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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 財政赤字はなぜ減らないのか (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

財政赤字はなぜ減らないのか

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

18/01/16

今回は、財政赤字は何故減らないかという話をします。日本の財政赤字が深刻だという話は、誰でも聞いたことがあると思います。そこで、今回は2017年度の国の予算を見ながらお話しします。

 

国の予算では支出を歳出と呼びますが、これは合計で97兆円です。兆円と言われてもイメージがわかない人は、このように覚えて下さい。日本人の大人は大体1億人いるので、日本人の大人一人あたり1万円だと1兆円になります。つまり、日本の国家予算は、大人一人あたり97万円くらいの支出額です。そのうち、税金などで調達できている部分は65%しかなく、残りの35%は国債発行という借金によって賄われています。毎年大量の国債が発行されているため、国債の発行残高は増え続け、現在では865兆円という途方もない金額になっています。これだけ借金が多いと、日本政府は破産するのではないかと心配している人もいて、とにかく財政赤字を減らそうと皆が考えています。

 

昭和の頃は、財政赤字と聞くと「代議士が地元選挙区で公共投資をするからだ」ということでしたが、最近はそうではありません。公共投資は予算全体の6%に過ぎないので、仮にこれをゼロにしても、焼け石に水です。歳出の中で一番大きいのは社会保障の費用です。年金や医療費などは高齢者が増えると自動的に増えてしまうので、減らせません。次は国債費です。過去の借金の一部を返済したり金利を払ったりする費用なので、これも減らせません。次は地方交付税交付金です。これは、税収が不足している地方公共団体に政府が集めた税金を交付しているものなので、これも減らしてしまうと地方公共団体が大変困ることになります。問題は、以上の3つだけで、税収等を上回っているということです。公共投資や防衛費や教育関係費など全部をゼロにしたとしても、財政赤字は無くなりません。どうしても必要な費用だけで税収を上回ってしまうということで、歳出削減で財政を再建することは難しいということになります。そうなると、増税しかありません。だから、消費税を上げないと財政赤字は減りません。もちろん、消費税以外の税金を上げるのでも構いませんが、とにかく増税をしなければなりません。しかし、増税は簡単ではありません。

 

第一に、政治家が人気取りのために増税に反対するからです。しかし、最近では政治家も人気取りばかりではありません。民主党政権の時には、与野党3党が消費税増税に合意しました。皆で合意すれば支持者が逃げることはありません。それでも消費税の増税が難しいのは、消費増税が景気を悪くしてしまうからです。前回、消費税が5%から8%に上がった時、消費が大きく落ち込み、景気が上向きから下向きに方向転換してしまうのではないかと心配されました。そのようなことがあると、次の増税は大丈夫だろうかと皆が不安になります。景気が悪くなってしまうと税収が減り、景気対策が必要になり、財政赤字はむしろ膨らんでしまうかもしれません。そのような事態は是非とも避けたいということです。

 

財政赤字は、景気の回復などを受けて、少しずつは減っています。今後も、景気の回復が続いて財政赤字が減っていく期待しています。景気が良くなると、税収は大きく増えます。人々の所得が増えると、所得税は累進課税なので、税収は人々の所得以上に増え、景気が良くなって企業が儲かると法人税の税収も大幅に増えると期待できます。政府は、とりあえずの目標として基礎的財政収支を黒字にしたいと考えています。これは、過去の借金のことは忘れて、今年使う金は今年の税金等で賄おうということです。もっとも、それが実現するのはかなり先のことになりそうです。

 

日本政府が破産すると心配している人は多いです。しかし、私は大丈夫だと思っています。このまま少子高齢化が進むと、労働力不足がもっと深刻になります。そうなると、「増税をして景気が悪くなっても失業者が増えない」という時代になるはずです。そうなると、安心して増税をすれば良いです。今ひとつ、相続税を増税すれば良いと思います。物を買うたびに税金を取られるのは嫌ですし、一所懸命稼いだ所得に課税されるのも嫌ですが、相続税であれば、棚から牡丹餅が落ちてきたのが、期待していたより小さかったというだけです。もちろん、ご主人が亡くなった時に奥さんが住んでいる家を税務署に取り上げられるなどと言うことがないように、細かい配慮は必要と思います。

 

今日のまとめです。財政赤字は減らそうとしても、なかなか減りません。社会保障、過去の借金の返済や利払い、地方交付税など、削れない歳出が多いことに加え、増税は景気を悪化させかねないことなどが理由です。

分野: |スピーカー: 塚崎公義

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