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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日本型経営再考 (経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)/久原正治)

日本型経営再考

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

18/03/26

去年の10月からこの春まで、九大のビジネススクールで日本型経営とジャパニーズマネージメントという授業を担当しました。クラスには留学生がかなりいたのですけれども、留学生から見て日本型経営が意外に好評だったので、今日はそのことについてお話をしたいと思います。

この授業は、英語で日本のマネジメントについて考える授業です。受講生は日本人と中国とタイからの留学生がそれぞれ10名ずつ参加しました。授業の中身は、まず日本型経営の源流はどこにあるのかということについて、日本の共同体、村の共同体や、あるいは企業の会社共同体にあるということを取り上げました。日本は昔から共同体をベースにして、中国や西洋の進んだものをうまく取り入れ適合させてきたのです。

日本型経営では人を大事にしていたのですが、これは日本経済が急に成長した事で労働力が不足した為に、年功序列型の賃金や終身雇用が出来上がりました。しかし、これには経営の非効率をもたらす面もあり、特に日本企業の様々な不祥事は共同体をベースとして、終身雇用の社会で起きています。海外では会社の犯罪というと自分の利益を得ようとして起きるのですけれども、日本の犯罪は会社のために色々な事を隠蔽するようなパターンが多いのです。こういったことを皆で議論してきました。今、海外にならって経営のあり方や働き方を変えていこうという動きがありますが、日本型経営がすべて駄目なのでしょうか? アメリカの経営というのはまず株主中心の経営ですけれども、実は世界でも非常に特殊な経営のやり方です。そして、アメリカの企業でも従業員を大事にするという点について、日本的な従業員中心の仕組みを取り入れようとしている会社もあります。このように、日本の経営にもいいところと問題が起きているところとがあります。アメリカ型の経営が世界のグローバルなスタンダードであるということで、特に雇用の仕組みの面で日本はこれを取り入れようとしているのですが、その際にいろいろな問題が生じているということも皆で議論しました。

アメリカではそれぞれの職務ごとに非常に流動性が高い労働市場があります。プロフェッショナルな人達は職務に対して自分はどれだけ成果が出せるかという事で、労働市場でいくらの収入が得られるかが決まります。そのため、企業と働く人の関係は1対1の契約関係になります。働く条件がと合わなければ、働いている人はそこをやめてもまた労働市場を通して別の企業を見つけられるし、キャリアアップしよう思えばそれが可能です。

ところが日本では、まず会社で働いている人は今日まで事務をやっていても明日からは営業をやりなさいという形で、会社の都合で職務がいろいろ動かされてしまいます。会社と個人との関係は決して1対1の契約関係ではなく、年功序列で賃金がなんとなく上がっていきます。職務の専門能力と賃金の関係があやふやで、外部の労働市場もないわけですから、働き方をアメリカと同じにするといってもそこでは会社の都合が大きくなっているわけです。従来の日本型経営はアメリカの経営とは働かせ方が全然違うわけですから、そこにアメリカの仕組みを入れても、解決が難しい問題を日本の働く人にもたらしていくと考えらます。

日本での働き方改革について何を念頭におけばよいのでしょうか? 正社員になって年功序列で賃金が上がった人と、本当に専門性があるのだけどたまたま非正規社員になった人との間で、大きな所得の格差が生じています。これはどう考えても同一労働同一賃金ではありません。日本的な年功序列であまり専門性を重視しない働き方を変えてしまわないと、本当の働き方改革などできないということが言えるわけです。

あるいは、従来の1つの企業の中にずっといて、皆で共同体としてチームワークで働くやり方がいいということでしたら、アメリカの仕組みを取り入れるのではなく、日本の仕組みの中でどうすれば生産性や専門性が上がるのかといったことを検討して、日本型の仕組みをちゃんとしたものに改善していくという可能性もあるのではないでしょうか?

日本は全体として経済が成長しなくなり労働力も高齢化していくため、なかなか従来の年功序列的な考え方でやるということは難しくなるでしょう。やはり、今の年功序列型の仕組みを変えて、それぞれの人の専門性や労働市場での流動性を重視したものにしていく以外に方法ないのではと私は思っています。

今日のまとめです。日本型経営について留学生に授業をやってみました。留学生からは人を大事にする経営が重要で、アメリカ型の株主を重視する経営は金儲け主義に走ってしまうという批判がありました。我々の日本型経営とは何か、その中で我々の働き方はどうすればよりよいものになっていくのか、これをもっと根本的なところから考え直す必要があるのはないかと考えています。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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