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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 大学発ベンチャー起業に必要な研究者の知識(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

大学発ベンチャー起業に必要な研究者の知識(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

18/02/14

【今回のまとめ】
・大学発ベンチャー創業時に最も重要なことは、出口戦略である。出口戦略は、どのような投資家から、幾ら資金調達し、どのような人材を雇用し、どのような事業基盤を確立すべきかの全てに影響するので、創業メンバー間で十分に議論し、統一見解を持つことが不可欠である。


・近年、再び大学発ベンチャーに対する関心が高まっている。東大発のユーグレナやペプチドリームが東証一部上場を果たしたり、九大発のKyuluxも、有機ELでグローバルな事業展開を進めている。経済産業省の調査では、1,700社以上の大学発ベンチャーの存在が確認されている。
・このように、ある種の"ブーム"とも相まって、大学の研究者にも大学発ベンチャーが身近に感じられる場面が増えていると思われる。今回は、大学発ベンチャーを創業するにあたり、大学の研究者にはどのような知識・行動が求められるかを解説したい。これは、裏返すと、大学発ベンチャーを創業する際に、多くの場合、研究者には起業や経営の知識が十分ではないことを前提に、創業チームが集まって会社を設立し、事業を進めていく必要があるということを意味している。
・今回と次回の2回に渡って、(1)目指す会社のタイプと出口戦略、(2)資金調達について話したい。

(1)目指す会社のタイプと出口戦略
・大学発ベンチャーを創業するにあたり最も重要なことは、「目指す会社のタイプ」をどうするかを決めることだ。その姿によって、事業目標も集めるべき人材も資金も変わってくる。会社のタイプには、「ライフスタイル」「(大企業からの)買収型」「IPO(株式上場)型」の3タイプがある。
・「ライフスタイル」とは、事業の急成長を目指すのではなく、小規模でも黒字経営を安定的に継続することを目指す。従って、身内など親しい人脈からの出資に加えて、必要な資金は金融機関からの借入金によって賄う。このタイプには、例えば研究者の技術を活用したコンサルティングビジネスなどサービス系のビジネスが当てはまる。
・次に「(大企業からの)買収型」は、ある程度成長した段階で大企業に買収される道を選択する。会社設立時よりも買収時のほうが株価が上昇していることで、創業者(初期の出資者)にはキャピタルゲイン収入が期待できる。「ライフスタイル」に比べて事業拡大が見込みやすく、ROI(投資収益率)が高いと買収されやすい。
・最後に「IPO型」だが、これはベンチャー自身が成長を志向し、その過程で比較的大型の資金調達を行うために株式を上場する(IPOする)道を選択する。それによって、「買収型」と同様に、創業者や出資者にはキャピタルゲイン収入が期待できる。上場によって調達した資金を用いて、さらなる成長のために、設備投資や人員獲得、あるいは第二・第三の事業の柱づくりを行う。上場を果たすためには、「市場規模」「高成長率」「高利益率」を満たす事業であることが期待される。
・ベンチャーの創業メンバーである大学研究者としては、会社設立にあたってどのタイプの会社を目指すのか、その会社の出口戦略を明確にし、創業メンバーでしっかりと共有しておかねばならない。出口戦略は、どのような投資家から、幾ら資金調達し、どのような人材を雇用し、どのような事業基盤を確立すべきか、の全てに影響する。
・出口の理解が不十分だったり戦略が不明確だったりすると、会社のタイプに合わない人材や資金を集めてしまい、後にたいへんなトラブルに陥りかねない。例えば、ベンチャーキャピタル(VC)は、最低でも大手企業による買収、理想的にはIPOによって大きなキャピタルゲインを期待してベンチャーに出資する。VCから投資を受けた後で、研究者が「やっぱり上場は嫌だ。自分のペースで会社を経営したい」と言い出すようなことがあると、事業計画も資本計画も完全に変更しなければならず、それまで協力してきたステークホルダーを裏切ることにもなりかねないので、注意が必要だ。これが、この世界で"The exit is everything!"と言われる由縁である。

・次回は、(2)資金調達について解説したい。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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