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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 職場でのストレスとその対応方法 (メンタルマネジメント/松岡綾子)

職場でのストレスとその対応方法

松岡綾子 メンタルマネジメント

18/03/16

はじめまして。まずは、簡単に自己紹介をさせていただきます。私は、大学・大学院で臨床心理学を学んだ後、病院の精神科、診療内科、神経科などで統合失調症の方やうつ病の方のカウンセリングを行っていました。社会的に成人のうつ病患者が増加し、病院でもそういった方々を診療する機会が増えてきたこともあり、企業でのカウンセリングを行う「産業カウンセリング」へと関心が移ってきました。そして、再び産業心理学を学び直して、現在グロービス経営大学院で「リーダーシップとメンタルヘルス」という科目を教えています。

今日は、職場でのストレスとその対応方法についてお話します。
職場でのストレスというと、人間関係や仕事へのプレッシャーなどがあります。厚生労働省では、労災の訴訟になった際の基準となる尺度を用意していますが、その中で、一般的な怪我ではなく、心理的な負傷を負った際の「心的負荷」については、これまで軽く評価されてきました。しかし、現在は「心的負荷」に対する評価がワンステージ上がり、重要度が増してきています。
例えば、上司からの強い叱責などパワハラスメントで著しく傷つき、そのことが原因で仕事が通常通りできなくなり「うつ病」と診断をくだされた場合に、それが労災と認められるハードルが下がってきています。
また、数年前から50人以上の事業所においては、ストレスチェックテストが義務化されました。これも心理的な負荷が重要視されるようになってきたということの非常にわかりやすい指標になるでしょう。

職場のストレスには様々なタイプがありますが、心に負荷がかかった時に、どういうことを心がけた方がいいのでしょうか。
皆さん、「トラウマ」という言葉を聞いたことがあると思いますが、例えば自分が殺されそうになったり、人が死ぬ場面を見てしまったりなど、あまりに衝撃的な現場に立ち合った時に、人は強いストレスを感じて、その後もフラッシュバックが起きたり、同じ道を通れなくなったり様々な障害が起こることがあります。これを「PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)」と言います。「トラウマ」というと、非常に大きなストレスと感じられがちですけれども、実際に殺されそうになったり、誰かが死ぬ場面を見たりした経験がなくても、自分自身の存在がなくなるような、否定をされるような体験だけでも人間は十分にこのトラウマティックストレスを受ける、言われています。
では、そのようなことが具体的に職場で起こり得るでしょうか。
例えば、多くの人の前で上司から強い叱責を受けたり罵倒されたりして、自分がその場からいなくなってしまいたいと思ってしまう。同僚との人間関係の中で、自分の居場所を失ってしまうような感覚になる。接客業をされている方であれば、お客さまからの壮絶なクレームを受けて二度と現場に立てなくなってしまうということがあります。このような明日起こるかもしれないようなことでも、人間はトラウマと呼べるほどの大きなストレスを抱える可能性があります。

では、それが自分に起きてしまった時にどう受け止めていったらいいのでしょう。重傷になってしまうと、病院に行って医療の助けをかりるしかないのですが、そうなる前に、日々日々の活動の中でこれを解消していく方法があります。

アメリカで消防士を対象に行った研究があります。消防士の皆さんは、非常に凄惨な現場を目の当たりにすることが多い職業の一つです。彼らが遭遇する出来事の中には、ストレスの軽いものから非常に大きいものまで様々です。まずは、家などの物が燃えるという場面を見たとき。それから、人の命ににかかわるような現場を見たとき。そして一番大きなストレスをかかえてしまうのは、小さなお子さんが犠牲になってしまう現場を目撃したときだと言われています。ただ、どんなストレス段階においても、そのストレス解消法として非常に有効だと言われているのが、「職場の同僚と体験を共有し合うこと」です。「今回は非常にひどい現場で、こんなに悲しかった。どうして僕は彼らを救えなかったのだろう」ということを同じ消防士同士で話をして、「自分もこういうことを経験した」と体験の共有をすることが人間のストレスを消化させると言われています。

その他の現場に置き換えて考えてみると、お客さまから壮絶なクレームを受けてすごく心が落ち込んだ時に、同じ接客をされている人達と「こういうお客さんがいて辛かったんだよね」「いるいるそういう人」「またそういう人がいるかもしれないけど、そのときはまた皆で話を聞くからね」というように体験を分かち合う話ができるかどうかで、再びその現場に元気よく戻っていけるか否かが変わってきます。
つまり、同じような仕事をしていて、共感してもらえる人にお話ができるということが非常に重要です。
最近では、席を決めずに自由に座れるようにすることでスペースを効率よく使うことができるフリーアドレス制度をとられる会社が多くなっていますが、これは非常に良い面もありますが、隣の人は全く違う仕事をしている場合があり、先ほどからお伝えしているような「すぐに体験の共有をする」ということが難しくなります。ですので、フリーアドレス制については、メリット、デメリットのバランスをきちんと考えた上で運用することをお勧めしたいと思います。

では、今日のまとめです。
めまぐるしい環境変化に晒される職場において、日々強いストレスを感じる仕事をされている方も多いと思います。そのような状況においては、自分の体験をすぐ近くにいる同僚と話し合えるような関係づくりを普段から考えていき、上司もそういったチームマネジメントを心がけていただけるとよいかと思います。

分野: メンタルヘルス |スピーカー: 松岡綾子

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