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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 納期管理(3):資材所要量計画(MRP)とは (企業戦略、生産管理/目代武史)

納期管理(3):資材所要量計画(MRP)とは

目代武史 企業戦略、生産管理

17/11/07

今日は工場における生産管理のツールについてです。お客様からの納期を守るためには、計画的な資材の調達や生産の手配、完成品の出荷が欠かせません。このような生産活動を体系的に管理するツールの一つに資材所要量計画があります。英語ではMaterial Requirement Planningと言うことから、頭文字をとってMRPと呼ばれます。今日はこのMRPについてです。

まずは、お客様からの注文に納期通りに応えるためには、どのような生産管理が必要になるかおさらいしましょう。もし注文に対して完成品在庫があるならば、すぐさま出荷することが出来ます。この場合、完成品の在庫状況の管理をしていればこと足ります。もし在庫が無ければ、生産して出荷しなければいけません。生産に必要な資材の在庫を調べ、在庫が無ければ仕入れ先に発注する必要があります。例えて言うならば、冷蔵庫の中に何がどれだけあるかを常に把握しておき、足りない食材があれば買い出しに出ることになります。 
実際に生産するとなると、何をどの順番で生産するかを考える必要があります。中には時間のかかるものもあります。そのようなものは早めに生産の手配をかける必要があります。例えばメッキ処理や塗装のように化学薬品を使う工程は時間がかかることが多いことが一般的です。また、協力企業に外注に出す部品がある場合にも、やはり搬送に時間がかかるので、早めの手配が必要です。さらに、まとめて生産した方が効率的な場合もあります。工場で言うと、鉄板を加工するプレス加工等があげられます。レストランで言うと、注文の度に一食ずつご飯を炊けば、炊き立てのご飯を提供できる上に、ご飯を余らせることや売れ残りの在庫を抱えることへの心配も無くなりますが、効率は少し悪くなります。そこで、普通は大きな釜で一度にご飯を炊くことが一般的と思います。但し、この場合はご飯を炊きすぎて余らせないために、注文状況を見ながら適切に計画を立てていくことが必要になります。
このように、お客さんからの注文と手元の完成品や材料の在庫状況、生産現場の生産能力を見ながら資材の発注や生産の順番、タイミング等を計画し、現場に伝えていくことが生産管理の役割となります。このような管理をコンピュータを使って体系的に行うシステムが資材所要量計画、すなわちMRPです。

MRPは1960年代にアメリカで開発されたシステムで、製品の生産計画に合わせて必要な原材料や部品の必要量を計算し、製品の生産日程に合うように部品や原材料の調達、生産の日程を計算するシステムです。このMRPを用いて生産計画を立てるためには、製品の必要量と出荷日程の情報が必要です。
非常に単純化して言うと、MRPというのは製品の必要量と生産日程を出発点とし、部品表と呼ばれる製品を作るために必要な部材の一覧表を用いて、その製品を作るための原材料やどの部品がどれだけ必要かを計算します。例えば、車を100台生産すると車1台につきタイヤは4本必要です。だから、100×4でタイヤが400本必要という計算をします。次に、手元に原材料や部品の在庫がどれだけあるかを確認し、正味の必要量を計算します。タイヤの在庫が、例えば今手元に100本あるならば、新たに生産ないし調達しなければいけないのは残りの300本という計算になります。更に、原材料や部品ごとに適切な生産単位、これをロットと言いますが、これを割り出していきます。ものによってはまとめて生産したものが良いものがあるので、そのようなものはある程度まとめたりします。
このようにして完成品の所要量から出発し、部品の所要量とその生産日程を徐々に計算していくシステムがMRPです。非常に論理的にはシンプルでわかりやすい計算です。かつてはコンピュータ自体が大変高価で、計算量が非常に膨大となるという点が弱点でしたが、この点についてはコンピュータの発展と共にかなりの程度克服されてきています。
 但し、現在に至っても解消が難しい問題が1つ残っています。それは計画と現実の乖離という問題です。MRPは、データが正確である限り計算結果も正しいのですが、データが誤っていると当然計算結果も誤ったものになってしまいます。例えば、生産現場では大小さまざまなトラブルがあるのは日常茶飯事です。機械が止まったり、届くはずの材料が渋滞で遅れたり、作業者が病欠で休んだり、色々なことが起こります。このような生産現場で起こる情報は、人であれば現場を回っていれば気づくことも出来ますが、コンピュータにとってはデータ化してインプットしてやらない限りは知る由もありません。現場で起こるトラブルがデータとしてコンピュータに入力されない以上、MRPは計算結果を基にして生産市場、現場に出し続けてしまいます。そうすると生産現場では機械が止まっているにも関わらず、部品を生産せよと指示が送られ続けて、在庫の山が出来てしまう可能性があります。
 この問題はいわゆるモノのインターネット化、つまりIoTが発展すると解消できるかもしれません。IoTによって全ての生産設備や作業者、原材料、部品がネットに繋がってリアルタイムに生産状況のデータがコンピュータに送られるようになると、MRPを介して逐次生産計画を修正していくということが出来るようになるためです。

今日のまとめです。今日は生産管理のツールとしてMRP、つまり資材所要量計画を紹介しました。MRPは製品の注文量と生産日程に基づいて、必要となる原材料や部品の所要量を割り出し生産計画に落とし込んでいくシステムです。大変ロジカルでコンピュータ化しやすいことから世界中で導入が進んでいますが、弱点もあります。それは計算した生産計画が現実と乖離した場合における対応です。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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