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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コモディティ化時代の大胆なターゲットと機能の変更 (マーケティング/岩下仁)

コモディティ化時代の大胆なターゲットと機能の変更

岩下仁 マーケティング

17/12/11

以前から続きで、コモディティ化時代の商品開発をベースに話を進めています。前回はロングセラーブランドという視点に注目して、森永製菓のウイダーinゼリーについて話をしました。どんな強いブランドであっても、どうしても浮き沈みがあります。そういった時には、適切な戦略、あるいは迅速に戦略を転換することで修正が十分可能という事について話をしたと思います。

今回は同じロングセラーブランドである資生堂のシーブリーズにフォーカスをしたいと思います。この製品ですけど、長期間のヒット商品になっていると思います。ただやはり前回お話したウイダーinゼリーと同じように、波が実はあったのです。同製品は今では資生堂のブランドになっていますけれど、元々はアメリカの東海岸で誕生したブランドです。家族をターゲットの顧客層にしていました。その人達に与える機能というのは、肌のトラブルの解消だったのです。この時に使われていた技術は、天然由来の成分を持つスキンケアローション。この技術をベースにしていました。

それから70年後の1969年に日本に上陸したのですが、当時はやはりメイドインUSAが非常にパワフルな時代で流行でもあったわけです。アメリカに対する憧れもこの時期はまだ強かったはずです。シーブリーズの他にもコカ・コーラですとかマクドナルドが日本に上陸したのもこの時期でした。ですので、ブームに乗ってこのシーブリーズは非常に売れていったわけです。

初めのトライアルとして、目新しさでお客さんがこのシーブリーズを手に取ってくれていたわけですけど、なかなか二回目のリピートにつながりませんでした。そのため、商品は変えずに顧客層と顧客の機能を資生堂は変更したのです。元々アメリカでは家族をターゲットに売られていたのですけども、若者にターゲットを変えています。日焼け後の肌の火照りを爽快に沈めるという機能から、日焼けケアに焦点を当てました。若者に人気のタレントを起用して、夏や海をイメージするCMを大量に流したのです。結果として、夏の定番ブランド、日焼けした時に若者が使うブランドとして成長しました。

我々が子供の頃のシーブリーズのイメージは、この一回目のチェンジのイメージが強いですよね。パッケージも白基調のパッケージで、そこに青い文字でシーブリーズと入っていたのを覚えています。

1990年代には、このシーブリーズのベースを元にして、シャンプーとかボディーソープこういったトイレタリー全体のカテゴリーにブランドが拡張されています。ただここがなかなかビジネスの厳しいところなのですが、2000年ごろまで夏を中心とした広告を継続していたのですけど、競合他社も様々なブランドを投入したことによって売り上げが右肩下がりになってしまいました。この時には資生堂傘下のブランドになっています。丁度このくらいの時大学生だったのですけど、スポーツした後にシーブリーズを使った記憶が全く無いんですよ。やはり、この時にはシーブリーズの他にも多くの競合ブランドがあったので、そちらを多分使っていたと思います。資生堂は非常にマーケティングに長けている会社ですので、顧客層の行動や思考を徹底的に調査したのです。そうすると、80%以上の人がシーブリーズのイメージを夏とか海といった元々のイメージに例える一方で、75%の若者が海とかプールに行く回数が減った、あるいは海に行かなくなっていたのです。

ターゲットだった若者が海に行かないので、そうなると使用機会が無いですよね。一昔前の若者よりもサーフィン等をする人が少なくなっていたのです。資生堂はターゲットを若者にしていたのですけども、若者がやらないマリンスポーツを使用シーンにしてしまった、これが失敗の原因だったわけです。そこで、使用シーンを若者の行かない海から街に大きくチェンジしました。また、主たる顧客層は若者の中でも特に高校生を対象にしました。

とりわけ流行に敏感な女子高生を対象にし、機能を汗ケアに変化させ、また、技術は肌をサラサラにするメンソール入りの制汗剤に大きく変化させたのです。パッケージも高校生を狙ったカラフルなボトルにして、香料も沢山増やしたのです。これは、大人より若者の方が五感に敏感に反応しやすいとった事をベースにして、香料を増やしているわけです。パッケージもカラフルにしてリーフレットに香りをつけたりして、店頭でより高校生に振り向いてもらいやすいようにしています。CMも以前は莫大な費用をかけてハワイでやっていたそうなのですけども、高校生の日常に近い学校でのシーンや共感を得やすい同年代のタレントさんを起用しています。

また、現在のカラフルなパッケージの横には従来の白基調の定番パッケージも残しています。日焼けの時には白いシーブリーズを使って下さいとしたわけです。結果として売り上げは現在も上昇しているということが言われています。

このシーブリーズのケースを見てみますと、ターゲットを大胆に変更している事が良くわかります。アメリカ時代のターゲットはファミリー(家族)でした。日本では、はじめは夏にマリンスポーツを楽しむ若者だったわけです。今は、ターゲットが若者のなかでも高校生、特に女子高生になっています。ターゲットの変更はマーケティングの担当者にとっては勇気が必要で、自信が無いと出来ない変更です。これまでのお客さんを捨てて新しいお客さんに使ってもらうのですが、失敗したら売り上げが急激に落ちてしいます。おそらく資生堂は莫大なデータに基づいてたどり着いた結論だったのではないかと思います。

今日のまとめです。今回は資生堂のシーブリーズについてお話を進めてきましたが、このロングセラーブランドは実は日本において二度も売り上げの低下を経験しています。このような状況になった時には、顧客層や顧客機能を二度とも上手く変更することで売り上げをV字回復させています。やはり、マーケターは売り上げが低下してきたらデータを収集して、それを駆使して勇気を持って新たな顧客層と顧客機能を見つけていく事が非常に肝心かと思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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