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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > AECのインフラ整備と政治 (企業財務 M&A/村藤功)

AECのインフラ整備と政治

村藤功 企業財務 M&A

18/03/13

今日はASEANの話をしたいと思います。ASEAN Economic Community、略してAECが2015年11月にできました。GDPが50年前の120倍に成長したのですが、AEC全部を合わせてもまだやっと日本の5分の3くらいの規模になったところです。

アジア開発銀行は、2016年から30年までに26兆ドル、大体3000兆円くらいのインフラ案件がアジアで必要だと言っています。ただアジアの3000兆円の中には中国やインドも含んでおり、ASEANでは3000兆円の1%も必要ないくらいです。アジア全体から見るとそんなに大したことではないのですが、それでも1年に1兆円くらいはインフラに使う必要があります。

ASEAN全体を一つのマーケットにするために、道路を作って物流を一つにしようという事で、AECを作るにあたって3本の道路(回廊)を作りました。日本が東西経済回廊と南部経済回廊を支援し、中国が南北経済回廊を支援していて、今大体完成したところです。

ASEANはまだまだこれから成長すると思われています。では、日本企業はASEANに一体どの様に取り組んでいるのでしょうか? 日本はタイからASEANを攻めるという戦略を過去ずっと採用してきました。タイでは2014年5月に軍事クーデターが起こり、今は民政ではなく軍政下にあります。タクシン元首相が追い出されて、その後タクシンの妹であるインラック氏が総理大臣になりました。しかし、この間お兄さんの後を追いかけて逃げてしまい、今は軍政権のプラユット氏が総理大臣をやっているところです。

1年半くらい前の2016年10月にブミポン国王がお亡くなりになり、息子のワチラロンコン新国王が今国王になっています。去年の4月に新憲法ができたのですが、なかなか総選挙をしません。軍事政権のプラユット首相がいつまでも遅らせるわけにもいかないだろうということで、来年の2月くらいには総選挙をやって軍政から民政に復帰する予定ですが、軍政の期間が長引いているという状況です。軍事クーデターが起こった時は実質成長率も1%くらいにまで落ちていたのですが、それから少し戻ってきていて、2016年と2017年は3%成長になっています。今年は4%を目指しているところですが、政情が混乱すれば経済成長がどうなるか分からないという心配があります。それでもタイはASEANの中ではとても強い国です。証券取引所の時価総額はシンガポールが80-90兆円くらいで一番ですけど、2番はタイとインドネシアが60兆円くらいで争っています。タイにとってはバンコクからマレーシアのクアラルンプールまで新幹線を引きたいというのもあるのですが、マレーシアにとってバンコクは1500kmも先なので、まずは350kmしか離れていないクアラルンプール~シンガポールを先に作っている最中で、ちょっと余裕ないと言っています。

では、他の国はどうなのかというと、フィリピンやインドネシアが近年成長しています。フィリピンはドゥテルテ大統領がいるのですが、薬物犯を射殺するというのでオバマ前大統領と対立していました。しかしトランプ大統領は好きみたいなことを言って、今アメリカとの関係を修復中です。経済も結構好調で、2017年が6.9%成長です。ただインフラが結構ひどく、空港からマニラまでがまだ発展途上という感じの汚い道だったり、地下鉄もあまりよくなかったりするので、インフラを整備している最中です。

インドネシアは2014年10月からジョコ大統領になって、経済も結構順調です。2017年は5%、今年も5.3%くらいの成長が見込まれます。ジョコ大統領は5年で50兆円くらいのインフラ投資計画を立てました。ジャカルタからバンドンの高速鉄道だとか、ジャカルタ-スラバヤの高速鉄道といったプロジェクトがあるのですが、日本にとって心配な事があります。ジャカルタ-バンドンの整備を日本にやらせると最初は言っていたのに、やっぱり中国にしたと言ってプロジェクトが中国に持っていかれたり、ジャカルタ-スラバヤはジャカルタ-バンドンよりも長いのですが、これも日本にやらせると言ったのが、最近やっぱり国際入札しようみたいな話が出てきたりして、ちょっとジョコ大統領を信じていいのかという話が出てきているところです。

最近日本企業に人気な国が、ベトナムとミャンマーです。ベトナムは中国と一緒で共産主義国家なので書記長が一番偉いのですが、トップはグエン・フー・チョン書記長です。1986年にドイモイが始まり、去年の実質経済成長率が6.8%ぐらいでした。ベトナムでちょっと面白い事が、ビングループという不動産グループが自動車製造をこれから始めるようです。過去ASEANでは、マレーシアのプロトン社やインドネシアのティモール社が自動車を作ったのですが、プロトンは中国の自動車会社にこの間買収され、インドネシアはもうだめという状況になっています。

ミャンマーは2016年3月からスーチーさんが実質トップになりました。皆、スーチーさんはいい人だろうと思っていたら軍が影響力を相当残しているようです。軍がイスラム教のロヒンギャ討伐をした結果ロヒンギャがバングラデシュに逃げた事に対して、国際社会から相当非難されています。ミャンマーには自国内にもLNG資源があるのですが、自国のLNGは中国とタイに輸出しています。しかし、輸入したLNGを利用してでもガス発電をする必要があるという事で、今度発電所を作ろうとしている最中です。

今日のまとめです。2015年11月にAECが出来ました。関税が撤廃されて非関税障壁をこれからなくしていこうという中で、インフラの整備が進んできています。具体的には、東西経済回廊や南北経済回廊、南部経済回廊、高速鉄道プロジェクト、発電所プロジェクト等が進んでいます。ただタイはまだ軍政のままで、ミャンマーもスーチーさんがロヒンギャ問題で混乱しています。そして、フィリピンのドゥテルテ大統領やインドネシアのジョコ大統領も今一つ信頼していいかどうか懸念されているという状況です。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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