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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 業界"外"からの新規プレーヤーの参入(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

業界"外"からの新規プレーヤーの参入(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

17/11/28

・先日、あるニュースが目に止まって驚いた。革新的な掃除機や扇風機で有名なダイソンが、EV(電気自動車)に参入することを表明したのだ。
・2017年9月27日の日経新聞によると、同社創業者のジェームス・ダイソン氏が、2020年までに同社がEV市場に参入するために、今後、バッテリーと車体の設計・開発にそれぞれ10億ポンド(1,500億円)を投じることを表明したという。既に400名のエンジニアが極秘に開発に携わってきたとのことだ。
・この背景には、2040年までにイギリスやフランス政府がガソリンやディーゼルなどの内燃機関による車の販売を禁止する方針を打ち出すなど、世界的な環境規制の強化がある。米国ではテスラが新型で廉価な「モデル3」で既に40万台を受注し、EV界を先行している。
・他にもしばしば話題となるが、例えばカーシェアサービスのUberは、2009年設立にもかかわらず、既に75カ国に展開し、2015年の段階では出張時の利用率が41%と、タクシー(20%)やレンタカー(39%)を上回っているとの報告もある。
・あるいは、ルームシェアのAirBnBは2008年に創業し、今や世界191カ国65,000以上の都市で、300万件以上の宿泊可能な部屋を提供している。世界中のどのホテルチェーンも、この部屋数にはかなわない。
・日本にも、業界外から新規プレーヤーとして参入して話題となっているユニークな企業がいる。例えば、バルミューダは、個性的な家電で知られる。同社の扇風機は、従来の家電メーカーの扇風機と異なって、羽で生み出す風をぶつけ合うことで柔らかい風を作り出すことで、高額にもかかわらずヒットしている。また、水蒸気を活用して美味しくパンを焼き上げるトースターもヒットしている。同社の社長は、家電業界で働いた経験もなく、ものづくりの経験もない、元ミュージシャンである。音楽では食えないことがわかって、ものづくりの町工場に入り浸り、職人から様々な加工方法を教えてもらいながら、バルミューダの製品を完成させて世に出した。

・長く業界内の競争に明け暮れていると、競争の前提条件を問い直すことなく他社との差別化戦略が小さなレベルで繰り広げられてしまう。結果的に、似たり寄ったりで、どんぐりの背比べ的な製品やサービスが世の中に蔓延する。一方で、既存の業界外から参入する新規プレーヤーの製品やサービスは、従来の業界の常識に囚われない新鮮で自由な発想に溢れていて、消費者の共感を呼び起こす。
・ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授の「イノベーションのジレンマ」という概念が近年よく知られている。大企業が、既存の自社製品の完成度や魅力を高めるために、顧客の要求水準を超えてもなお小さな改良(持続的なイノベーション)に始終し、その間、新しいプレーヤーが破壊的な技術や製品コンセプトをひっさげて市場に参入してもその脅威を深刻に受け止められず、結果的にその新プレーヤーに市場シェアをひっくり返されてしまう(決してサボっているわけではないのに・・)、というジレンマである。既存の業界で強固な地位を確立していても、業界外からの新規プレーヤーに顧客を奪われる出来事が、近年特に増えている。
・IBMが2年に一度実施している「グローバルCEO調査(2015年)」では、「業界"外"からの参入により競争が激化している」との回答が、前回調査から大幅に伸びて6割に達している。業界内の競争にとらわれていると、思わぬ新規参入者に足元をすくわれるといった事態が起こるのだ。

・アインシュタインは、「常識とは、18歳までにあなたの精神の底に沈殿した偏見の堆積にすぎない」と述べたという。「自分の業界ではこれが常識だ!」と思って日々の仕事に盲目的に邁進しているだけでは、いつしか世の中の欲求から乖離して、非常識に陥ってしまいかねない。


・次回は、このような状態を打破するためにどうすべきか、さらに考察していきたい。

【今回のまとめ】
・近年、業界外からの新規参入プレーヤーが増加している。固定的な古い業界慣習に囚われずに、顧客にあたらしい価値を提供することに成功している。



分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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