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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アカデミー賞作品賞はアメリカの時代の状況を反映している (経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)/久原正治)

アカデミー賞作品賞はアメリカの時代の状況を反映している

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

18/03/23

最近、アカデミー賞の受賞式がありました。アカデミー賞の受賞作品をみれば、それぞれの時代背景やアメリカが置かれている社会の課題・問題が見えてくるというお話を今日はしたいと思います。

作品賞にノミネートされた作品をいくつかのグループに分けてみますと、「シェイプ・オブ・ウォーター」「ゲット・アウト」「スリー・ビルボード」の3作品は少数者が差別されているという状況を社会の課題として取り上げて、それぞれの表現方法で映画化したと考えられます。作品賞を受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」は不思議な映画で、監督はギレルモ・デル・トロですが、日本的に言えばオタクですね。日本のアニメや円谷英二が好きだということで、この作品は怪獣が主人公の一人になっています。日本のアニメ監督の押井守監督も好きだと言っていました。

この映画自体は美術賞も受賞したのですれども、実に美しい芸術的な映画になっていて、ファンタジー映画でもあります。主人公は政府の研究所で1962年頃に働いている女性。ところが、ここの研究員や主だった人は皆男で、女性は清掃員としてしか働いていないのです。そして、主人公と一緒に働くもう一人の清掃員は黒人の女性です。さらに、研究所から怪獣を脱走させる人はソ連からの移民ということで、女性、移民や黒人あるいは怪獣といった差別された人達が主人公になっています。そして、そういう人達の間でお互いに愛がどう生まれるかといった、差別された少数者の愛の物語になっているのです。

我々が注意しなければいけない事は、60年代までアメリカの大きな研究所や会社は全部男社会であって、女性はものすごく差別されていた点です。したがって、アメリカは現在でもヨーロッパと比べると、実は差別がまだ残っている国であるということがこの映画から分かって来ます。

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」と「ダンケルク」という戦争映画があります。ダンケルクはそこでたまたま戦争の中にいた若者、それからウィストン・チャーチルはそれを指導していた指導者という、違った立場からそれぞれ戦争というものの意味を描いています。

今トランプ大統領がいろいろな課題を抱えています。1970年代のニクソン大統領の時代に大統領が関わっている陰謀にどの様な問題があったかということを、ワシントンポストという新聞社とそれを取り巻く政治家の視点から見ている作品が「ペンタゴン・ペーパーズ /最高機密文書」です。

アカデミー賞にノミネートはされなかったのですけれども、「ザ・シークレットマン」がちょうど2月の初めから上映されています。この作品は、ウォーターゲート事件の情報をFBI副長官代理であったマーク・フェルトがワシントンポストに漏らすことによって、それが最終的にニクソンの追放につながったという映画です。

トランプ大統領の時代になぜ1970年頃にあった大統領の陰謀の話が映画化されるのかを考えないといけません。時代の特徴とアカデミー賞には関係があるのです。こういった戦争もの、そして少数者の差別に対しての問題提起作品、それから大統領の陰謀と戦う作品がノミネートされていて、その中から「シェイプ・オブ・ウォーター」が選ばれた事は、少数者の差別を描いた作品が作品賞として受賞したということになります。

つい昨年の映画でも、1960年代にNASAで黒人の女性数学者が差別されながらも活躍する「ドリーム」という映画、それから同じく1967年のデトロイトの黒人暴動の残酷さを描いた「デトロイト」という映画がありました。「スリー・ビルボード」「ゲット・アウト」「シェイプ・オブ・ウォーター」といった、今回アカデミー賞の作品賞にノミネートされた映画は、いずれもアメリカの分断と根深い差別を振り返りながら、トランプ大統領の下で平等と多様性を否定するような社会の何が問題なのかを描いています。この問題をテーマにした映画がこのところ作られている事を、我々は注目する必要があると考えています。

今日のまとめです。アカデミー賞から今のアメリカを読むということでお話をしました。アカデミー賞は、その時々の政治や社会の問題点に対する一定の批判が必ず現れているという点に特徴があるという気がしております。アメリカの時代を読むためには、アカデミー賞作品がどうなっているかということをみる事で、アメリカがよく理解できると思います。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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