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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コモディティ化市場の流通業① (マーケティング/岩下仁)

コモディティ化市場の流通業①

岩下仁 マーケティング

18/03/19

コモディティ化市場における製品開発というテーマで、前回まで話を進めて来ました。コモディティ化とは、メーカーが違っていたとしてもほとんど同じような製品を売っているので、日常品化した結果値段でしか差別化できなくなってしまう状況を言います。その様なコモディティ化してしまった市場で、どの様にして製品を開発して他社と差別化を図るかという話をしてきました。

これまでは森永製菓の「ウイダーinゼリー」、日清食品の「クッキングフラワー」、赤城乳業の「ガリガリ君」といったメーカーにおける製品開発や、あまり多くの資金を掛けられないベンチャー企業における製品・サービスの開発について見て来ました。

しかし、世の中を見てみますとコモディティ化が起きているのはメーカーやサービス業だけではない様です。例えば身近なところで、コンビニエンスストアをイメージしてみて下さい。セブンイレブンやローソン、ファミリーマートといった様々なコンビニエンスストアがあります。

皆さんはどちらに行かれるでしょうか? もちろんこだわりを持ってセブンイレブンに行くとか、ローソンでなくてはいけない、あるいはファミマがいいといった人もいると思います。しかし、おそらく多くの人は自分が今いる場所から一番近いコンビニに行くケースが多いかと思います。

これは言い換えると、消費者がそれぞれのコンビニの商品ラインナップや雰囲気に実はあまり違いを感じられなくなっている、すなわち、流通業のコモディティ化が起きているという事を表しているのです。

こう考えてみますと流通業も、他社にはないユニークなビジネスモデルや取り組みが求められていることが分かるかと思います。そこで今回から、コモディティ化が進む流通業において、きらりと光るビジネスを展開する企業について見ていきたいと思います。

今回取り上げるのは、自然派食品スーパーの福島屋です。福島屋という名前を聞いたことがない方もおられるかと思いますが、実は九州には店舗がありません。皆さんに馴染みがなくて申し訳ないのですけども、同社はおよそ30年前に東京の羽村市というところにオープンした食品スーパーです。

羽村の本店を入れて東京に5店舗を運営しています。福島屋では、普通のスーパーのように食料品を売っているのはもちろんなのでけども、お店の中にフラワーショップや和食・洋食のレストラン、あるいは洋菓子のコーナーも併設しているのです。さらに、これらのお店を全て自社で経営しています。これは言い換えますと、スーパーで販売している食材を材料にしたメニューを、レストランのコーナーでも楽しめる複合型経営というものを実践している事になります。

ここが非常に優れているところで、例えば、ランチタイムにスーパー内のレストランで食事をしたりお惣菜やお弁当を買ったりしたお客様が、夕ご飯の材料・調味料を購入するのです。一度昼にきてそこできっかけを作って夕方にもう一度来る、1日に2回来てもらえることが出来る点がポイントです。これが複合型経営だからこそできる利点であり、もちろん一人当たりの売り上げは増える事になります。

この複合型経営を生かして、それまでの羽村本店、立川店、大崎店、秋葉原店といったローカルの店舗に加えて、3年前には賃料が高いと言われる六本木にも出店をしています。六本木店は、複合オフィスビルのアークヒルズにおおよそ660平方メートルに及ぶ広さで、ウッディフロアの落ち着いた雰囲気でまとめられており、雰囲気も非常に良くて大成功している店舗になります。

やはり、複合型経営がうまく回っているからこそ余裕資金を使って、六本木の様な賃料が高いところに出店することができ、その事によってさらにお客さんからの認知度やブランド力の向上を図ることが出来たということです。

この成功のカギは、複合型経営だけではありません。自主マーチャンダイジング(MD)を経営方針としている点にもあります。自主MDとは、提携農家や加工メーカーから商品を全部買い取って、リスクをすべて自社で負担する方式です。

この自主MDでは、農産品の調達と商品開発を同時に実現できる、混成のチームを編成しています。生産、加工、販売企画の三位一体と呼ばれるMDチームには、農家や加工業者も加わっています。そのため、生産からその食料を加工して販売企画まで自社で一貫している、こういったものが自主MD方式という事になります。

この生産・加工・販売企画の一貫システムのメリットは、生産や流通の段階で価値の低い規格外の農産品を、加工して販売できる点にあります。これによって、廃棄ロスの防止や価格の低下を実現できています。少し形は不ぞろいだけれども味は変わらないものをまとめてすべて買い取り、それを加工して販売するのです。通常は形が悪いと売り物にならないケースがありますが、それを値引きして売る事が出来るので、生産者にとっても廃棄するロスを無くす事に成功しているわけです。自社だけでなく、消費者、あるいは生産者にまで三位一体での成功を実現している素晴らしいケースですね。

今日のまとめです。流通も、メーカーと同様にコモディティ化の時代にあります。福島屋では複合型経営や自主マーチャンダイジングといったユニークな取り組みをすることによって、これまでにない食品スーパーになったと言えます。自主MDを通して、第一に鮮度や品質の向上、第二に廃棄ロスの削減、この2点が同時に達成できたわけです。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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