QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 英国このしたたかな島国 (経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)/久原正治)

英国このしたたかな島国

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

17/11/15

今日は、世界の2つの島国である英国と日本を比べてみて、英国は実は大変にしたたかに生きている国だということをお話したいと思います。最近、寺島実郎さんというグローバルに活躍されている方が「ユニオンジャックの矢」という本を出版されました。その中では英国がいかにグローバリゼーションの中で影響力を持っているかを、寺島さんの40年以上に渡って英国を定点観測していた経験と知識で実に上手く書かれているので、ご紹介したいと思います。

イギリスはそもそも旧大英帝国の時代に、インド・中東・アフリカとかシンガポール・香港を支配していたのですけれど、大英帝国がつぶれてしまった後もイギリスのシティからドバイ・インドのベンガルール・シンガポール・シドニーを結ぶラインを持っていて、そこでイギリスの多様な人材を活用して課題解決に向かう全体知、これを寺島さんはエンジニアリング力と言っていますけれど、これを残すことで英国は影響力を強く残していると書かれています。その中心にあるのは、シティの金融力です。この金融力をベースにしたソフトなネットワークが、今イギリスがグローバリゼーションの中で世界を支配している強みであると寺島さんが言っておられるわけです。

偶々私は先週ドバイに学会で行ってきました。私は実は40年くらい前にサウジアラビアに駐在しておりまして、当時はドバイと言えば漁港みたいなものでしかなかったのですが、今や世界の航空のハブ、それから中東の金融センターと情報センターであり、観光も中心になっています。さらに、イギリスで盛んであったラグビー・サッカー・テニスとかクリケットといったスポーツも盛んにやっているということで、非常に力を持った存在になっています。これはやはり、グローバルな世界の中でイギリスが持っていた様々な力をドバイ・インド・香港やシンガポール等にきちっと残して、イギリスが引き続き世界に大きな影響力を発揮しているということがよく分かります。

ですから、イギリスは小さな島国であり、ヨーロッパの中でもEUを離脱したりしているから力が無いかと思っていたらとんでもない。グローバリゼーションの中で世界を支配する力を持っています。オックスフォード大学のファーガソン教授が「エンパイア」という本を2009年に書いておりまして、この中で彼は明確にイギリスの強みはイギリスの制度的な影響力という形でまとめています。具体的には、まずグローバリゼーションの中で自由貿易や労働とか資本の自由な移動、それから税制といった制度的な基盤をイギリスが世界に提供している。そして、そこで取引に使われる国際法が全て英国法を基準にしている。さらに、そういった国の政治的な体制は議会制民主主義であり、これらを全て公用語としての英語で繋いでいます。さらに、イスラム教の国はちょっと別なのですが、宗教としてのプロテスタンティズムがイギリスが他の国に影響を与える時の制度的な基盤になっているのです。これらが全部合わさって近代資本主義の基盤を、特にこのグローバルな時代の基盤を、イギリスは世界に提供しています。このことをファーガソン教授は強く言っているのです。

しかし、イギリスも日本も同じ島国でありながら、やはり全く違う所があります。

梅棹忠夫という有名な学者先生がいらっしゃって、「文明の生態史観」という本を1998年に書かれています。その中では、昔からあった四大文明圏ではなくてイギリスと日本という世界の中心から離れた島国で産業革命以降のいわゆる近代工業化が生じたのは何故かということが書かれています。梅棹先生はその理由として、一つは中央から離れていることで大陸からの侵略を避けることが出来、他方で大陸の文明を受け入れるには程良い所にあったということを挙げています。それからもう一つは、やはり四季があって気候が非常によかったという二点を、イギリスと日本が近代化に成功した要因として挙げています。

イギリスも日本も考えてみれば、第二次大戦の前は世界の植民地主義で色々な国に進出していたのですけれど、当然そこでイギリスも日本も現地からは嫌われる面がありました。今やイギリスの植民地であった中東とかインドとかでは、たまたまイギリスに支配されたおかげで英語が公用語であるし、様々な資本主義の制度的な基盤は出来ています。残念ながら日本が支配した国は、そういったグローバリゼーションの中で他の国から感謝されるような基盤というのが全く出来ていませんでした。元々は同じ島国で最初に工業国になった国であり今やイギリスは日本よりも人口もGNPも少ないのですけれど、グローバルな影響力では全く違うものになってしまっています。

今日のまとめです。ソフトな力で世界に影響力を持つイギリスは意外に侮れなくしたたかに生きる国であります。我々はもう少しイギリスについて勉強してみる必要があると思います。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ