QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ソフト力で影響力を維持する英国に対する産業国家日本の静かな衰退 (経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)/久原正治)

ソフト力で影響力を維持する英国に対する産業国家日本の静かな衰退

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

17/11/16

前回は「ユニオンジャックの矢」という本を紹介して、イギリスのしたたかさという話をしました。イギリスは、グローバリゼーションの中で他の国々に非常に影響を与えている国であり、日本とイギリスは同じ島国でありながら、違うところもあるという事でした。

まず、現代の英国というのは一般には金融以外には目立つ産業がなく、単なる西洋の島国とみられているわけですけれど、実はグローバリゼーションの中で世界の共通言語としての英語や議会制の自由民主主義といった近代資本主義のインフラを提供して、グローバルな情報伝達の基礎を形成しているのです。こうしたインフラ制度は、英国の植民地主義の建設なしでは世界には広がらなかったわけです。一方で、日本は産業国家と言われているわけですけれど、この産業国家の日本の優位性は段々と中国にとって替わられています。日本はイギリスと比べて、金融や情報といったソフトパワーが薄いことが今問題になっています。

日本は何故影響力が小さくなってしまうのかということですけれど、一つは歴史的にアントレプレナーが中々出ない点にあります。日本人の特性である「出る杭が打たる」とか、教育でも皆が同質的に育っていくような教育をしています。それから、会社を見ると日本的雇用という、一つの会社に出来れば長くいるようなサラリーマン生活がこれまで中心になってきました。さらに、日本人だけで固まって、異質なものを中々受け入れられない。そういう中で、欧米の真似をしてそれをちょっといいものにして外に出すということで、製造業を中心に成長を成し遂げてきたのが日本の特徴でした。そうするとソフト力が生まれないというのは、アントレプレナーが中々出ないということに問題があるわけです。

とはいえ、製造業もかつてのような勢いがあるかというとそうではありません。皆さんも新聞を見ていたら、日本の代表的な企業である神戸製鋼や日産自動車が多くの製品の品質を守ってないとか検査をしていないということで、ニューヨーク・タイムズでも一面で取り上げられるような世界的にニュースになってしまいました。そうすると、一体、品質で世界を席巻したと言われる日本の製造業はどうなっていくのかが非常に大きな問題です。この2社に限らず、色々な会社で日本の製造業の問題が出てきていて、東芝やシャープといった電機産業でももはや世界で一流とは言えなくなってしまったということです。

世界に誇る日本の製造業であったはずなのにもう中国に抜かれてしまうでしょうし、逆に日本の製造業は品質が悪いと言われる可能性もあります。こういう問題が出てきた背景には、経営の組織の問題が大きいと思います。一つは経営のリーダーである社長さんは、日本の会社の場合、会社に長く勤めていて会社の中で段々に出世していくところがあります。そうすると、社長さんは自分が出た部門は大事にするけれど、他の部門では他の影響力がある人に遠慮をして中々口が出せないわけです。

それから、労働者が非常によく働いていい品質の物を作っていたわけですが、段々景気が悪くなって非正社員が増えてきますと、正社員と非正社員の間でのコミュニケーションにも組織的に問題があるんじゃないでしょうか? そうすると会社の中で色々な問題が出て来ます。問題を中々外に出さずに隠したり、何か改革をやると言っても従来のやり方にしがみついたりする組織の特徴が、製造業が段々国際的な競争力を失ってきた背景にあると思われます。

これからどうしていったらいいのかという話ですけれど、一つはイギリスのようにソフトパワーを日本も作っていかなくてはいけない。それから製造業自身も様々な異質のものを取り入れたり海外の人と上手くやっていったりして、グローバルに通用するようにしていかなければいけない。これからは人材の育成が一つ大きな課題になります。

もう一つは日本的な雇用です。高度成長期は終身雇用や年功序列とかで会社は上手くいっていたのですけれど、経済がずっと停滞してしまい、しかもグローバリゼーションが進んでしまうと、グローバルに通用する働き方と日本的な雇用のいいところを上手く合わせて改革していかないと問題が起きます。

そこで一つ注意しないといけない点は、全部アメリカの働き方を取り入れたりするとこれは日本には中々合わないので、やはり両方のいいところをとる必要があるのです。例えば、今の日本の非正規社員というのはあまりにも正社員と格差が開いてしまっている。正社員という制度は日本的な雇用のいい面をとっているのですけれども、その部分ばかりそのままにしておいといたら段々コストが賄えなくなって、非正規社員が増えていくわけです。この様に、日本とグローバルなもののいいところを合わせた働き方改革が重要になってくると思います。

今日のまとめです。イギリスがソフトパワーで世界に影響力を持っているのに対して、日本は製造業中心のこれまでのやり方ではどんどん駄目になっていっています。これからの日本の課題は、人材をどうやって育成するかということになるのではなかろうかということです。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ