QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コモディティ化時代のプライベートブランド開発のポイント (マーケティング/岩下仁)

コモディティ化時代のプライベートブランド開発のポイント

岩下仁 マーケティング

17/12/12

これまで数回に渡ってコモディティ化市場の製品開発というテーマで、特にロングセラーになっているブランドを中心に話を進めてきました。前回は、ウイダーinゼリーやシーブリーズといったブランドを見てきたのですが、どちらもメーカー・製造業が中心になって優れた製品を開発する手法についてお話してきたと思います。

しかし、私たちが実際に店頭に行って製品を買う時には、実はこういったメーカー主導の製品ばかりがロングセラーブランドではありません。例えば、身近な例としてセブンイレブンに行ったとします。セブンプレミアムがよく見かけますよね。これはメーカーが主導で開発した商品では無くて、流通業者であるセブンイレブンが独自に開発してヒットしたものです。お弁当もありますけど、最近ですとおいしいスイーツといった商品なども話題になりました。

他のメーカーでは、例えばゴディバがローソンと組んでチョコレートを一緒に共同開発するといった取り組みもあります。メーカーが作るナショナルブランドと対峙して、流通主導で開発された製品はプライベートブランドと言われています。流通マージンを取らないので価格競争力があります。つまり、より良いものを安く売るといったビジネスモデルが実現できます。

今、本当にプライベートブランド商品は多いですよね。アイスクリームでも飲み物でも、かなり広がってきていると思います。今回一つの例として、アイリスオーヤマの新製品開発について見ていきたいと思います。同社はホームセンターで有名でホームセンターも一種の流通業者に入りますけども、特に収納用品やペット用品、あるいは園芸用品といった生活用品を中心に、年間一千点を超える新製品も開発しているのです。

更に、これまで大手企業の独壇場とされてきた炊飯器・布団乾燥機・掃除機といった家電製品の分野でも次々にヒット商品を世に送り出しています。同社がそのような優れた商品を生み出している原点には一体何があるのでしょうか? 大手の家電メーカーの主戦場といわれてきた電化製品等において同社がヒット商品を生み出している背景には、生活用品の開発で培ってきた生活の中での不便や不満の発掘とその解消があるのです。

同社では、開発者自身が生活者の現場に身を置いて、例えばある時にはペットを育てたりあるいは園芸を手掛けるといった従業員自身の体験を基にして製品を開発します。こうしたアプローチの実践を重視しているのです。こういったスタンスを同社では、プロダクトアウト・マーケットインというマーケティングの従来の発想と区別をして、特にユーザーインという言葉で呼んでいます。開発担当者が生活者の代弁者として生活シーンの中からユーザーの不満や不便を取り出して解消していく製品を開発しています。

このユーザーインですけど重要なポイントは、良くありがちな高機能で高級といった商品を開発するのではなくて、消費者の不満とか不便こういった声を素直に反映させていく点にあります。例えば、寒い冬に帰宅して冷たい部屋が温まるのを待つ時間はつらい、こういった単身者の声に注目をするわけです。その不便の解消に一点集中して、あえて先端的な機能等を追及しないで、外出先からスマートフォンで操作できる製品を開発するわけです。他にも、布団乾燥機に対する消費者の不満の声としては、使用する位置まで運ぶ際に非常に重いという不満の声があったわけです。そこでアイリスオーヤマは、従来よりも軽い布団乾燥機カラリエという商品を開発しています。こういった消費者からの納得感・説得感を抱かせる製品開発の方向を、同社ではなるほど開発と呼んでいます。

消費者に、まさになるほどと思わせる製品を開発するわけです。この時の条件としていくつかの事を掲げているようです。まず一点目の条件としては、生活の不便あるいは不満を解決する為のアイデア自体になるほど感を求めている点です。電化製品にありがちなのが複雑で分かりづらい製品ですが、これはやはり売れないわけです。機能を沢山加えるのだけれども、かえってわかりづらく使い難くなってしまうということです。そこで、アイリスオーヤマでは最優先の不便や不満の解消に集中する一方でいたずらにハイテクで先端的な機能を付けません。

二つ目の条件が、なるほど感のある値付けを行っている点です。価格が高すぎる製品もやははり売れないわけです。ではいくらだったら買ってもらえるのか、消費者にとってこういったバランスのとれた値ごろ感のある製品開発に注力するわけです。この為に原価ありきで価格を考えるのではなくて、なるほど感つまり消費者がなるほどと感じる価格に販売管理費や粗利益等を加えて価格を決めているわけです。原価ベースではないのが通常の価格設定との明確な違いです。同社では引き算の原価計算と呼んでいるそうです。確かにアイリスオーヤマの製品というのは手ごろな値段のものが多いですよね。やはり、手ごろ感・値ごろ感というのは消費者が買う時の重要な要素になります。

他にも、製品開発の特徴としてスピード開発があります。毎週月曜日の会議で社員がパワーポイントの資料一枚にまとめた、一件五分の会議で開発の許否を決めるそうです。社長自らが即断即決で機会を逸する事なく新製品を世に出していくわけです。

今日のまとめです。今回はコモディティ化時代の製品開発として、流通業者の立場からヒット商品を連発しているアイリスオーヤマを取り上げました。同社の開発スタイルを見てみると、いかに正直に消費者の声を製品開発に反映させているかというのが分かるかと思います。これからはメーカーだけではなくて流通業者の製品開発からも目が離せないかと思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ