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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ベンチャー企業における製品開発① (マーケティング/岩下仁)

ベンチャー企業における製品開発①

岩下仁 マーケティング

18/01/31

今回からベンチャー企業の製品開発というテーマで何話かお話したいと思います。これまではコモディティ化時代、つまり製品が一般化してしまいお客さんが価格で製品を選んでしまう時代における製品開発についてお話をしてきました。どのセオリーにも共通している点は、ほとんどの企業が大企業で行われた製品開発だった事です。ピップにしてもアイリスオーヤマにしても日清製粉やアースにしても、どれも大企業ばかりです。やはり大企業は人材・知識が豊富にあるわけです。とすると、製品開発やマーケティングでは大企業のみが成功するのでしょうか? そんなことは決してありません。中小企業やベンチャーであっても優れた製品開発を行っている企業は実は数多くあります。

しかし、やはり中小企業はリソースの点で大企業と比べると限りがあるので、お金や人を大規模に投資する事は出来ません。そこで今回は、ベンチャー企業でありながらも優れた製品を生み出しているWHILL社の事例を見る事で、ベンチャー企業の製品開発について見ていきましょう。

同社は、足の不自由な人がかっこよくスマートに外出出来て、健常者も使いたくなるようなパーソナルモビリティ・電動車椅子を開発するベンチャー企業です。初期のパーソナルモビリティであるタイプAは価格が95万円だったのですが、予定であった50台を上回る注文を得ています。製品開発の視点からWHILL社の成功要因を分析してみますと、これまでのベンチャー企業にはあまりなかった3つの特筆すべき特徴がありました。

1つ目は、創業者達に熱い情熱があった事です。創業当時は100メートル先のコンビニへ行く事を諦めるという一人の車椅子ユーザーの課題解決に熱い情熱を注げるたくさんの大企業の出身者の人達が集まってチームが結成がされています。チームのメンバーは、日産自動車・ソニー・オリンパスといった企業のエンジニアやデザイナーでした。こういった色々な企業から集まった混合チームにはどの様な強みがあるのでしょうか? それぞれの異なる経験を元にして世の中の仕組みを理解し、世の中の仕組みを踏まえて戦略が練れる事です。したがって、固定観念が無く柔軟な小回りの利く体制が敷かれるわけです。枠にとらわれない行動力と考え方を備えて、困難を打ち破る原動力となります。同じ企業のメンバーでは価値観が似か寄りますので、様々なアイデアが出にくいわけです。

2つ目がユーザーの声を徹底して取り入れて、計画(plan)・実行(do)・評価(check)・改善(act)というPDCAサイクルを高速で回しています。高速でPDCAを回すことは、近年ではリーンスタートアップという言葉でも言われています。アメリカのエリック・リース氏が提唱した言葉で、アイデアをもとに実用最小限の製品のプロトタイプ(試作品)を作り顧客に試してもらい、その評価を見て改善点を探るというPDCAのプロセスを高速で行う手法です。タイプAのプロトタイプを東京モーターショーで発表後、電動車椅子ユーザーが多いアメリカのカリフォルニアに拠点を移してデザインから機能までを見直していますが、この修正期間が高速だったわけです。

アメリカでは、300人を超すユーザーの声を集め、日本での初号機からアメリカの実売機の間のわずか6か月で大幅な変更を可能にしたのです。具体的には、室内で移動しやすいように回転半径を小さくしたり、砂利道や雪道でも安定して走行出来る走破性を持たせたり等です。また、コントローラーをハンドル型からパソコンのマウスのようになめらかに直感的に操作出来るレバー型に変更しています。

最後は、ソーシャルメディアを徹底して利用した事です。ユーザーの声や開発ストーリーが分かり易く理解されるように動画を多用しました。ブログやフェイスブックで毎日情報を発信して、自動的に拡散することを初期段階から企画していました。フォロワーは現在では4,000人を超えています。ソーシャルメディアを駆使する事で広告費をうまく節約したのです。WHILL社の製品開発を見てみますと、ベンチャー企業であっても製品開発を成功させることが可能になることが分かると思います。そして今回の車椅子のように、コモディティ化市場であってもそれは実現されるわけです。

今日のまとめです。今回はベンチャーにおける製品開発について見てきました。成功のポイントは創業メンバーの情熱、リーンスタートアップに代表されるPDCAサイクルの高速化、ソーシャルメディアの徹底した活用の3点であったかと思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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