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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 新規事業の顧客を見極める(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

新規事業の顧客を見極める(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

17/12/18

・既存企業であれスタートアップであれ、事業を始めるにあたってもっとも重要な問いは「顧客は誰か?」ということだ。「そんなことは当たり前だ」と思われるだろうが、新規事業の検討を進める過程で、いつの間にか顧客不在の状態に陥り、あるいは顧客セグメントの絞り込みが曖昧になって、名だたる大企業であっても、結果的に失敗の憂き目に合う新規事業が後を絶たない。
・今回は、新規事業において顧客を見極めることの重要性やその方法について考察したい。特に、有効なモデル(手法)として、スティーブ・ブランク氏の「顧客開発モデル」を紹介したい。同氏は、スタンフォード大学でも教鞭を執るアントレプレナーで、そのプログラムは「リーン・ローンチパッド」としてよく知られている。

・まず、従来の新規事業の進め方のどこに問題があったのかを確認しておきたい。多くの場合のプロセスは、「コンセプト」→「製品開発」→「テスト」→「販売/出荷開始」の段階で進んでいく。「コンセプト」の段階では、ベンチャーの創業者や企業における新規事業の立案者が解決すべき顧客の問題を明らかにし、その解決につながるアイデアを練り上げて「こんな製品だったら顧客に受け入れられるだろう」という製品ビジョンを構築する。その後、構想実現に向けた具体的計画(事業計画)を策定し、その計画に沿って必要な予算措置や人員配置へと進む。
・そして、次の「製品開発」の段階では、製品の仕様が決定され、開発チームが開発をすすめる。この過程で、製品の発売日や出荷日が決定されることも多い。また、マーケティングのチームが顧客候補をリストアップしたり、デモなどの準備をすすめる。
・次の「テスト」の段階では、限られたユーザーを対象に、試作品を用いたテストを実施し、予め定められた仕様に沿って製品が機能することをユーザーと共に確認する。この段階では、かなり詳細な流通・販売計画が立てられる。そして、遂に「販売/出荷開始」となり、マーケティングや営業のチームがユーザーの関心を喚起する様々な活動を展開し、顧客の購入を促す。
・さて、一見当たり前で問題なさそうに見えるこのプロセスのどこが問題なのか?スティーブ・ブランク氏によると、製品開発や販売/流通の準備を進める過程で、「顧客の問題を解決する」ことが焦点から外れて、いつの間にか「製品開発/出荷」そのものが目的化してしまうというのだ。結果、完成度は高いけれども「顧客不在」の製品が世に出てしまい、見込んでいた売上目標が全く達成できない事態に陥るのだ。
・また、「製品開発/出荷」そのものに関心が向いていると、製品本来のあるべき姿について潜在顧客を巻き込みながら試行錯誤する前に販売開始日や出荷予定日(Xデー)などの重要スケジュールが先に決定されてしまい、そこから逆算して製品を完成させねばならなくなる。その結果、顧客の求めることと製品が提供する価値が本当に合致しているのかが十分に検証されないまま、スケジュールを遵守した開発が進む。
・つまり、自社の製品は顧客のどのような問題を解決し、その問題は顧客にとってどれほど深刻か?その解決のためなら顧客は幾らなら支払っても良いと考えているのか?といった、顧客についての学習が不十分なまま、ともすれば「自画自賛」に基づく計画が立てられ、その計画に沿って製品を開発し市場投入するので、失敗してしまうのだ。当然ながら、その間に投じられた開発やマーケティング・流通網の構築のための費用の全てが無駄になってしまう。
・新規事業を構想する際には、しばしば「Don't fall in love with your first idea!」という言葉で注意が促されるが、まさに自分が思いついたアイデアにいつの間にか囚われて酔いしれてしまい、気づいたときには後戻り出来ずに失敗してしまうという愚が繰り返してしまうのである。

・では、このような問題に対してどう対処すべきなのか?次回は、スティーブ・ブランク氏が提唱する「顧客開発モデル」を紹介したい。

【今回のまとめ】
・多くの新規事業では、顧客についての学習が不十分なまま、自分のアイデアに囚われ「自画自賛」のまま事業計画が立てられ、その計画に沿って製品を開発し市場投入するので、失敗してしまう。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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