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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 納期管理(1):納期と生産方式 (企業戦略、生産管理/目代武史)

納期管理(1):納期と生産方式

目代武史 企業戦略、生産管理

17/11/02

 今日は生産管理の3大要素の3番目である納期の管理についてお話したいと思います。生産管理の3大要素と言うと、その頭文字をとってQCDと呼ばれています。QはQualityで品質、CはCostで文字通りで原価です。そして、DはDeliveryで納期の管理のことです。納期に遅れることは当然良くないですが、約束の納入期日よりも早すぎても良くありません。お客さんの望む納期に対してタイムリーに納入することが求められます。生産管理の役割は、タイムリーな納期を実現するために生産スケジュールを定めたり、部品や素材を手配したり、生産の進捗状況を管理したりすることにあります。

 まず、納期の意味について確認しておきたいと思います。お客さんの立場からすれば欲しいと思った時に出来るだけ早く製品だとかサービスが手に入った方がよいでしょう。ただし、製品の納期はお客さんがどれだけ待てるかによります。お客さんの許容できる納期の観点から言うと、一般に製品には2つのタイプがあり、一つは最寄り品、もう一つは買回り品と言います。
 最寄り品というのは、ボールペンや歯ブラシといった日用品、お弁当やパンなどの食料品など身近なお店で購入される商品のことです。許容される納期は、非常に短いことが一般的です。サンドイッチを買いにコンビニに行って、もし品切れしていたら普通は購入を諦めてしまうか、代わりにおにぎりやパンを買ったりすると思います。お気に入りのサンドイッチがないからといってお店に注文して納品されるまで待つという人はまずいないと思います。このように身近なところで買う品物のことを最寄り品と言います。
 一方で、買回り品とは、気に入った商品が見つかるまで色々な店をまわったりするような品物のことです。商品の購入までじっくり検討し、もし在庫が無かったらお店に注文して納入まである程度待つことができる商品のことです。家具や車、高級スーツなどは買回り品と言えます。その他にも本では、専門書や洋書などは買回り品にあたりますし、週刊誌や新聞などは最寄り品と言えます。同じ本でも書籍でも違います。要するに、どれだけ待てるかということです。

 このように製品の特性やお客さんのニーズによって、製品の許容納期には違いがあります。それによって生産管理のあり方も変わってきます。コンビニなどで売られているお弁当やサンドイッチ、文具などは典型的な最寄り品です。欠品があった場合は、購入を諦めるか近所の別のコンビニに行ってしまいます。こうした商品の場合どうするかということですが、通常は店舗に在庫を持っておく、在庫販売が基本になります。この場合は、製品は見込みで生産しておいて店舗に十分な在庫を持っておく形をとります。この場合は適切な販売予測が鍵となります。この反対が受注設計生産です。お客さんからの引き合いがあってから製品の設計を始め、部品を調達し、部品を加工して最終組み立てをしてお客さんに納品することです。典型的には、注文住宅がこのようなパターンです。この場合設計から生産を経て納品までの全ての時間が納期に含まれてきます。

 世の中の多くの生産方式はこの在庫販売と受注設計生産の間の形態をとります。例えば、ファミリー・レストランの多くはセントラル・キッチン方式を採用しています。普通ファミレスの厨房は、全てのメニューを食材の格好から調理まで全て行うにはスペースが足りなかったり人手が足りなかったりします。そこでセントラル・キッチンと呼ばれる施設で食材の加工や調理をある程度まで集中的にやっておいて、各店舗では最後の加熱や盛り付けだけをやればいいという形にしています。この場合はお客さんにとっての納期、つまり待ち時間は素材の加工から始めるよりもずっと短くなります。これはある種の見込み生産と言えます。最後の加工は各店舗で注文があってから行うということで、半受注生産とも言うことができます。
 もう一つ自動車の事例を紹介したいと思います。日本やヨーロッパでは車の生産はディーラーでお客さんの注文を得てから行われます。この場合はカローラだとかプリウスといった車種自体は市場調査に基づいてカーメーカーがあらかじめ設計しています。車種の見込み設計と言えます。お客さんはカタログの中から車種やオプションを選択します。メーカーはそれに基づいて生産しますので、受注組立方式と言えます。お客さんにとっての納期は、車の組立時間と工場からディーラーまでの物流時間ということになります。ちなみにアメリカではお客さんが殆ど待ってくれません。日本やヨーロッパでは大体2,3週間待ってくれますが、アメリカは全然待ってくれないので、ディーラーが多様な車種の在庫を多量に持っておいて、買ったその日にそのまま乗って帰る形をとっています。市場によっても生産方式が違ってくるのです。このように製品の納期は生産方式と深く結びついています。どの段階まで見込み生産をして、どの段階からは注文に基づいて出荷するのか、その分かれ目となる点を生産管理ではデカップリングポイント、あるいは受注引当点と呼んでいます。

今日のまとめです。納期は生産管理の3大要素の一つです。製品の納入は遅すぎても早すぎてもいけません。タイムリーな納期を実現するうえでは、納期と生産方式との関係を正しく理解する必要があります。在庫販売方式は見込み生産し、店舗在庫を積むことで納期を極めて短くすることができますが、売れ残りや品切れを起こすリスクがあります。その反対は注文住宅に見られるように、製品設計から生産までを注文があってから始めて行う受注設計方式です。在庫を抱えるリスクは小さくなりますが、お客さんにとっての納期はかなり長くなります。その中間形態として、途中まで見込み生産し、それ以降は注文に基づいて生産・納入する半受注方式があります。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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