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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ベンチャー企業における製品開発② (マーケティング/岩下仁)

ベンチャー企業における製品開発②

岩下仁 マーケティング

18/02/07

前回からベンチャー企業の製品開発について話を進めています。大企業とは異なって研究開発費が少ない場合であっても、前回お話しした電動車椅子を開発したベンチャー企業であるWHILL社の事例のように、キラリと光るブランドがありました。大企業と比べて人・物・金で劣っている場合が多いベンチャーであっても、大企業以上にパワフルな製品を作る方法は他にもあるのではないでしょうか? 今回は国民的アイスである赤城乳業のガリガリ君を例に取って見てみましょう。

赤城乳業は大企業ではあるのですが、費用をあまりかけずにマーケティングを行った点においてベンチャー企業にとって有意義な視点が沢山あります。ガリガリ君は、皆さん多分ご存知の方も多いと思いますが、定番の青いソーダ味に加え、梨やコーラ、そしてコーンポタージュに至るまで斬新なフレーバーを次々に投入しています。

2007年に2億本の大台を超えましたが、2013年の売上本数はなんと4億8千万本に達しています。わずか6年で2億本以上の伸びになっているのです。日本の人口はおよそ1億人ですので、この1年で1人4本以上のガリガリ君を食べている事になります。

ガリガリ君については次々に投入される新製品という側面に注目が当たりがちですが、売上の増加を支える理由は、実は独自の販売戦略にあります。ガリガリ君が売り上げを伸ばしている理由は話題作りの為のちょっとした小ネタにあり、この小ネタを連続的に作り続けているわけです。小ネタ作りは従業員のアイデアなので費用はかかりません。様々な場所や場面に小ネタを仕込んで、SNS等を活用して消費者の口コミを誘って拡散させるのです。年間で実に100以上もの小ネタを連発しています。

例えばですが、お店で子供たちにガリガリ君の種類の多さをアピールするレインボー売場を展開したり、若者を惹きつけるガリガリ部という部を創設したり、着ぐるみ、おみくじ、そして小学館と漫画でコラボレーションもしています。ガリガリ部の部員数はなんと5万人にまで達していて、また、おみくじも受験生の間で話題を呼んでいるそうです。

この小ネタ作りですが、大企業が得意とする大規模なCM投入やイベントに頼るのではなく、やり方は極めてシンプルです。消費者の普段の生活導線に対して、アイスクリーム売場に足を運んでアイスを手に取るきっかけとなる話題を提供します。この点がまさに赤城乳業流の小ネタ作りの原点と言えるでしょう。

小ネタ作りの契機は2004年の残暑にありました。歴史的な暑さでガリガリ君の売上高は過去最高を記録したのですが、ガリガリ君の売上には大きな特徴があります。実は記録的に売れた翌年は売上が大きく落ちてしまう事です。大企業であれば翌年売上が落ちる事が分かれば、普段は行わない販売促進の活動をしたり、CMの量を増やしたりする事によって売上を維持する事ができます。しかしながら赤城乳業の場合は広告予算がほとんどありませんでしたので、大規模な取り組みは不可能だったわけです。

そこで、マーケティング部門や営業部門が知恵を色々出し合ったのです。ここで何を行なったかというと、お金のかからない小ネタ、これを片っ端から仕掛けていったのです。ガリガリ部の部員を使ったりおみくじを使ったりして様々な小ネタを仕組みました。こういった様々な取り組みが功を奏して、1億1千本程度で伸び悩んでいた売上本数が2007年に一気に2億2千本になったのです。連続的な小ネタの販売促進、これがお客さんの琴線に触れたわけです。2007年以降も小ネタを仕掛け続けています。効果はどうやら絶大だったそうで、年間1億本突破にガリガリ君の発売から19年を要したわけですが、2億本は7年、3億本は3年、4億本は2年でクリアをしていきました。

今では小ネタ連発による話題創出は、赤城乳業の成功の方程式になっています。そして何より小ネタはTⅤやCMへの広告費と比べてみると、費用が殆どかかりません。そういう意味では、ベンチャー企業をはじめとする小規模な企業であっても有効なマーケティング戦略になるわけです。

ただし注意点もあります。小ネタは単発でやっても大きな効果は出ません。小ネタは閾値、つまり一定の境界を越えた時にようやく初めて効果が出始めるものです。斬新なアイデアや知恵を連続的にしかも継続的に生み出す組織体制がとても重要です。赤城乳業にはこの小ネタを継続的に生み出す組織体制の土壌が備わっているのです。

ちょこちょこ色々な事をやる事で、だんだん「赤城乳業」「ガリガリ君」が消費者に浸透するわけですから、常に仕掛け続けるという事が大事ですね。お客さんの立場からすると、常に何かをやっているなという感覚を持っていただける事が売上増加に繋がるのです。

今日のまとめです。本日は赤城乳業のガリガリ君を例に、ベンチャー企業や中小企業の製品開発の方法として有効な小ネタの連発について説明していきました。小ネタは効果的なマーケティング戦略ですが、その際には小ネタの連続性がカギとなるでしょう。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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