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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 新規事業の顧客を見極める(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

新規事業の顧客を見極める(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

17/12/19

・前回は、新規事業のプロセスで、顧客の真の欲求や問題を十分に学習しないまま、「顧客不在」で「自画自賛」のまま計画が立てられ、その計画に沿って製品開発され市場投入されるので失敗する例が後を絶たないことについて解説した。
・では、そのような「当たり前」にも思える問題を解決するためにはどうすべきだろうか?スティーブ・ブランク氏は、「顧客開発モデル」を提唱し、「顧客発見」→「顧客実証」→「顧客開拓」→「組織構築」の4つのステップで、自らのアイデア(仮説)を検証しながら製品開発を進めて市場投入することの有効性を述べている。すなわち、顧客の抱える真の欲求や問題を理解し、反復可能な営業が可能となるようなニーズを実証し、エンドユーザーの需要を喚起して顧客を開拓し、その実行を支える組織を構築する、という流れだ。ポイントは、「製品」に焦点を当てるのではなく、とにかく「顧客」に焦点を合わせて、それを外さない点だ。
・そのためには、特に前半部分が重要となる。まず最初の「顧客発見」の段階で、自社製品の真の顧客が誰なのかをしっかりと見出す。解決すべき顧客の課題を捉え、事業のアイデアを練り上げて製品ビジョンを構築するという点で、前回述べた「製品開発」プロセスと同じように思えるが、実際のアクションは大きく異なる。つまり、顧客の課題について創業者や新規事業担当者が"推測"を交えて明らかにするのではなく、とにかくオフィスの外に出て顧客候補と接触を繰り返し、彼らの真の欲求(購買のメカニズム)を明らかにし、それが自社の掲げる製品ビジョンと合致するのかを検証するのである。合言葉は、「答えはオフィスにはない!」だ。特に留意すべきなのは、少数だが熱狂的に支持してくれるビジョナリー顧客(=製品を気に入ったら大きな影響力でもって周囲に広めてくれるエバンジェリストユーザーでもある)を見出す点だ。
・次の「顧客実証」は、そのようなターゲット顧客に対して、繰り返し実行可能な営業プロセスを構築できるかを検証する。顧客は課題解決のために幾らなら払ってもよいと考えるのか、どのようなタイミングで、どのような販売チャネルで購入するのか、リピート購入する要因は何なのか、といった事柄を、顧客に対するデモなどを通じて明らかにする。ここまでの活動を適切に行うと、自社が開発する製品の価値、すなわちバリュー・プロポジション(価値提案)が明確になり、それに適合的な営業や流通チャネルを検討しやすくなる。仮に、この段階で顧客実証ができなくても、それは失敗ではない。再度「顧客発見」→「顧客実証」のプロセスを繰り返すなかで、必要な方向転換(=ピボットと呼ぶ)をすれば良い。この初期段階のプロセスに必要なコストはそれほど大きくないため(逆に、コストが大きくならないようにプロセスを回す工夫が必要)、手戻りは十分に可能なのである。この点が、いったん事業計画立案すると手戻りが許されない「製品開発」プロセスとは大きく異なる。
・「顧客発見」→「顧客実証」という製品開発の初期段階を小さく速く試して、そこから開発チームが正しく学習できているということは、そのまま前に進んでも問題ないか、あるいはいったん戻って顧客の定義や製品ビジョンを再検討するかの適切な判断根拠を獲得できていることを意味する。
・ここまでのプロセスで、顧客についての見極めがしっかりと出来ていれば、その後の「顧客開拓」や「組織構築」を着実に行うことができる。

・以上解説したように、「顧客開発モデル」では、新規事業検討の初動期に目の前にある顧客の欲求や製品ビジョンに関する情報やアイデアは、あくまでも「仮説」に過ぎないという前提に立ち、オフィスの外に出て少数だが熱狂的に支持するビジョナリー顧客を見出し、彼らに対してどのような製品をどのような営業や流通経路で提供することが望ましいかを、手戻りやピボットをしながら徹底的に検証する、という行動が重要となる。
・このような「顧客開発モデル」における仮説検証プロセスは、スティーブ・ブランクの著書「アントレプレナーの教科書(翔泳社)」や「スタートアップ・マニュアル(翔泳社)」に詳しい。
・また、ダイアナ・キャンダーの「STARTUP スタートアップ〜アイデアから利益を生み出す組織マネジメント(新潮社)」は、中古ロードバイクをオンライン販売するビジネスを始めた主人公が、販売が伸び悩むなかで一人のアントレプレナーと出会い、そこから改めて自社の事業仮説の検証を進め、遂に真の顧客にたどり着くというプロセスが物語風に記述されたもので、とても読みやすい。「顧客開発モデル」で提唱された初期段階の仮説検証プロセスとピボットの重要性を理解したい方にはオススメだ。

【今回のまとめ】
・「顧客開発モデル」では、新規事業の初期段階で手にしている顧客の情報や製品アイデアはあくまでも「仮説」に過ぎないという前提に立ち、ビジョナリー顧客を見出し、手戻りやピボットを繰り返しながら顧客実証を進める、という行動が重要となる。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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