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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コモディティ化市場の製品パッケージの革新 (マーケティング/岩下仁)

コモディティ化市場の製品パッケージの革新

岩下仁 マーケティング

17/12/06

今日はコモディティ化市場の製品開発について話をしたいと思います。コモディティ化とは、洗剤やシャンプーの様な、いわゆる一般的な商品のことでした。これまでも製品のコモディティ化への対応策として、非顧客競争であったりエクストリーム・ユーザーの活用であったりといった話をして来ました。これらはどちらかというと最新の手法でしたが、もっと原始的なマーケティングの施策というものも実はあります。

例えば、価格をもう少しお客さんの値ごろ感に合わせてもいいですし、あるいはアイテムを追加するとかイメージの変化をもたらすような広告の展開といったものもあると思います。今日は最もコモディティ化している、ある商品を取り上げていきたいと思います。

それは、実は小麦粉です。総務省の家計調査では、小麦粉の家庭内消費量は1985年からの30年間で約2/3まで縮小しています。こういった消費量の低下の背景には、家庭での料理の実態が変化していることが一つあると思います。

今ではなかなか小麦粉を使う料理をしなくなり、してもする頻度が減ってきたということです。外食などが原因で、家庭内で小麦粉を使った料理をすることも減ってきていますよね。こういった厳しい市場環境が小麦粉にはあるわけですけれど、2015年に導入されて大きなヒット商品となったものがあります。それは日清フーズの日清クッキングフラワーです。

コモディティ化の最たる小麦粉の市場で、日清フーズはどのようにして大きな成功を収めたのでしょうか? 同社はまず家庭での使用実態を把握することからはじめています。使用量は1回に使う量と頻度で決まりますよね。用途別に見てみると、天ぷらとかケーキといった1回あたりの使用量が多い料理が6割。一方で、揚げ物の打ち粉やムニエルとった1回あたりの使用量が少ない料理が4割を占めていました。

同社が検討の余地があると判断したのは、後者の使用量が少ない料理でした。打ち粉などとして小麦粉を用いる場合には袋パッケージは適していないわけです。同社が消費者に小麦粉の不満を尋ねてみると、粉が散るとか粉が袋から出しにくい、あるいは余って使い切れていないといった問題点があったわけです。

ポットの形になっていて穴からさらさらと振りかけるという日清フラワーの袋パッケージは、実は50年以上も使われてきました。2005年に素材を紙からビニールに替えているのですけれども、袋という点では変わっていません。さらに同社が調査を進めると面白い事実が分かってきました。皆さん薄力粉をどちらに置かれることが多いでしょうか? やはり戸棚の奥に置かれている方が今でも多いのかと思います。調査の結果から約半数の方がシンクの下など普段目につかないところに小麦粉を保管していたわけです。袋状になっているので結構場所をとるというのもあると思います。

この事実は実はマーケティングにおいてとても面白い可能性があるわけです。料理をしていても袋が目につかないと生姜焼きなどで打ち粉をしておいしさを引き出すといった発想が出ないわけです。これにより、日常の料理においてちょっとしたひと手間をかける薄力粉の利用シーンというものが生まれにくいと思われます。こういったことを踏まえて日清フーズは取り組むべき課題を明らかにしてきました。すなわち、パッケージの革新です。薄力粉は袋に入っているという先入観が日清フーズの社内で非常に強く根付いていました。若手社員が小さい容量のボトルのパッケージを提案しても、経営幹部の方々は非常に懐疑的だったわけです。

あまりにも長い間この形で続けてきた結果、それがやっぱりいいのではないかという思い込みが浸透していたわけです。そのため、本当に大丈夫なのかという不安があったわけです。ところが、テスト販売として市場に投入してみると、手軽さや利便性が受けてたちまちヒット商品になりました。

ボトルへのパッケージタイプの変更で日清フーズの薄力粉の家庭での置き場が変わり、台所のコンロやシンクから前面に出てきたわけです。これによって、消費者である料理をする方との距離が一気に近くなり、醤油や塩と同じような位置づけとなって日常の料理で登場する機会・シーンが増えたのです。実は僕もこれ使っているのですけれども、冷蔵庫から食品を取り出す時やガスレンジを使って料理をする時に日清クッキングフラワーは自然に目に入るわけです。ですので、棚の奥に置かれていて目につかない袋パッケージの時代とは大きな違いがあるわけです。

使用シーンだけでなく、実はパッケージの革新は使用価値の向上も実現しています。袋パッケージの場合はトレーや平皿に薄力粉を出して丁度使い切ることはまずありませんよね。どうしてもちょっとだけ残ってしまってもったいないと感じていても残りは捨てているわけです。一方で、ボトルのパッケージであれば必要な分だけ粉を具材に直接パッと振りかけられます。無駄が削除できますので、消費者から見た時の使用価値が上がって顧客の高い満足に結び付くわけです。ボトルに変わったことで、ムニエルや揚げ物をする時にちょっと振りたい時に本当に便利になりました。

これまでボトルタイプがなぜ市場に出てこなかったのか不思議に思いますけれど、それだけ紙袋でなければならないという思い込みがあったということなのでしょう。やはり、若い社員の意見を取り入れた同社の風土も非常に素晴らしいものがあると思います。そして、紙袋からボトルにすることによって使用価値の向上を実現できたと思います。

今日のまとめです。今回は消費者調査を踏まえたパッケージ革新によって、最もコモディティ化した市場である製粉でヒット商品となった日清クッキングフラワーを取り上げました。コモディティ化市場でもしっかりした消費者調査を行って、ニーズを的確に反映した商品を開発すれば十分に勝算があるわけです。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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