QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > デザイン+ビジネス+アントレプレナーシップの連携の意義(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

デザイン+ビジネス+アントレプレナーシップの連携の意義(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

18/02/06

前回は、イノベーション創出には、デザイン(=イノベーションの目的を与える)、ビジネス(=イノベーションに実現性と継続性を与える)、アントレプレナーシップ(=イノベーションの機会を見出す)の連携が重要であり、九大では、QBSと芸術工学府とQRECが連携したプログラムが始動していることを述べた。
今回は、このデザイン+ビジネス+アントレプレナーシップが連携した活動として、2017年度から先行して取り組んでいる、「コンテンツプロデューサー育成プログラム」(経済産業省の「産学連携サービス経営人材育成事業」による補助事業)の様子について紹介したい。

クリエイティブ産業は、イノベーション創出の原動力のひとつとして注目されているが、クリエーターの創造性とビジネスの経営効率化はともすれば対立構造に陥ってしまい、持続的なコンテンツ創造や収益獲得が課題となっている。今回紹介する「コンテンツプロデューサー育成プログラム」は、起業・経営とコンテンツ制作の異分野を融合し、上記の課題を乗り越えられる人材の育成を目的としている。
これまで、1〜2ヶ月に一度の頻度で、芸工のコンテンツ系研究室に所属する院生・教員と、QBSの高田・五十嵐ゼミの院生・教員が集まり、芸工の院生によるプロジェクト発表に対してQBS参加者がビジネスの観点からアドバイスしたり、逆に、QBSのゼミ生チームによるビジネスプラン発表に対して、芸工の院生がデザインの観点からコメントする、といった場を設けている。
芸工の院生によるプレゼンテーションは、日頃はビジネスのことで頭が一杯なQBS側の参加者に、たいへん新鮮に映っているようである(その逆も然り)。例えば芸工の学生(クリエーター)が、作成中のアプリのユーザー・インターフェースの工夫点や、利用者の途中脱落防止策についてプレゼンし、それに対して、QBS側の参加者が「そもそもどうやってユーザーを獲得するのか?」といった質問を投げかけ、芸工の院生がアプリ利用シーンを俯瞰的に捉える必要性に気づくなど、お互いに相手が持たない視点や知識を持ち寄ることの相乗効果が垣間見えるなど、とても興味深い。

芸工では、院生(クリエーター)が多くのデザイン系科目を履修し、深い人間理解にもとづいてアウトプット(コンテンツ)を制作することが求められている。合同ゼミで彼らのプレゼンテーションを聴いていると、ユニークな着眼点と細かな作り込み(形への落し込み)に基づくアウトプットには、いつも驚かされる。そこには、ビジネス側に与える示唆が多く含まれているように感じる。
例えば、「理由はうまく表現できないが、なんだか凄く惹きつけられる」とか、「一見したところ意味不明だが、なぜか心が動かされる」と感じるアウトプットも少なくない。そこには、人間の「共感」を呼び起こす何かが、デザインの力によってもたらされているのではないだろうか。それが、芸術工学府が教育研究で力を入れている「深い人間理解」によるものだとすると、その「共感」獲得のメカニズムをしっかりと深掘りすることで、優れた製品やサービスの価値の源泉を手に入れられる可能性がある。(逆に、いくら表面的には綺麗に整ったデザインを施しても、「共感」が得られなければ、ビジネス上のヒットには繋がりにくいだろう。)

この連携活動を通じて、QBS側は「共感」の源泉となる価値を目利きするセンスや、人間理解に基づく価値創造のロジックを入手できる可能性がある。一方の芸工側は、「共感」を得ることがビジネス上の価値を生む大切な第一歩であることを認識し、ファースト・カスタマーの「共感」がどのようなプロセスを経てビジネスへと結実するのかを理解することにつながる。そして両者共に、アントレプレナーシップを持つことで、隠れてはいるが社会で解決が求められるイノベーションの機会を探求し行動する姿勢が育まれる。
このような、デザイン+ビジネス+アントレプレナーシップの枠組みで、異なる人材が連携し、新たな価値創造を実践する場作りを、これから本格的に進めていきたい。

【今回のまとめ】
芸工とQBSの合同ゼミを通じて、QBS側は「共感」の源泉となる価値の目利き力や、人間理解に基づく価値創造のロジックを入手し、一方の芸工側は、ファースト・カスタマーの「共感」がどのようなプロセスを経てビジネスに結実するかを理解できるなど、双方に高い価値をもたらしうると考える。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ