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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 機会費用 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

機会費用

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

18/03/14

今回は、機会費用について話します。マシンという機械ではなく、別の機会にとか絶好の機会だとか言う時の機会です。

自宅のソファで昼寝をするのはタダです。しかし、その時間にアルバイトをすれば、何千円か稼げたかも知れません。そう考えると、昼寝をしたのは勿体ないことだったとも言えます。学生のサークルが、学園祭で焼き鳥を売って3000円儲けたとします。1人300円ずつ山分けして喜んでいる学生も多いと思いますが、もしも学園祭で焼き鳥を売らずに焼き鳥屋でアルバイトをしていたら、何万円かの収入だったかも知れません。実に勿体ないことをしたものです。学園祭の焼き鳥屋は、儲ける事が目的ではなく、皆でワイワイ楽しむ事だから、目くじらを立てるようなものではありません。このように、今やっている事をやらずに、別の事をやればもっと稼げる事を機会費用と呼びます。

駅前の商店街で、夫婦が零細電気店を経営しているとします。2人の合計で毎月20万円の利益が出ているとします。この話を聞いて、黒字で良かったと考えた人も多いと思います。それはそうですが、機会費用という考え方からすれば、店を閉めて2人で働きに出れば20万円以上稼げるから、この店を続けているのは勿体ない事です。もちろん、親の介護をしながら店番をしているので、勤めに出る事が出来ないという事情があれば別ですが、そうでなければ店を閉めるべきです。店が赤字ならば閉めようという選択肢を思い付きますが、店が黒字だとなかなか思い付かない場合が多いと思います。

大企業の社長が、社内のエリートを集めて戦略部門を立ち上げたとします。部門の決算が小幅の黒字だったとして、どう考えたら良いでしょうか。「黒字で良かった」と考えるのか、「優秀な社員を集めたのに、少ししか利益が出ていない」と考えて不満に思うべきかでしょうか。後者の社長が多いと思います。社長はイライラしてエリートたちを叱咤激励するかも知れませんが、ここは冷静になりましょう。この部門を解散して、優秀な社員たちに別の仕事をさせれば、もっと稼げませんか。そうだとすれば、機会費用を考えた時、この部署は解散すべきだという事になります。部門の決算が赤字ならば、解散しようと思い付く社長も多いと思いますが、黒字の部門を解散しようという発想が浮かばない場合も多いと思います。

さて、会社の営業部の部長とヒラ社員がお客を訪問する際、タクシーで行くかバスで行くか考えてみます。タクシーで行けば、タクシー代はかかりますが、早く到着するので、数多くのお客を訪問できます。部長は給料が高いので、タクシー代を払っても早く到着して長い時間働いてもらおう、ヒラ社員は給料が安いので、バスでゆっくり移動させても構わないと考えるのが普通だと思います。でも、もしも部長が無能な人でお客を訪問しても注文がとれなければ、タクシー代がもったいないので、バスで行ってもらいましょう。反対に、ヒラ社員がとても優秀でお客を訪問すれば注文がとれれば、タクシー代を払ってでも多くのお客を訪問させましょう。
経済学者としては、そうアドバイスしたいです。もっとも、部長はバスで、ヒラ社員はタクシーで、というと社内で問題になるかも知れないので、そこは気をつけて欲しいです。

次に、夫婦のどちらが家事を分担すべきかを考えてみます。もちろん、「男女平等のありかた」など様々な論点がありますが、今日は機会費用という観点からの議論です。
夫がサラリーマンで、妻がパートで働いているとします。まずは夫の言い分です。「僕の時給は、君のパートの時給より高いのだから、僕が家事をするのは勿体ない。家事を君に任せて僕が会社で働いて高い給料をもらってくるべきだ」と言うと思います。でも、これは間違いです。夫が家事をしなくても、「残業代が欲しいから残業します」というわけには行きません。会社から残業を命じられないとすれば、家事をしなくなった分だけ、夫が遊ぶ時間が増えるだけです。それでは妻が納得するはずがありません。
では、家事は夫にまかせて、妻が長い時間パートで働くという事になるでしょうか。そうとは限りません。夫は、今少し工夫をしてみましょう。たとえば、次のように主張してみます。「僕が英会話を勉強すれば、将来の給料が大幅に上がるだろう。それなのに、英会話を勉強しないで家事をやるなんて、勿体ない」と言えば良いです。それなら妻も納得して家事をやってくれるでしょう。
でも、これは危険なことです。夫が英会話の勉強をサボった途端、妻に軽蔑されるとともに、家事の負担が大きく降り掛かってきます。そのような危険を冒すくらいなら、始めから家事を分担しておいた方が良いかも知れません。

まとめ:何かをやって利益が出た場合、素直に喜ぶことは危険です。別の事をやったらもっと儲かるかも知れないからです。それなら、今やっている事をやめて、別の事をすべきです。このような考え方を、機会費用と呼びます。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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