手とは、浅いレベルでの自己開示が行われますし、関係性が進んでいくと、深い開示を行うようになっていきます。同様に開示の広さも最初は狭く、そして徐々に広くなっていきます。

少し前に、あるバラエティ番組で、出演回数がそれほど多くないタレントさんが自分の痔についての話をして周りをびっくりさせたというエピソードがあります。その方は、司会の方に自分の印象をもって欲しくて、痔のことを自己開示してしまったようです。確かにそのときは強い印象を残して、そのタレントさんは後々テレビに出る回数も増えていったので、結果的には面白いエピソードで終わったのですが、ほぼ初対面の方に持病について話すというのは、いきなり深い話をすることになるので、場合によってはかえって相手と距離ができてしまう可能性があります。

このように、自己開示は相手との関係性の中で、調節していくことが好まれます。では、どのように自己開示を調整していくのでしょうか。

自己開示には返報性のルールというものもあります。「返報性」とはお返しをすることですけれど、相手が自己開示をしてくれた分のお返しとして、同じ量や深さの自己開示を相手に返すということです。
相手から自己開示をされると、自分に心を開いてくれたと思って、相手に対する行為や信頼を深めたり、受け取った開示に見合うようにお返しをしなければならないと考えたりします。
例えば、私が「はじめまして。九州大学の三上聡美といいます」と自己紹介をしたら、みなさんはどんな自己紹介をしますか。「はじめまして。○○(所属)の△△(名前)です。」と返しますよね。これが返報性になります。所属と名前に加えて、出身地くらいは話すかもしれませんが、初対面からいきなり私の悩みを聞いてください、という人はなかなかいないと思います。まれに先ほど話をしたタレントさんのような方はいますが、そういう方は本当にまれだと思います。

では、逆に自分が自己開示をしたことに対して、相手が返報性で応えてくれない場合はどうでしょうか。

例えば、「はじめまして。○○(所属)の△△(名前)です。」と自己紹介したときに、相手が「よろしくお願いします。」とだけ返事をしたらどう思いますか。

私は言ったんだけどなと思ったり、問題があるわけじゃないんですが「どちらのどなたですか?」と聞かないといけなくなったりしますよね。相手の情報をすでに知っているのならば、情報を伝えるだけで十分ですが、全く知らないときは少し寂しい気持ちになりますね。返報性のルールとは、まさにこのことです。

しかし、相手の自己開示の全てに返報性で応える必要はありません。例えば、相手が自分を信頼してくれていて、深いレベルの自己開示をしてくれたけれども、自分にそれと同じくらいの開示の内容がないといった場合や、深い開示はしたくないなといった場合もありますよね。そうした場合は、無理せずにそのときはうなずきや相槌をうって、相手の開示を促してあげてください。うなずきや相槌は、相手にとって自分が認められたという合図になります。組織の中では様々な立場や関係性のある方々とお付き合いをします。自己開示と返報性を調節しながら相手のことを知り、関係性を深めていってください。

では、今日のまとめです。
自己開示には広さと深さのレベルがあり、それを調節しながら会話をすることで、相手との関係性を深めていくことができます。また、返報性のルールによって相手のことを知ることもできます。今日お話したことは、普段何気なく行っている会話の方法のひとつです。しかし、普段当たり前に行っていることが、ふとしたことでうまくいかなくなることもあります。新しい出会いの多いこの季節、自分の対人関係について考えてみるのもよいのではないでしょうか。

分野: 社会心理学・組織心理学 |スピーカー: 三上聡美

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