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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > オースティンのイノベーションエコシステム① (公共政策、地域政策、産学連携/谷口博文)

オースティンのイノベーションエコシステム①

谷口博文 公共政策、地域政策、産学連携

17/10/31

アメリカにオースティンという町がありますが、今日はそこのエコシステムについてお話をしようと思っています。

エコシステムとは、普通は生態系ということで一般的に使われる言葉です。イノベーションを起こす担い手のことをアントレプレナーと言いますが、今日お話したいのは、そのような新しいことを起こす人達を育てる環境、つまりイノベーション・エコシステムやアントレプレナー・エコシステムについてです。例えば、最初に技術シーズ=種があり、それが土の中で芽を出し、それに水をやったり肥料をやったり太陽にあてたりしてだんだん大きく育っていきます。このように技術シーズが段々ビジネスになり、起業したものがもっと大きなビジネスになって、世界に出ていくプロセスをサポートする環境のことをエコシステムといいます。

オースティンには、そのようなエコシステムが整っています。もちろんシリコンバレーやボストン、サンフランシスコのような大きな町にもありますが、むしろそういう環境の無い地方都市では、政策的に導入して一生懸命エコシステムを作っていこうとしています。私はそれが日本の地方都市も大事ではないかと思い、それに成功しているオースティンを見てきたわけです。先日、QBSの高田先生がお話されたカリフォルニア大学サンディエゴ校のあるサンディエゴという所もやはり産学連携が非常に盛んで、イノベーションが生まれやすい都市になっています。

オースティンはご存知ですか。テキサス州の州都で、シリコンバレーに対してシリコンヒルと呼ばれ、IT産業などが集積しているハイテク都市として知られています。
ところでサウス・バイ・サウスウエストはご存知ですか。これは元々ライブ音楽のイベントで1987年頃から始まったものですが、それに映画やインタラクティブなどの部門が加わって、マルチメディアなどを使ってクリエイティブな新しいことをやる人達が集まる祭典が3月に盛大に行われます。特に、インタラクティブ・フェスティバルではイノベーション賞を競うコンテストがあり、例えばAirbnbやSiriもここでの受賞をきっかけにスタートしたこともあって、いわばアントレプレナーの晴れの舞台として皆さんここに集まってくるのです。

何故オースティンでそのようなイベントが開催されるようになったのかといいますと、元々お祭り好きというところがあったのかもしれませんが、産業政策として見た時には、この町の人たちの企業誘致やIT関係の集積地となった過程と同様の政策的努力が非常にあったということです。昔は大きな就職先は州政府の役所とテキサス大学しかありませんでした。大学の人も、多くは町の外に出て行かざるを得ず、やはりこれではいけないという危機感から、産学官のリーダーが色々な形で取り組んできたということがあり、その成果が表れてきているようです。

産業政策が成功する一つの要因として、大きな大学があるというのは大変重要なことです。やはり大学による人材供給が町を動かすパワーの原動力になっています。ただあるだけではいずれ出て行ってしまうので、雇用を生み出し町の魅力を高めることが大事なことです。オースティンの人が口を揃えて自慢げに言っていましたが、ここは居心地のいい町だと、その生活のしやすさやコミュニティの心地よさ、Quality of lifeが町の魅力なわけですが、その魅力づくりを一生懸命やってきたというのも要因の一つにあると思います。それに加えて、イノベーションをこの地域から起こす環境を整える、そのような所にやはり大きな政策的な努力が表れていると思います。

福岡もとても便利で住みやすいと誰もが言います。お祭りは皆好きで、音楽祭もあります。町の大きさがコンパクトでちょうどオースティンと同じぐらい、物価も安くて、食べ物が美味しいところが魅力です。また九州大学をはじめとして、大学があって若い人が集まります。これらは高く評価されて然るべきで、問題はここにどのようにして新しい産業を興していくかということになってくるわけです。これまでも、実はシリコンシーベルト構想のような施策があって、実際に百道浜で実現したわけですが、これからどうしていくか、そこに今のオースティンのヒントがあるのではないかと思っています。

今日のまとめです。イノベーションを起こしていくエコシステム、これを取り入れていくということは日本の地方都市にとって非常に重要なことなので、世界では具体的にどのようなことが起こっているか、それを次回お話したいと思います。

分野: パブリックマネジメント |スピーカー: 谷口博文

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