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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > トランプ体制の進捗 (企業財務 M&A/村藤功)

トランプ体制の進捗

村藤功 企業財務 M&A

17/12/27

トランプ体制が始まって1年が終わろうとしているということで、トランプ体制はどの様に進捗しているのかという事を今日は一回眺めたいと思います。法人税の話はトランプ大統領が唯一と言ってもいい位やった素晴らしい成果なのですが、これまで35%あった連邦法人税がついに21%になりました。当初トランプ大統領は15%にすると言っていたのですけれど、15%では財源が無くなってしまうという話になりさすがに下げすぎだということで一時20%になりかけました。しかし、上院や下院では来年から導入するのか再来年から導入するのか等で色々もめて、来年から導入するから20%でなくて21%にしようということでぎりぎりで決まり、21%で通りました。

これは連邦法人税の話で、地方税と合わせると実効税率が28%位になります。これは日本とかドイツやフランスよりも低い税率なのです。世界中で税率を低くする競争をしている中でこれまでアメリカだけが異様に高かった状況から下げられたということです。

アメリカ企業にとっては、アメリカから出ていって外で色々なことしなければいけないという状況から、アメリカに戻って来てもそんなに損しないという話になっています。アメリカの企業は2.5兆ドルという多額なお金をアメリカの国外に置いているわけです。これを海外からアメリカに戻す際に35%課税することになっていた配当課税を廃止するということで、アメリカの外にあったお金が戻ってくるという話になっています。そういう意味では、法人税率の低下は民間企業の活動を自由にさせる上でとてもいい話ですよね。トランプ政権がやった事としては評価できるのではないでしょうか。

ただし、他が色々思うようにはいっていません。例えば、オバマ・ケアは絶対やめるとトランプ大統領は言って共和党も賛成でした。しかし、共和党の保守派の中にはオバマ・ケアを全部やめると主張する人も結構たくさんいる一方で、トランプ大統領がやろうとしている事はオバマ・ケアの加入義務を外したり低所得者への政府支援を縮小したりするという代替法案です。保守派は全部廃止と言い民主党はオバマ・ケアを守りたいと言っている中でなかなか合意に達せず、オバマ・ケア問題は前に進みません。

それから、イスラエルも大変なことになっていますね。正直に言うとトランプ大統領だけの問題ではなくて、共和党は昔からイスラエルの味方でした。1995年にはエルサレムにアメリカ大使館を移転するという法律を作ってしまっている位です。そのあとの歴代アメリカ政権は、執行を大統領令で延期してきました。民主党はパレスチナの味方も結構するのだけれど、共和党は皆イスラエルの味方をしています。

ユダヤ系アメリカ人はアメリカには人口の2%くらいしかいないのですけれど、すごくお金を持っている為ロビー活動で政治力がとても強いのです。ここで明らかにイスラエルの味方をしてしまってパレスチナに敵対したもので、今までの中東和平の仲介役といったのも事実上放棄しているというような状況になってきています。エルサレムをイスラエルの首都にしようだとかアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転する等に対して、国連をはじめとしてイギリスのメイ首相やフランスのマクロン大統領とかローマ法王のフランシスコだとか、周りでも皆反対です。

アラブ連盟とかサウジアラビアとかエジプトといった国々はアメリカのトランプ大統領との関係をベースに普通の国になろうとしたところを、イスラエルにエルサレムを認めてしまったら民衆や宗教界の支持を得られなくなるというので本当に困っています。世界中のイスラム教徒ももちろん反対しています。エルサレムはキリスト教とユダヤ教、そしてイスラム教の聖地なので、皆反対しているという状況です。

それから外交防衛関係の他はどうなのかというと、国家安全保障戦略を最近発表したのですけれど、これがまた結構大変なことになっています。オバマ大統領は昔から対話や外交で問題を解決しようと言っていました。当初選挙した頃トランプ大統領は、アメリカは世界の警察なんかやめて海外に介入しないと言っていたのですけれど、ここのところ軍事費用を増加させて軍事力で国際秩序を維持するというような話が出てきています。イランと北朝鮮はならず者だという話になってきているわけで、そうすると何が起こるのかちょっとわからないのですが、我々が特に心配なのは北朝鮮ですよね。

11月20日に北朝鮮をテロ支援国家に再指定をしたところ、11月29日に久しぶりに火星15というミサイルが北朝鮮から飛んできて、アメリカ全土を攻撃できるICBMが完成したと北朝鮮は発表しているわけです。もし必要だったら軍事的にやるぞとトランプ大統領は言っていて、最近マティス・ティラソン国防長官がまともな人に見えているのですけれど、ティラソン国防長官がもうトランプ大統領に首になるではないかということで怪しい状況になってきています。

貿易でも、これまで世界はWTOを通して多角的に自由主義を推し進めていき安くていいモノを作る所が自由に輸出できる形にする方が世界のためになると言っていたのが、トランプ大統領はアメリカ第一の保護主義なので、WTOの考えにそもそも合いません。WTOでアメリカは何を言っているのかというと、アメリカの貿易赤字の解消です。途上国が自国の国内産業の為にアメリカに対しては自由に輸出できるようにすると、アメリカの貿易赤字が全然減らないのでWTOは良くないのではないのという話になって、このままいくとWTOは何も決められない機関になってしまうのではないか、という状況です。

今日のまとめです。法人税の引き下げだけは実現が近づいているのですけれど、トランプ大統領の人事・外交面やオバマ・ケア撤廃は進んでいないし、ロシアゲートは深刻化しています。また、パリ協定やエルサレム承認、ユネスコからの離脱やイランの核合意非難などでEUや国際社会からの信頼は失いつつあります。さらに差別主義や保護主義は継続し、最近特に心配な事がはじめ国際紛争に介入しないと言っていたのが最近北朝鮮やイランはならず者国家なので軍事力でつぶせという話になってきたので、少し緊張が高まってきたという状況です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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