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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 事業定義の重要性 (マーケティング/岩下仁)

事業定義の重要性

岩下仁 マーケティング

18/01/30

前回までコモディティ化市場の製品開発というテーマでお話をしてきました。どの回でも共通していた事は、製品開発の担当者が様々なユニークな創意工夫をすることがコモディティ化から脱却する為に重要であるということでした。今回は製品開発担当者ではなく、もっと高い視点から会社を担う経営者がすべき事について見ていきたいと思います。

製品開発において経営者が行うべき事で最も大切な仕事は、事業の定義です。事業の定義とは、自社ビジネスを行う範囲を明確に決める事です。ところで、ビジネスの範囲はどの様に決めるのでしょうか? ポイントは三点あります。一点目は、誰にという顧客層。二点目が、何をという顧客の機能。三点目が、どのようにという自社の技術の活かし方です。これらの3つの軸で、自らの事業が何かを確定させていく事になります。

1つ目の顧客層ですが、誰に対して製品を売るか、サービスを提供するかという相手をはっきりさせることを言います。2つ目の顧客機能は、製品が果たすべき機能であって、顧客に提供する価値を意味しています。最後の技術は、価値を実現するためのあらゆる経営資源と言い換えられます。今回はこの事業の定義の重要性を理解する上で、アウトドア市場で急成長しているスノーピークという企業を取り上げて説明をしていきたいと思います。同社の山井社長は、事業戦略において誰に何をどのように売るのかを自由に選択出来ることが企業経営者の最大の武器であるとして、自ら設定していく事業の定義の重要性を非常に強調されています。

スノーピーク社を成長に導くことが出来た事業の定義について、3つの軸で見ていきましょう。まず1つ目の顧客層ですが、ハイエンドのアウトドア愛好家としました。つまり、かなりアウトドアが好きである一方で、お金を消費している消費者になりますよね。2つ目の顧客機能に関しては、優雅に快適なキャンプを楽しむオートキャンプというスタイルの提供です。オートキャンプとは、準備や後片付けに極力労力をかけずにキャンプを楽しむスタイルを言います。最近ではグランピングと言うそうですが、グランピングは従来のキャンプとは違い、綺麗なアウトドアグッズに囲まれて例えばチーズフォンデュやワインを楽しむ、こういった優雅な空間をSNSで見たりします。従来のキャンプとはかなり違っていて、ゴージャスなイメージが漂っていますよね。スノーピーク社の顧客機能は、まさにグランピングを体験出来るような機能を有しているわけです。

最後の技術ですが、高い品質のアウトドア用品やサービス・店舗・イベント、あるいはSNSでの顧客とのコミュニケーションを指しています。他のアウトドア用品のメーカーはイベントやSNS等にはあまり力を入れていません。しかし、同社は他社に先駆けてインターネットでのセールスプロモーションに力を入れたのです。

スノーピーク社についてもう少し詳しく見ていきましょう。顧客層として定義した、ハイエンドなアウトドア愛好者に響く製品とは一体どんなものでしょうか? 同社は、一般的には過剰にも見える高品質の製品を発売したのです。テントは通常は3万円位ですが、8万円と倍以上にする一方で、暴風雨でも耐久性を心配せずに使用できるものにしています。それに加えて、全ての製品が洗練されたデザインで統一されていて、まるでおしゃれなインテリア製品のようにもなっています。

ハイエンドなアウトドア愛好者にこういう製品はうけたのです。価格が倍以上になってもゴージャス感といったグランピングの要素を入れ、売れるようにしたという事が1つ目のポイントになっています。

2つ目の機能ですが、独自の永久保証制度も充実させています。例えテントが壊れても次の週末でキャンプを楽しめるように、たいていの場合は2日間で修理をしています。さらに、業界では珍しくキャンプを自分でも楽しむスタッフが直営店で対面接客しています。彼らはお客さんに対してキャンプの楽しさを上手く伝える事が出来るわけです。やはりやっていない人と好きな人が接客するのでは、説得力が全然違ってきますよね。

最後の技術に関しては、アウトドア会社には珍しくお客さんとのコミュニケーションに力を入れています。顧客を招いたキャンプイベントも各地で数多く開催しています。これによって、お客さん同士がスタイルを共感しつつ山井社長をはじめとした社員が交代で参加してお客さんとの交流をするわけです。現在ではフェイスブックを通して、19万人を超えるお客さんと繋がっています。

こういったお客さんとのコミュニケーションによってアウトドア愛好者だけではなくて、アウトドアに憧れるユーザーにまで広がっているのです。2014年からは普段でも着られるリラックスウェアの販売始めています。更に、アウトドアに憧れるユーザーを狙って2014年6月には優雅に準備なくキャンプを楽しめるグランピング専門の施設もオープンしています。こういった取組みが功を奏して、必ずしもアウトドア愛好家ではない新しいお客さんを取り込み同社のファンにもなってもらっているのです。

スノーピーク社は1989年に社員15名で作られたアウトドアメーカーだったのですが、常に変化し変革を興し時代の流れを変えていくというミッションの元に事業の定義を明確にして、それを実行に移すことで大きく成長出来た企業と言えると思います。

今日のまとめです。今回は経営者の視点から事業定義の重要性について説明しました。マーケティングを行う前提として、経営者による事業定義の明確化が大切であると思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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