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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 家計の消費と貯蓄 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

家計の消費と貯蓄

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

18/01/15

今日は、普通の家の家計簿を覗いてみようという話です。総務省が家計調査という大規模なアンケート調査を行なって、8千世帯の家計簿を集計しています。これを見ると、普通の家の家計簿がどのような具合かイメージを掴むことができます。はじめに大事なことですが、今日は、単身者ではなく、二人以上の世帯についてお話しします。単身者の方には参考にならないかもしれませんが、ご理解ください。それから、収入や消費は1ヶ月あたりの数字です。

まずは、サラリーマン家庭の所得と消費です。1ヶ月あたりの収入が53万円、税金などが10万円、消費が31万円で、残った12万円を貯金しているというのが平均的な姿です。世帯あたりの人数が3.4人で消費が31万円なので、一人当たりの消費額は10万円弱です。貯金が毎月12万円というのは、銀行預金が12万円増えているという事ではありません。住宅ローンの返済や生命保険の払込金を含んだ数字なので、普通の人は銀行預金の残高はあまり増えていないと思います。

一人あたり1ヶ月10万円弱の消費というのは、無職の高齢者の世帯でも、大体同じです。高齢者は消費が少ないというイメージがありますが、そうでもないです。無職の高齢者は収入が年金などに限られているので、家計は赤字で毎月6万円ほど貯金を取り崩しているようです。元サラリーマンと元自営業主を比べると、サラリーマンの方が年金が手厚いので、取り崩し額は少ないと思われます。元自営業主は毎月の取り崩し額は多いけれども、サラリーマンより長く働けるので、取り崩す期間が短いということと思います。自営業者などを含めた全体でも、消費額は一人1ヶ月10万円弱なので、これが日本人の平均的な生活水準ということになります。

次は、金融資産の話です。日本人の平均的な家族は、金融資産を1820万円持っています。大金持ちがたくさん持っているので平均が上がってしまいます。日本人を金持ちから順番に並べて、真ん中の人を見て見ると、金融資産は1064万円です。これが普通の日本人家庭の金融資産額だということです。これを中央値と呼びます。日本では高齢者が多額の金融資産を持っているので、現役サラリーマンだけを見れば、そんなに持っていません。現役サラリーマンの中央値、つまり金持ちから順番に並べて真ん中にくる人は、金融資産が734万円です。銀行預金や株式、投資信託だけではなく、生命保険も含んだ数字です。みなさんの家族の金融資産を合計して734万円より多ければ、サラリーマンの真ん中より上だということです。当然ですが、年齢などによっても違いますので、若い人や自宅を買った人などは、これより少なくてもショックを受ける必要はありません。ちなみに、40歳未満の平均は570万円、40歳代の平均は1070万円です。これは平均なので、中央値はもっと低いはずです。

金融資産の中身については、預金が半分以上で、保険や年金も結構多いのですが、日本人は株式投資をあまりやらないので、株式投資や投資信託などは少なくなっています。アメリカの家計が銀行預金より株式を多く持っているのとは対照的です。アメリカの家計は、銀行預金より株式の方が多いです。リスクがあってもチャンスを狙おうという国民性と思います。何と言っても一攫千金を夢見て危険な大西洋を渡り、先住民族と戦いながら開拓を続けた人々が作った国です。

次は、格差の話です。勤労者世帯だけを見ると、収入の格差はそれほど大きくありません。まず、収入の多い方から並べて、5つのグループに分けて、それぞれのグループの平均を計算します。そして、上の5分の1と下の5分の1を比較してみましょう。上が86万円で下が30万円なので3倍弱です。全世帯で見ると、大金持ちの実業家がいたり、無職高齢者がいたりするので、収入の格差は少し広がりますが、それでも上位5分の1と下位5分の1の格差は5倍以内です。一方で、金融資産について見ると、格差は非常に大きなものがあります。上位5分の1は平均5500万円、下位5分の1は平均94万円なので、50倍以上の差があります。大金持ちがいるということもありますが、貯蓄がほとんど無い人が結構いるので、倍率が大きくなるということも言えそうです。もっとも、これを見て格差が大きいと考えるべきかどうかは、少し慎重に考えたいです。高齢者は金融資産を持っていて、若い人は持っていないということが大きく影響しているからです。

格差というと、何かと話題になるのが相対的貧困率という言葉です。これは、所得が中央値の半分以下しかない家計の比率の事です。1985年には12%でしたが、2015年には16%にまで上昇しているそうです。高度成長期の日本は「一億総中流社会」と言われていましたが、いつの間にか貧困が広がっているということです。格差があること自体は、悪いことではありません。「頑張って金持ちになろう」と思って皆が真面目に働くようになるからです。ただ、頑張っても貧困から抜け出せない人が大勢いるのは問題です。特に、親が貧しいために子供が教育を受けられず、子供も貧しくなるということは避けるべきです。その意味では、幼児教育の無償化などは、政府に頑張ってもらいたいことの一つです。

今日のまとめです。日本人は、平均一人1ヶ月10万円弱の消費をしています。所得の格差はそれほど大きくありませんが、金融資産額の格差は大きなものがあります。高齢者が多額の金融資産を持っていることが主因です。

分野: |スピーカー: 塚崎公義

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