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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コモディティ化市場の流通業② (マーケティング/岩下仁)

コモディティ化市場の流通業②

岩下仁 マーケティング

18/03/20

前回から、コモディティ化市場の流通業という事でお話を進めています。コモディティ化とは、メーカーが違ってもほとんど同じ様な製品になり日常品化してしまうので、値段でしか差別化できなくなるという事ですけれども、これが流通業でも同じようなことが起こっているというお話でした。流通業でもユニークなアイデアやビジネスモデルを構築することによって、他社との差別化を図って集客を実現することも出来るのです。

今回は、広島・岡山を中心に「鮮Do!エブリイ」の名前で直営スーパーを38店舗展開する、エブリイ社について取り上げたいと思います。エブリイの本社は広島県福山市にあります。福山市は人口47万人ですが、全国的に知名度が高い優良企業が本社を構えています。例えば、福山通運、洋服の青山でお馴染みの青山商事、食品トレイ容器製造のエフピコなどです。

福山市は関西にも近く、広島や岡山といった大都市にも近い一方で、物価が安いので人件費などの固定費を圧縮することが出来るわけです。ビジネスを行う上での好条件がそろっています。

さてそんな福山市に本社を置くエブリイ社ですが、直営スーパーの他にも自社経営のレストランやフランチャイズ契約を結んだ多業種の飲食店を20店舗、さらに、給食事業を展開するホーミイダイニング、夕食材料宅配のヨシケイ福山、農業法人のアグリンクエブリイ広島なども展開しています。

エブリイでは、鮮度の良い商品を高回転で破格の値段で提供しています。坪効率は640万円にも及んでおり、標準的スーパーのおよそ2.5倍です。では、どうしてエブリイ社はこのような売り上げを実現できたのでしょうか? 大きく分けて3つの理由があると言われています。

1つ目が、卸を起点としたユニークなビジネスモデルの構築です。同社が最初に始めたビジネスは卸売業でした。エブリイは1989年に食品スーパー1号店を岡山県倉敷市にオープンしましたが、実はその前から食品卸売会社を経営していたのです。スーパーが軌道に乗った後はレストランへと業態を展開していったエブリイですが、元が卸会社でしたので自前で調達した農産品や加工食材をスーパーやレストランなど、グループ内の複数業種で効率よく使い分ける事が出来ました。自前で作って自前で消費するビジネスモデルを作ることに成功したと言えます。

2つ目が、徹底した鮮度へのこだわりです。ブランド名に"鮮Do!"のショルダーコピーがついていることも明らかですが、朝方に直営農場から出荷された野菜がその日の昼過ぎには、なんと各店舗に並べられています。こういったスピーディーな流通がどうして可能なのでしょうか? 通常の野菜は九州の卸売市場や長野県から大量に仕入れるのですが、同社は福山エリアの農家からも仕入れるように方針転換をしたのです。地元農家が農産物を持ち込む地産地消コーナーは鮮度と品質で高い評価を得ています。これが結果として、減少しつつある地元の農家を支える事にもなってきています。

3つ目が食品ロス削減に繋がる売り切り御免の販売モデルです。新規参入した自社農家や一部の契約農家からは、規格部外品も含めて野菜を丸ごと買い取るのです。表面に傷がついたりサイズが不ぞろいだったりして普通は畑で捨てられてしまうニンジン・キャベツもすべてエブリイが買い取ることで、生産者のロスがほとんどなくなるわけです。規格部外品を半値で買い取るためお客さんには安く販売できますし、不ぞろいの野菜を詰め放題にして販売することによって顧客の取り込みにもつながります。

さらにそれらの野菜は外食部門で提供されるランチバイキングのサラダコーナー等にも回り、まさに一石二鳥にも三鳥にもなるわけです。従来型のチェーンストアの理論ですと、販売の機会損失、つまり、商品が棚に並んでいないために販売機会を逃すことを悪と見なしてきました。お客さんが欲しい時に商品が無かったら、結局販売できたのにそれが出来なかった事になります。お客さんにとっては買えなかったという事になりますから失望感を与えてしまうので、お店に対する満足度は下がってしまいます。

そのため、基本的には販売の機会損失は非常に悪だと見なされてきたわけです。ところが、エブリイはこれを逆手に取って売り切り御免にすることで、腕の良い小規模生産者が大量に供給できない現実を踏まえながら、旬の物やいい品だけども数が少ない商品もあえて数量限定で店頭に並ぶようにすることで、機会損失を見事に克服しているのです。

さらに、中小規模メーカーの限定品販売の役割も担っています。例えば、地方の食品メーカーの特徴ある加工品や調味料を担う「蔵」という売り場があります。これによって機会ロスを防ぐだけでなく、売場のラインナップも出来る限り充実させる事が出来ています。

今日のまとめです。今回はコモディティ化市場の流通業という事で、広島県福山市のエブリイ社を取り上げました。卸売を起点としたユニークなビジネスモデルと、徹底した鮮度の実現が成功の要因になっていると言えると思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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