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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コストと体重は似ている!? (管理会計、コストマネジメント/丸田起大)

コストと体重は似ている!?

丸田起大 管理会計、コストマネジメント

18/01/01

今日はコストの変動にまつわる話をしたいと思います。まず、コストに関する様々な実証研究があるのですが、その中でコストを変化させたら売上高がどれくらい変化するか、というものを紹介したいと思います。これを分かり易く言いますと、製品の製造にかかったコストである売上原価、製品の販売や管理にかかったコストである販売費および一般管理費というものが、例えば100円増えた場合に、それに応じて売上高がどれくらい増えているかを検証する研究です。

この問題について、過去40年位の我が国の上場企業のデータに基づいて検証したところ、売上原価の方は100円増加した場合に、売上高は102円から104円ほど増加していることが分かりました。それに対して、販売費および一般管理費の方は100円増加した場合に、売上高は119円から126円ほど増加していることが分かりました。販売費や一般管理費が増加した場合の方が、売上高もより増加するということです。つまり、製品の機能を増やしたり品質を高めたりするために、製品の製造活動にコストをかけることは勿論重要ですが、売上高にその効果が出てくるのは時間がかかってしまうので、やはり営業担当者を増やすことやマーケティングや広告宣伝の為の予算を増やす方が売上高に対する即効性は高いという証拠が得られたということになります。この結果を踏まえると、売上高を高めたいと考える経営者は、製造活動にコストをかけるよりも、販売活動により一層のコストをかけるべきだという結論になるのです。

一方で、逆に売上高が変化した場合にコストがどのように変化しているかという方向性の研究もおこなわれています。既に皆さんはこのラジオで変動費・固定費という考え方を学んでいると思います。理論的には変動費とは、売上高の増減に対して比例的に変化するようなコストで、例えば材料費がそれにあたります。固定費とは、売上高の増減に関わらず一定額が発生するようなコストで、家賃のようなものがその例になります。このコストの変動の仕方について実証研究の結果を見てみると、実際には企業のコストというのは、売上高が「増えた」場合には比例的に増えているが、売上高が「減った」場合には比例的には減っていないという傾向があることが判明しました。つまり、売上高が増えた場合と売上高が減った場合では、コストは対照的には変化していなかったのです。特に売上高が減った場合には、コストは減りにくい、つまり、硬直的であるという傾向を示していました。この現象のことを、コストは減る方向、つまり下向きには硬直的だという意味で、コストの「下方硬直性」という言い方をします。

では、コストはなぜこのような動き方をするのでしょうか。例えば、会社の機械とか車などの固定的な資産をリース契約の様な形で借りている場合があると思います。この場合、契約している期間はコストを払い続けなければならないので、売上高が減ったからといっても、法的な義務によって減らすことが出来ないという事態になります。また、雇用した従業員を自社で人材として育てている場合には、やはり売上高が減ったからと言って、そのような人材を流出させてしまったら、再び売上高が増えてきた時にまた一から育てていては間に合いません。つまり、売上高の減少によって人が余ってしまう様な状況でも、再び売上高が増える時に備えて人材を確保しておこうという経営判断がなされている場合には、この様な現象が起きるようです。この様な経営判断がどのような条件の時に起きているのかということについては、例えば売上高が減少していても、それは「一時的」なものですぐに売上高が回復するだろう、という楽観的な予測を経営者が抱いている場合には、コストは下方硬直的になると考えられています。経営者は、例えば売上高が10%減少したくらいではそのような楽観的な予測を抱きやすく、この10%が境目ではないかということが分かってきています。

また、コストの下方硬直性の強さは、国や文化によっても違うようです。日本だけではなくて例えばドイツやフランスの国の会社は、アメリカやイギリスの会社よりもその傾向が強いという結果が得られています。これにはお国柄が出ていると考えられ、雇用の維持を重視するのか、それとも雇用の流動性を重視するのか、といった企業文化や社会的な価値観の違いと関係があるのではないかと言われています。

このようなコストの下方硬直性を見てみると、増えるのは早いが減らすのはなかなか難しいということで、これは体重によく似ていると思いませんか。増えるのは簡単だけれども、減らすのは大変だということで、やはり会社のコスト管理も、我々のダイエットのように、なかなか一筋縄ではいかないようです。

今日のまとめです。コストの変化が売上高に与える影響については売上原価よりも販売費および一般管理費の方がその効果が高いという特徴があり、また逆に売上高の変化がコストに与える影響では、売上高が減ってもコストは減りにくい、下方硬直性という現象がみられる、というお話でした。

分野: コストマネジメント 管理会計 |スピーカー: 丸田起大

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