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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 映画に見る専門家集団によるアメリカの組織犯罪 (経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)/久原正治)

映画に見る専門家集団によるアメリカの組織犯罪

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

18/01/10

アメリカの政治・経済の仕組みについて映画を通じて学ぶというシリーズで話を進めていますが、今日は組織犯罪について取り上げたいと思います。アメリカは組織犯罪の多い国だと思われているのですが、日本でも去年は福岡で金塊を買う為の現金がかなりの額盗まれるというハリウッド映画のような事件もありました。

まさに日本の犯罪もアメリカ型になったと言われているのですが、実はアメリカの犯罪と日本の犯罪は犯罪を実行する組織の点でずいぶんと違っています。アメリカは専門家が集まって組織を作って犯罪を実行し、そこには全体を企画して管理する専門的なリーダーがいます。ちゃんとリスクをチェックして、リスクとリターンを比べてリターンの方が高いと思ったら犯罪プロジェクトに着手します。

また、メンバーにはそれぞれの専門領域でプロフェッショナルな評価が非常に高い人を雇い、個々人は分業しているからお互いの関係は分からないようにしています。最後は成果型の報酬をどう分け与えるかというのがリーダーの役割になっているということで、アメリカの組織犯罪というのはプロフェッショナルな分業体制の組織で遂行されていっているのです。

そして、映画を見る事によってこのようなアメリカの組織犯罪が良く分かります。昨年公開された2本の組織犯罪映画を紹介します。ひとつは8月に公開された『ベイビー・ドライバー』という映画です。この映画では銀行強盗が犯罪のプロジェクトでして、主人公は天才的なドライバーです。銀行強盗が終わった後逃げる時に、カーチェイスで警察から追いかけられても逃げ抜くことが出来る能力を持っています。昨年色々問題がありましたけどケヴィン・スペイシーがプロフェッショナルなリーダーになって様々な専門家を集めて分業させて、お互いには知らない中で非常に専門性が高い犯罪を実行していきます。

それから昨年の10月に『バリー・シール/アメリカをはめた男』という、トム・クルーズが主人公の組織犯罪映画がありました。トム・クルーズは元々TWAという大きな航空会社のパイロットで操縦の能力が非常に優れているという役を演じています。CIAがまずこの人を雇って、中南米の反政府組織に武器を密輸する業務を秘密で頼みました。そうしたらこの人はパイロットとか経理といった色々なプロフェッショナルな人を集めてきて、現地からの帰りの便で今度は麻薬を密輸するようになる。それで自分達で会社まで作ってしまったのです。CIAは自分達の秘密の業務を頼んでいるから麻薬のところは目を瞑っていたわけです。その結果、武器と麻薬に関してアメリカで最大の密輸業者に成長していきました。途中でFBIと麻薬取締局がここに捜査に入ってくるので、CIAはこれはまずいと思い証拠を抹消してこの人を切るわけですけど、主人公は政府と司法取引をして、政府もこれが多くの国の解放戦線等と繋がっているという事があり政治的にまずかったので結局犯罪を重罪ではなくしてしまいます。しかし、最後はこういう犯罪者は政府と犯罪者の狭間にいるので、中南米の麻薬業者から狙われてしまって悲惨な最期を遂げることになっていくわけです。結局専門家を雇った組織犯罪集団が犯罪を実行していって、最後は摘発されることになるのですが、(CIA,FBI,麻薬捜査局といった)摘発側の組織もどちらが敵でどちらが味方か分からなくなっていって、自分の事は自分で守るしかなくなってしまうという特徴がこの映画には出ています。トム・クルーズがこの主人公を実によく演じているのでトム・クルーズが好きな方はこの映画を見るといいですし、アメリカの組織犯罪というのはどういう物かという事を考える為にも良い映画になっています。

日本でもいわゆる任侠物の映画というのは昔から多くあったのですけど、これも一応組織犯罪です。面白いのは日本の組織犯罪とアメリカの組織犯罪が、組織の在り方が全然違う点です。アメリカは分業化されていて、プロジェクトごとにそれぞれのプロが集まって専門のリーダーが率いて犯罪をやっていく形です。一方で日本の場合は、どちらかと言えば義理と人情で最初からメンバーとして集まっている人が一緒に犯罪をやっていく形です。そうすると日本の方は犯罪が摘発される可能性が、特に大型犯罪をやった場合に高く、アメリカはプロフェッショナルに分業されているわけですからなかなか捕まらない面があります。日本は集団がメンバーでやっているから共同体で犯罪をやっている組織犯罪であり、同じ組織犯罪でも日本型とアメリカ型でずいぶん違っていると言えると思います。

今日のまとめです。アメリカの犯罪映画を観る時に組織という視点を持つと、分業された専門家が集まって組織・メンバー間ではドライな関係でやっているというのが、まさにアメリカ型の組織を体現していることが分かります。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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