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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > オースティンのイノベーションエコシステム② (公共政策、地域政策、産学連携/谷口博文)

オースティンのイノベーションエコシステム②

谷口博文 公共政策、地域政策、産学連携

17/11/01

前回からテキサス州にあるオースティンという都市について話していますが、この町にはテキサス大学のオースティン校があり、また、サウス・バイ・サウスウエストという国際的なイベントでイノベーションが生まれるようなさまざまなコンテストが行われています。このように大学と共に産学官連携で色々なイノベーションを生み出す地域になっているという話でした。

そのオースティンに行って、インキュベーターやアクセラレーターの関係者と話をしてきました。卵を温めて雛を孵すように、起業するところまで面倒見ようというのがインキュベーター(孵卵器)です。起業したけれども、まだ出来立てでひ弱だから、経験者のアドバイスを受けながら資金も獲得して事業を大きくしていこうとする企業家をサポートするのがアクセラレーターです。
要するに起業する人達を育てようということで、物理的には研究者や起業を目指す人達に場所を提供しています。部屋を貸して活動をサポートしているので、外から見れば普通の不動産屋のレンタルオフィスのように見えます。日本にも施設を貸しているというだけのインキュベーター施設は大学や自治体にもあります。日本では研究者が産学連携で共同研究をし、論文を書いて大学の中で業績が出れば、それで良しとしがちですが、アメリカでは研究成果をビジネスにすることが目的なので、その施設で一体どれだけ起業したかが評価されます。だから、その施設を運営する人は、どのようにしたら上手くビジネスが回るかについてサポートするのが仕事となります。
アメリカの場合は、アクセラレーターそのものがビジネスとなっています。つまり、家賃だけでなく、入居したベンチャー企業に出資して、成功すればM&AやIPOによって大きく回収するというビジネスです。特に優良なベンチャー企業や優秀な人間を集めてきて、その施設で世界的な企業に育てようと力を入れています。世界的に有名なテクスターズのほか、オースティンにもキャピタルファクトリーやインターナショナルアクセラレーターなどがありますが、そこを卒業して世界的な企業になっている例がたくさんあります。

実際に施設に行ってみると、大抵のところはコーヒーや軽食は自由に取れるし、コーヒー片手にすぐ議論が始まって、シャレたデザインのソファーや遊戯道具があって、すごく居心地のいいところです。また毎日のように5--6件ものスタートアップ関係の興味深いイベントが組んであります。さらにベンチャーキャピタルにプレゼンをする機会が与えられて投資家からアドバイスを受けたり、資金を獲得したりします。世界中のファンドもいい投資先を探していて、面白いことをやっている人達がたくさんいると思えばマッチングが行われて、どんどん可能性が広がっていくということが起きるわけです。
入居期間は限られていて、1年ぐらい経ったら出ていかなくてはなりません。交代で次の新しい人たちが入ってきます。大体10社くらいのベンチャーが入っていますが、毎年1,000件以上の応募の中から、毎週のように会議をして受け入れるかどうかを決めるそうです。だから、競争率は100倍以上になります。
つまり、世の中にはそのくらい起業しようと思っている人がたくさんいて、そのような人達がオースティン、ボストン、シリコンバレーなどに、アメリカだけではなく世界中から集まってくるわけです。そのような中から勝ち残る企業を育てるわけですから、やはり競争力は強いです。

このようなアントレプレナーを育てる環境、エコシステムを作ることは、これからの産業を育てていくときにはとても大事なことだろうと思います。大きな工場を誘致してきて雇用を確保しますというのもこれまでのやり方だったかもしれません。しかし、これからはビジネス自体を作り出していくアイデアを持った若い人達が切磋琢磨して、この地域に雇用を生み出していくことが大事であり、その意味でオースティンの例を見てきました。

今日のまとめです。地域経済の担い手として、これから特にIoTとかAIなどを駆使したスタートアップが大きな役割を果たす時代になってきます。この福岡でもグロースネクストのようなところに色々な人が集まってきて、様々な交流が動き出していますが、あれもまさに産学官での取組です。このようなアントレプレナーを育てるエコシステムの形成が地域経済にとってとても重要になってきています。今後の地域経済を考える際にはそのような視点で、世界の動きに注目してほしいと思います。

分野: パブリックマネジメント |スピーカー: 谷口博文

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